自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
かくしてマネージャーは事件の真相を暴く
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「本当に申し訳ございませんでした」
「……」
翌日、その日は朝練はなかったが、跡部が日吉を朝早くから呼び出してマネージャー三人と水瀬と共に生徒会室に集う。
そして、部室荒らしの真犯人である水瀬から全ての経緯を説明され、彼女からの謝罪を受けた日吉は眉を寄せながらただ黙っていた。
「そいつの処分についてはお前が決めていい。うちから去ることも厭わないらしいぜ」
「……そうですか」
謝罪されるだけかと思ったが、まさか真犯人の処罰の権利を委ねられるとは思っていなかったため、日吉は目の前の覇気のない女子生徒をどうしてやろうか考える。
彼女のせいであらぬ疑いをかけられ、風評被害を受けた日吉の精神的苦痛も大きい。
どうせなら二度と顔も見たくないので退学させることも可能らしいし、学校から出て行かせるのも悪くないなと思った。
ちらり、とマネージャー達の様子を見ると秋と遥が不安げな表情をしていることに気づく。
麻美に至ってはいつもと変わらぬでかい態度なので最初から見ないようにしていた。
「……九条さん。あなたはどうしたらいいと思いますか?」
「え?」
「カメラがなければあなたが一番疑われましたし、この人もそのつもりだったんですよね? それなら、九条さんにも決める権利があるかと」
そう伝えると秋はまるで希望が見えたと言わんばかりの安堵の笑みを浮かべる。それは遥も同じ反応だった。
「私は……追い出すことは反対かな。本人もこうして反省しているし、更生の余地はあると思うの。追い出すのも恨むのも簡単だけど、それを許すことも私は大事かなって」
「それがあなたの考えですか……。分かりました。ではそれに従います」
「! い、いいの? 日吉くん?」
「えぇ、俺としては顔を見せなかったらもういいので。跡部さんからもちゃんと犯人が見つかったことを全校生徒に報告するんですよね?」
「もちろんだ。疑惑はしっかり晴らしてやる。名前の公表は?」
「そちらもお任せしますよ。俺は静かに過ごせばそれでいいので」
「分かった」
(どいつもこいつも対応が甘すぎだな。とっとと追い出せば一番いいだろうが)
あまりにも寛大な処置だったので麻美だけは不服そうな表情だった。秋に罪を着せたくせに一発も殴れないのは腹立たしいが、相手はすでに戦意喪失しているため殴っても憂さ晴らしも出来ない。
しかし、秋も遥も嬉しそうにしているので「まぁ、いいけど……」と溜め息をつく。
「ありがとう、ございます」
「もう結構ですので。これから俺の前に現れないでくださいよ。では、俺は失礼します」
「あ、日吉くんっ。本当にありがとう!」
生徒会室を出ようとする日吉が扉に手をかけると、秋が声をかけてお礼を伝える。すると日吉はぽつりと呟いた。
「あなたの言葉を信じたまでです。俺を信じた借りはこれでチャラですから」
「うん。ありがとう」
ふふっと笑いながら日吉の言い分を受け入れた秋を一瞥したあと、日吉は静かに生徒会室を出て行った。
「水瀬さん、良かったね! 学校辞めなくていいんだよ!」
「うん……本当に、ごめんなさい」
遥が嬉しそうに水瀬に話しかけるが、相手は未だに暗い表情のままだった。
「もう、いいんだよ。あたしはもう許してるから。それに水瀬さんとは友達なんだから」
「!」
思いもしなかった友達という言葉に水瀬は大きく反応を示し、目を丸くさせながら遥を見つめる。しかし、すぐに考えを改めるように目を逸らした。
「私は……もうあなたの友達になれる資格はないから……」
拒絶をする水瀬の様子に遥はムッとして、彼女の両手をしっかり握った。
「水瀬さん! あたし言ったよねっ? あたしの友達はあたしが決めるって! だからあたしと水瀬さんはお友達なの! オーケー?」
「西成さん……うん、ありがとう。よろしくお願いします」
ようやく小さく笑みを浮かべた水瀬に遥も満足気に口角を上げて笑った。
「水瀬。これが今回起こした破損した分の請求額だ」
そこへまるで水を差すかのように跡部が水瀬へ一枚の紙切れを手渡した。その数字は中学生が払える金額ではないのは確かだ。
「はい。すぐに全額払えるようにお願いしてみます」
「勘違いするな、水瀬。これは全部お前が払うんだ。家族だろうと手助けは許さねぇよ」
「……でも、私の手持ちでは全部支払えません」
「構わねぇよ。別に金に困っちゃいねぇ。何年かかってもいいからテメェで働いて返せ。いいな?」
「分かりました。家族への配慮ありがとうございます。私自身で償いたいと思います」
「優しいんだか優しくないんだか分からないなぁ、跡部は」
「ううん、むしろ良くしてくれてるから。ありがとうございます、跡部さん」
水瀬は家族が金銭面の負担をせず、全て自分が請け負うことを許されたので跡部に深く感謝を述べた。
「赤宮さん、九条さん、この度は大変ご迷惑をおかけしました。これからは大人しくしますし、お許しいただかなくても結構です。申し訳ございませんでした」
そして改めて麻美と秋に頭を下げて謝罪をする。
「私はもう大丈夫だよ。今度からはこんなことにならないように気をつけてね」
「ハッ。私は一生許すつもりはないから。変な因縁をつけられ面倒事に巻き込まれたんだからな。一生悔いて反省しながら過ごせ」
「はい」
その後、跡部が校内放送にて真犯人は見つかり事件は無事に解決したと伝えられる。そして彼の計らいにより真犯人である水瀬の名は伏せられた。深く反省し、更生の余地があるためと告げて。
