自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
恋を霞ませた魔法使い
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(よーし! 部活だ!)
本日の授業を終えて凝り固まった身体を解すように席に座ったまま両手を上げて伸ばし一息つく遥は素早く荷物を纏め始めた。
そこへ同じクラスの跡部が彼女の前に立つ。
「西成」
「およ? どしたの跡部?」
「急だが用事が出来た。すぐに行かなきゃならねぇが、部活までには間に合うようにする。問題はないと思うが一応、赤宮と九条に伝えておけ。それだけだ」
「オッケーオッケー!」
親指を立てて任せてと言わんばかりの笑みを浮かべる遥に跡部は「頼むぜ」と言葉を残し、すぐに教室から出て行った。
生徒会長でもありテニス部主将でもある跡部は何かと忙しいということは遥もよく知っているため大変だなぁと呟きながら荷物を纏める作業に戻る。
「よし、完璧!」
忘れ物がないかしっかり机の中まで確認する。つい数日前、宿題用のプリントだけを忘れてしまって翌朝急いで登校して学校で宿題に取りかかるも間に合わず、先生に怒られてしまったことがまだ記憶に新しいので同じ失敗だけはしてはいけない。
秋や滝にも『机の中までちゃんと見て確認しなきゃダメだよ』と言われたので遥はその言葉をしっかりと刻み込んで習慣づけていた。ただし一週間もしてしまえば忘れてしまうのだが。
「よし、待っててね! かばっ━━ちぃ!?」
想い人に会うためにいざ行かん! と勢いよく教室を飛び出してみるや否や、廊下でバッタリとその想い人、かばっちこと樺地が立っていて、思わず遥の動きも固まってしまう。
「……」
「……ハッ! か、かばっちどうしたのっ!?」
もしかしてもしかしたらあたしに会いに来たとか!? そんな期待に胸を膨らませていたら目の前の後輩はその理由を述べた。
「跡部さんの……お迎えに、来ました……」
(そうでしたねーー!!)
いや、うん。そうだ。そうだった。かばっちはいつも跡部と共にいるし、お迎えもよくしている子だった。跡部と同じクラスだから分かってたけど! 分かってはいたけど夢くらい見させて!!
と、口にしたくても出来ない遥は心の中で盛大に悔しがった。
「あ、でも跡部ね、急に用事が出来たとか言ってさっき出てっちゃったよ。部活には間に合うようにするって」
「そう、ですか……」
「跡部から連絡とかなかった?」
あの跡部が大事な樺地に何も言わないなんていう意地悪はしないだろうからもしかしたら連絡を入れているかもしれない。
その可能性を伝えると樺地はいそいそと自分のスマートフォンを取り出して遥の言う通り連絡がないか確認する。
始終無表情なので感情を読み取るのはなかなかに難しいが、遥は「今日もかっちょいいなぁ~」といつもと何も変わらないその表情をジッと見つめながらデレデレした。
「……連絡、ありました……」
「やっぱり!」
「すみません、でした……お手を煩わせてしまい……」
「そんなことないよ! 入れ違いなのは残念だけど、せっかくだしさ一緒に部活に行こうよ!」
ここぞとばかりに樺地と親交を深めようと積極的に誘う遥。樺地はどうしたらいいのか一瞬悩むも期待のこもったの目を向けられたため、こくりと頷き「ウス」と返事をする。
よっしゃあ! と心の中でガッツポーズをした遥は樺地と並んで歩き、共にテニス部まで向かうことになった。
「いやーそれにしてもマネージャーになったとはいえ、かばっちとゆっくり話すことなんてなかなか出来なかったから嬉しいよ!」
「ウス」
「マネ業に慣れるまでが大変だし、色んな人達から睨まれるわ、声かけられるわ、部室荒らしとして疑われるわと色々あったけど、なんとか平和になりそうでちょっぴり安心したんだよねー」
「……その、すみません、でした」
「えっ。えっ!? なんでかばっちが謝るの!? なんでっ!?」
ただ最近あった世間話をしただけなのになぜか謝罪をされてしまい、遥は慌てた。謝らせるつもりなんてこれっぽっちもないので、なんで? と何度も問う。
「部室荒らしに……疑われたこと……自分は何も出来なかったので、皆さんに嫌な思いを……」
理由を聞いて、なんだそのことかと思った。しかし遥の記憶では樺地に疑われたこともないし、そんな目で見られたこともないのでやはり謝るのはおかしいのではないかと考える。
「別にかばっちは疑いの言葉とかなかったし、あのときは仕方ないっていうか、とにかくかばっち何も悪くないから謝ることないよ。準レギュラーの日吉にはめちゃくちゃ疑われたけど、あたしも疑っちゃったし、そこはおあいこだからね」
「……ウス」
「それに一番疑われたのは秋だし」
「……九条さんにも……謝ります……」
「だからかばっちは大丈夫だって! そんなことしたら秋も戸惑っちゃうから! ねっ?」
きっと秋も遥と同じように「樺地くんは悪くないよ」と言うのが目に浮かぶ。
「それにこの件はもう解決したし、秋も優しいから気にしてないよ。だって秋だし!」
最後の言葉は理由にはなっていないが、何度も言うため樺地は遥の言葉を信用することにした。
「……九条さんのことを……よく、ご存知なんですね……」
「もちのろん! だって麻美も含めて大親友だもん!」
にぱっと明るく笑うその表情に嘘偽りなど感じない。そんな遥の笑顔はとても眩しくもあり、暖かくも感じた樺地は釣られて口角を少しだけ上げて僅かに柔らかい表情をする。
