自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
恋を霞ませた魔法使い
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部活が始まる前に飲み物を買っておこうと宍戸は自販機へと向かっていた。すると、自販機近くに女子のグループがいて何やら不愉快そうに話をしていることに気づく。
(陰口か? もっと隠れてやれよな、激ダサだぜ)
胸の内で溜め息を吐いて気分が悪いなと思いながらそのグループの横を通り過ぎようとしたら、彼女達の言葉が宍戸の耳に入った。
「九条さんって生徒会にもいるし、テニス部のマネージャーにも入部するなんて絶対跡部様狙いよね」
「ぜーったいそうよっ。ほんと図々しいんだから!」
「身の程知らずもいいとこね。さっさと辞めればいいのに」
「誰にでもいい顔してて菩薩様気取りかっつーの」
盗み聞きするつもりはなかった。むしろ女子の声が大きいのでどうしても聞こえてしまう。
しかも所属するテニス部のマネージャーについての陰口だから尚更聞き捨てならないと思ったのか、宍戸は足を止めて女子達に声をかける。
「おい、お前ら。陰口なんてみっともねぇことすんのは周りに人がいないか確認しながらやれよ」
「あっ……」
「別に宍戸には関係ないでしょ!」
「うちの部なんだから関係あるに決まってんだろ、アホ! それに九条が誰にでもいい顔してるわけじゃねーからな。口うるせーときだってあんだよ。何も知らねぇくせにああだこうだ言うなっつーの!」
ムキになって言い返すと、女子達はバツ悪そうにしながらそれ以上返答することなく逃げるようにその場から去って行った。
「……ったく、僻みのくせに好き勝手言いやがって……」
小さく舌打ちをした宍戸は目的地である自販機に辿り着き、ポケットから小銭を投入した。
迷うことなくスポーツ飲料水を購入しようと指を伸ばしたら、すぐ近くに人の気配を覚えて彼は後ろを振り返る。
そこにはいつの間にか麻美が立っていて、宍戸は幽霊でも見たかのような驚きで「うおっ!?」と叫んだ拍子にボタンを押した。
ガコンとペットボトル飲料が取り出し口に落ちたが、しばらく固まった宍戸に麻美が無言で「さっさとしろ」と言わんばかりの圧を彼に向ける。
ハッとした宍戸は慌てて購入したペットボトルを手にすると、自販機の前を開けて麻美に譲る。
「悪ぃな……」
そう告げて宍戸はそそくさと彼女の前からさろうとしたそのとき。
「宍戸」
その言葉に彼はピタリと足を止める。宍戸と麻美が会話をするのはマネージャーの自己紹介以来だった。
そのときは彼女から『髪長くてチャラチャラしやがって、女みたいな奴だな』という発言を受けてキレた宍戸だったが、対する麻美は相手にすらしなかった。
そのことや諸々の彼女に関する悪評を聞いていることもあり、宍戸は麻美のことが完全に苦手であった。
出来るだけ関わらずにいたい宍戸だったが、まさか麻美から話しかけられるとは思ってもみなかったため、どう対応するか悩むも言葉を交わすことに決める。
「……なんだ?」
「あんた、秋とは仲いいわけ?」
突然の質問。その意図が分からない宍戸だったが、深く考えても仕方ねぇと思って正直に答えた。
「別に……」
「じゃあ、なんでさっきの女どもに突っかかったわけ?」
あぁ、あれを見てたのかと気づいた宍戸はもしかしたら麻美が変に勘違いをしてるかもしれないと思い理由を口にした。
「深い意味はねぇよ。九条とは一年の頃からずっと同じクラスだった腐れ縁みたいなもんだし、聞こえるように陰口を叩くのが腹立っただけだ」
「ふーん」
麻美は他人に興味を持たないことは宍戸も知っている。同時に秋と遥には心を開いていることも知っている。
二人を友人として認めているのなら秋に変な虫がつかないか監視をしてる可能性もあると考えて、勘違いだけはされないように伝えるが、麻美のたった一言の返事では怒ってるのかそうでないのか分からないので宍戸は背中に嫌な汗をかく。
「……」
「その心意気嫌いじゃないな」
「……へ?」
再度宍戸は固まった。それは一体どういう意味なのか問うべきか考えたがすぐに麻美が「早く行かないと遅れるぞ」と口にするので「お、おう」と返事をするしかなかった宍戸は疑問符を浮かべながら彼女の前から去った。
自販機に向き合う麻美の口元が少し緩んでいることに気づく者は誰もいなかった。
(下心のない奴もいるもんだな)
(……嫌いじゃないってことはもしかして俺は褒められたのか?)