こうして、男子テニス部部室の荒らし事件は解決したのだった。
「……」
翌日、その日は朝練はなかったが、跡部が日吉を朝早くから呼び出してマネージャー三人と水瀬と共に生徒会室に集う。
そして、部室荒らしの真犯人である水瀬から全ての経緯を説明され、彼女からの謝罪を受けた日吉は眉を寄せながらただ黙っていた。
「そいつの処分についてはお前が決めていい。うちから去ることも厭わないらしいぜ」
「……そうですか」
謝罪されるだけかと思ったが、まさか真犯人の処罰の権利を委ねられるとは思っていなかったため、日吉は目の前の覇気のない女子生徒をどうしてやろうか考える。
彼女のせいであらぬ疑いをかけられ、風評被害を受けた日吉の精神的苦痛も大きい。
どうせなら二度と顔も見たくないので退学させることも可能らしいし、学校から出て行かせるのも悪くないなと思った。
ちらり、とマネージャー達の様子を見ると秋と遥が不安げな表情をしていることに気づく。
麻美に至ってはいつもと変わらぬでかい態度なので最初から見ないようにしていた。
「……九条さん。あなたはどうしたらいいと思いますか?」
「え?」
「カメラがなければあなたが一番疑われましたし、この人もそのつもりだったんですよね? それなら、九条さんにも決める権利があるかと」
そう伝えると秋はまるで希望が見えたと言わんばかりの安堵の笑みを浮かべる。それは遥も同じ反応だった。
「私は……追い出すことは反対かな。本人もこうして反省しているし、更生の余地はあると思うの。追い出すのも恨むのも簡単だけど、それを許すことも私は大事かなって」
「それがあなたの考えですか……。分かりました。ではそれに従います」
「! い、いいの? 日吉くん?」
「えぇ、俺としては顔を見せなかったらもういいので。跡部さんからもちゃんと犯人が見つかったことを全校生徒に報告するんですよね?」
「もちろんだ。疑惑はしっかり晴らしてやる。名前の公表は?」
「そちらもお任せしますよ。俺は静かに過ごせばそれでいいので」
「分かった」
(どいつもこいつも対応が甘すぎだな。とっとと追い出せば一番いいだろうが)
あまりにも寛大な処置だったので麻美だけは不服そうな表情だった。秋に罪を着せたくせに一発も殴れないのは腹立たしいが、相手はすでに戦意喪失しているため殴っても憂さ晴らしも出来ない。
しかし、秋も遥も嬉しそうにしているので「まぁ、いいけど……」と溜め息をつく。
「ありがとう、ございます」
「もう結構ですので。これから俺の前に現れないでくださいよ。では、俺は失礼します」
「あ、日吉くんっ。本当にありがとう!」
生徒会室を出ようとする日吉が扉に手をかけると、秋が声をかけてお礼を伝える。すると日吉はぽつりと呟いた。
「あなたの言葉を信じたまでです。俺を信じた借りはこれでチャラですから」
「うん。ありがとう」
ふふっと笑いながら日吉の言い分を受け入れた秋を一瞥したあと、日吉は静かに生徒会室を出て行った。
「水瀬さん、良かったね! 学校辞めなくていいんだよ!」
「うん……本当に、ごめんなさい」
遥が嬉しそうに水瀬に話しかけるが、相手は未だに暗い表情のままだった。
「もう、いいんだよ。あたしはもう許してるから。それに水瀬さんとは友達なんだから」
「!」
思いもしなかった友達という言葉に水瀬は大きく反応を示し、目を丸くさせながら遥を見つめる。しかし、すぐに考えを改めるように目を逸らした。
「私は……もうあなたの友達になれる資格はないから……」
拒絶をする水瀬の様子に遥はムッとして、彼女の両手をしっかり握った。
「水瀬さん! あたし言ったよねっ? あたしの友達はあたしが決めるって! だからあたしと水瀬さんはお友達なの! オーケー?」
「西成さん……うん、ありがとう。よろしくお願いします」
ようやく小さく笑みを浮かべた水瀬に遥も満足気に口角を上げて笑った。
「水瀬。これが今回起こした破損した分の請求額だ」
そこへまるで水を差すかのように跡部が水瀬へ一枚の紙切れを手渡した。その数字は中学生が払える金額ではないのは確かだ。
「はい。すぐに全額払えるようにお願いしてみます」
「勘違いするな、水瀬。これは全部お前が払うんだ。家族だろうと手助けは許さねぇよ」
「……でも、私の手持ちでは全部支払えません」
「構わねぇよ。別に金に困っちゃいねぇ。何年かかってもいいからテメェで働いて返せ。いいな?」
「分かりました。家族への配慮ありがとうございます。私自身で償いたいと思います」
「優しいんだか優しくないんだか分からないなぁ、跡部は」
「ううん、むしろ良くしてくれてるから。ありがとうございます、跡部さん」
水瀬は家族が金銭面の負担をせず、全て自分が請け負うことを許されたので跡部に深く感謝を述べた。
「赤宮さん、九条さん、この度は大変ご迷惑をおかけしました。これからは大人しくしますし、お許しいただかなくても結構です。申し訳ございませんでした」
そして改めて麻美と秋に頭を下げて謝罪をする。
「私はもう大丈夫だよ。今度からはこんなことにならないように気をつけてね」
「ハッ。私は一生許すつもりはないから。変な因縁をつけられ面倒事に巻き込まれたんだからな。一生悔いて反省しながら過ごせ」
「はい」
その後、跡部が校内放送にて真犯人は見つかり事件は無事に解決したと伝えられる。そして彼の計らいにより真犯人である水瀬の名は伏せられた。深く反省し、更生の余地があるためと告げて。
こうして、男子テニス部部室の荒らし事件は解決したのだった。