樺地のレアな一面だというのに遥はそれに気づくことなく大親友の話に夢中になり、そのご尊顔を拝むことは出来なかった。
本日の授業を終えて凝り固まった身体を解すように席に座ったまま両手を上げて伸ばし一息つく遥は素早く荷物を纏め始めた。
そこへ同じクラスの跡部が彼女の前に立つ。
「西成」
「およ? どしたの跡部?」
「急だが用事が出来た。すぐに行かなきゃならねぇが、部活までには間に合うようにする。問題はないと思うが一応、赤宮と九条に伝えておけ。それだけだ」
「オッケーオッケー!」
親指を立てて任せてと言わんばかりの笑みを浮かべる遥に跡部は「頼むぜ」と言葉を残し、すぐに教室から出て行った。
生徒会長でもありテニス部主将でもある跡部は何かと忙しいということは遥もよく知っているため大変だなぁと呟きながら荷物を纏める作業に戻る。
「よし、完璧!」
忘れ物がないかしっかり机の中まで確認する。つい数日前、宿題用のプリントだけを忘れてしまって翌朝急いで登校して学校で宿題に取りかかるも間に合わず、先生に怒られてしまったことがまだ記憶に新しいので同じ失敗だけはしてはいけない。
秋や滝にも『机の中までちゃんと見て確認しなきゃダメだよ』と言われたので遥はその言葉をしっかりと刻み込んで習慣づけていた。ただし一週間もしてしまえば忘れてしまうのだが。
「よし、待っててね! かばっ━━ちぃ!?」
想い人に会うためにいざ行かん! と勢いよく教室を飛び出してみるや否や、廊下でバッタリとその想い人、かばっちこと樺地が立っていて、思わず遥の動きも固まってしまう。
「……」
「……ハッ! か、かばっちどうしたのっ!?」
もしかしてもしかしたらあたしに会いに来たとか!? そんな期待に胸を膨らませていたら目の前の後輩はその理由を述べた。
「跡部さんの……お迎えに、来ました……」
(そうでしたねーー!!)
いや、うん。そうだ。そうだった。かばっちはいつも跡部と共にいるし、お迎えもよくしている子だった。跡部と同じクラスだから分かってたけど! 分かってはいたけど夢くらい見させて!!
と、口にしたくても出来ない遥は心の中で盛大に悔しがった。
「あ、でも跡部ね、急に用事が出来たとか言ってさっき出てっちゃったよ。部活には間に合うようにするって」
「そう、ですか……」
「跡部から連絡とかなかった?」
あの跡部が大事な樺地に何も言わないなんていう意地悪はしないだろうからもしかしたら連絡を入れているかもしれない。
その可能性を伝えると樺地はいそいそと自分のスマートフォンを取り出して遥の言う通り連絡がないか確認する。
始終無表情なので感情を読み取るのはなかなかに難しいが、遥は「今日もかっちょいいなぁ~」といつもと何も変わらないその表情をジッと見つめながらデレデレした。
「……連絡、ありました……」
「やっぱり!」
「すみません、でした……お手を煩わせてしまい……」
「そんなことないよ! 入れ違いなのは残念だけど、せっかくだしさ一緒に部活に行こうよ!」
ここぞとばかりに樺地と親交を深めようと積極的に誘う遥。樺地はどうしたらいいのか一瞬悩むも期待のこもったの目を向けられたため、こくりと頷き「ウス」と返事をする。
よっしゃあ! と心の中でガッツポーズをした遥は樺地と並んで歩き、共にテニス部まで向かうことになった。
「いやーそれにしてもマネージャーになったとはいえ、かばっちとゆっくり話すことなんてなかなか出来なかったから嬉しいよ!」
「ウス」
「マネ業に慣れるまでが大変だし、色んな人達から睨まれるわ、声かけられるわ、部室荒らしとして疑われるわと色々あったけど、なんとか平和になりそうでちょっぴり安心したんだよねー」
「……その、すみません、でした」
「えっ。えっ!? なんでかばっちが謝るの!? なんでっ!?」
ただ最近あった世間話をしただけなのになぜか謝罪をされてしまい、遥は慌てた。謝らせるつもりなんてこれっぽっちもないので、なんで? と何度も問う。
「部室荒らしに……疑われたこと……自分は何も出来なかったので、皆さんに嫌な思いを……」
理由を聞いて、なんだそのことかと思った。しかし遥の記憶では樺地に疑われたこともないし、そんな目で見られたこともないのでやはり謝るのはおかしいのではないかと考える。
「別にかばっちは疑いの言葉とかなかったし、あのときは仕方ないっていうか、とにかくかばっち何も悪くないから謝ることないよ。準レギュラーの日吉にはめちゃくちゃ疑われたけど、あたしも疑っちゃったし、そこはおあいこだからね」
「……ウス」
「それに一番疑われたのは秋だし」
「……九条さんにも……謝ります……」
「だからかばっちは大丈夫だって! そんなことしたら秋も戸惑っちゃうから! ねっ?」
きっと秋も遥と同じように「樺地くんは悪くないよ」と言うのが目に浮かぶ。
「それにこの件はもう解決したし、秋も優しいから気にしてないよ。だって秋だし!」
最後の言葉は理由にはなっていないが、何度も言うため樺地は遥の言葉を信用することにした。
「……九条さんのことを……よく、ご存知なんですね……」
「もちのろん! だって麻美も含めて大親友だもん!」
にぱっと明るく笑うその表情に嘘偽りなど感じない。そんな遥の笑顔はとても眩しくもあり、暖かくも感じた樺地は釣られて口角を少しだけ上げて僅かに柔らかい表情をする。
樺地のレアな一面だというのに遥はそれに気づくことなく大親友の話に夢中になり、そのご尊顔を拝むことは出来なかった。