しばらくしてそう気づいた宍戸は麻美に褒められたという事実が信じられず少しばかり混乱するも、あの狂犬とも呼ばれる彼女に褒められるのは悪い気はしないがどこか擽ったい気持ちになり、少し照れくさくなった宍戸は頭を掻いた。
(陰口か? もっと隠れてやれよな、激ダサだぜ)
胸の内で溜め息を吐いて気分が悪いなと思いながらそのグループの横を通り過ぎようとしたら、彼女達の言葉が宍戸の耳に入った。
「九条さんって生徒会にもいるし、テニス部のマネージャーにも入部するなんて絶対跡部様狙いよね」
「ぜーったいそうよっ。ほんと図々しいんだから!」
「身の程知らずもいいとこね。さっさと辞めればいいのに」
「誰にでもいい顔してて菩薩様気取りかっつーの」
盗み聞きするつもりはなかった。むしろ女子の声が大きいのでどうしても聞こえてしまう。
しかも所属するテニス部のマネージャーについての陰口だから尚更聞き捨てならないと思ったのか、宍戸は足を止めて女子達に声をかける。
「おい、お前ら。陰口なんてみっともねぇことすんのは周りに人がいないか確認しながらやれよ」
「あっ……」
「別に宍戸には関係ないでしょ!」
「うちの部なんだから関係あるに決まってんだろ、アホ! それに九条が誰にでもいい顔してるわけじゃねーからな。口うるせーときだってあんだよ。何も知らねぇくせにああだこうだ言うなっつーの!」
ムキになって言い返すと、女子達はバツ悪そうにしながらそれ以上返答することなく逃げるようにその場から去って行った。
「……ったく、僻みのくせに好き勝手言いやがって……」
小さく舌打ちをした宍戸は目的地である自販機に辿り着き、ポケットから小銭を投入した。
迷うことなくスポーツ飲料水を購入しようと指を伸ばしたら、すぐ近くに人の気配を覚えて彼は後ろを振り返る。
そこにはいつの間にか麻美が立っていて、宍戸は幽霊でも見たかのような驚きで「うおっ!?」と叫んだ拍子にボタンを押した。
ガコンとペットボトル飲料が取り出し口に落ちたが、しばらく固まった宍戸に麻美が無言で「さっさとしろ」と言わんばかりの圧を彼に向ける。
ハッとした宍戸は慌てて購入したペットボトルを手にすると、自販機の前を開けて麻美に譲る。
「悪ぃな……」
そう告げて宍戸はそそくさと彼女の前からさろうとしたそのとき。
「宍戸」
その言葉に彼はピタリと足を止める。宍戸と麻美が会話をするのはマネージャーの自己紹介以来だった。
そのときは彼女から『髪長くてチャラチャラしやがって、女みたいな奴だな』という発言を受けてキレた宍戸だったが、対する麻美は相手にすらしなかった。
そのことや諸々の彼女に関する悪評を聞いていることもあり、宍戸は麻美のことが完全に苦手であった。
出来るだけ関わらずにいたい宍戸だったが、まさか麻美から話しかけられるとは思ってもみなかったため、どう対応するか悩むも言葉を交わすことに決める。
「……なんだ?」
「あんた、秋とは仲いいわけ?」
突然の質問。その意図が分からない宍戸だったが、深く考えても仕方ねぇと思って正直に答えた。
「別に……」
「じゃあ、なんでさっきの女どもに突っかかったわけ?」
あぁ、あれを見てたのかと気づいた宍戸はもしかしたら麻美が変に勘違いをしてるかもしれないと思い理由を口にした。
「深い意味はねぇよ。九条とは一年の頃からずっと同じクラスだった腐れ縁みたいなもんだし、聞こえるように陰口を叩くのが腹立っただけだ」
「ふーん」
麻美は他人に興味を持たないことは宍戸も知っている。同時に秋と遥には心を開いていることも知っている。
二人を友人として認めているのなら秋に変な虫がつかないか監視をしてる可能性もあると考えて、勘違いだけはされないように伝えるが、麻美のたった一言の返事では怒ってるのかそうでないのか分からないので宍戸は背中に嫌な汗をかく。
「……」
「その心意気嫌いじゃないな」
「……へ?」
再度宍戸は固まった。それは一体どういう意味なのか問うべきか考えたがすぐに麻美が「早く行かないと遅れるぞ」と口にするので「お、おう」と返事をするしかなかった宍戸は疑問符を浮かべながら彼女の前から去った。
自販機に向き合う麻美の口元が少し緩んでいることに気づく者は誰もいなかった。
(下心のない奴もいるもんだな)
(……嫌いじゃないってことはもしかして俺は褒められたのか?)
しばらくしてそう気づいた宍戸は麻美に褒められたという事実が信じられず少しばかり混乱するも、あの狂犬とも呼ばれる彼女に褒められるのは悪い気はしないがどこか擽ったい気持ちになり、少し照れくさくなった宍戸は頭を掻いた。