自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
かくしてマネージャーは事件の真相を暴く
主人公名前変換
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それは桜舞う季節、氷帝学園中等部の入学式のこと。
新しい学校生活に期待と不安を抱えた当時の水瀬は緊張でいっぱいだった。
元から友人を作るのは得意ではなく、小学校時代も浅い仲の友人しかいなくて、中学生では絶対に親友と呼べる友人を一人は作りたいと願っていた。
しかし、周りは幼稚舎からの友人ばかりが固まっていて、入学式が始まる前にすでに友人の輪は出来ていた。あっちにもこっちにもそっちにも。
水瀬も氷帝学園幼稚舎出身だが、友人と呼べる友人もいないため、すでに出遅れていると知ってしまい酷く落ち込んだ。
そんなときだった。
「ねぇ、君。これ落ちたよ」
「え、えっ?」
突然後ろから声をかけられ、びくっと肩が跳ねた水瀬が後ろを振り返ると、そこには当時同じ一年の西成遥が新入生が付ける胸章を持って水瀬へと差し出した。
氷帝の名に相応しいアイスブルーの花の形をしたコサージュ。それを見た水瀬は自身の胸へと向けると、確かに装着してあったはずの新入生の証がなかった。
「あ、ありがとうございますっ」
「いいよいいよ、同じ一年生の仲だし! 中学生活楽しみだねー!」
コサージュを受け取り、本来ならばそこで会話も終わるはずなのに遥は中学生になったことでテンションが上がっているのか、目を輝かせながら今の気持ちを水瀬に伝えた。
しかし、彼女は素直にその言葉に頷けず俯いた。
「私は……友達が出来るか分からないし……」
「あらら? まだクラスにも行ってない内にそんなこと言っちゃうの? ノンノン。むしろ新しい学年になったばっかだから友達を作りやすいんだよ。何事も初めが肝心なのだ」
「……」
人差し指を横に振りながら得意げに答えるも、水瀬にはそんな自信がない。そんな彼女を見て遥は次の言葉に悩んでからすぐに思いついた。
「じゃあ、こうしよう! もし、友達が出来なかったらあたしが友達になるよ! 同じクラスだったら絶対に友達になれるし!」
「ほ、本当?」
「本当本当! けど、ここってクラスが多いから違うクラスだと探すの大変かもね。でももしあたしを見つけたら声かけてよ」
「う、うん」
「よし。じゃあ、約束!」
小指を出してニカッと笑う遥はまるで太陽のように眩しくて、水瀬の心を温かくした。
勇気づけられた水瀬は頑張って自分から声をかけて友人と呼べる人間を何人か得ることが出来た。
良かった、と思ったと同時に水瀬は気づいた。友人を得てしまったらあの子とは友達になれないのではないか、と。
確かに遥は友達が出来なかったら友達になるよと口にしていたが、友達が出来たら友達にならないよとは言っていない。
しかし、水瀬の中ではそう考えてしまい、せっかく素敵な人物と出会えたのに友達になれないことを酷く悔いてしまった。
それから二週間後、水瀬は食堂にて遥を見つけた。入学式以来で思わず嬉しくなる。
とはいえ、すでに彼女の周りには沢山の友人が出来ていて話しかける隙もない。
いや、話しかけたくてもこちらにも友人がいるのでその子達を置いて話しかける勇気はなかった。そもそも互いに名前すら知らなかったため、なんて呼べばいいのかも当時の水瀬には分からなかった。
運良く遥達の席の近くに座れた水瀬は向こうから気づいてくれないだろうかと念を送るも遥には通じなかった。
友人と話をしながら、時折遥達の話にも耳を傾ける。
そこでようやく彼女の名前を知ることが出来た水瀬は遥が部活に興味ないこともそのとき初めて知った。
時が流れれば流れるほど、遥は水瀬にとって遠い存在になっていく。
すれ違っても彼女の目に入ることはない。恐らく入学式の出来事すら覚えていないのかもしれない。
遥と友達になりたかった水瀬は友人を作らなければ良かったのではと考えることもあったが何を考えても今更遅かった。
遥とすれ違う度、遠くから眺める度、どうして自分はあの輪の中に入れないのか考えながら中学校生活を過ごす中、一大事件が水瀬の耳に入る。
西成遥が男子テニス部のマネージャーになったということ。
部活に興味がないと聞き耳を立てていた水瀬にとっては信じられなかった。現に三年生になっても遥は部活に入っているという話すら聞いたことがない。
それならば、何者かが無理やり彼女を部活に入れたのだと考えた水瀬は一番怪しい人間として彼女の友人でもある赤宮麻美と九条秋を疑った。
他の候補としては男子テニス部の部員だろう。水瀬の弟は男子テニス部に所属しているため、彼からマネージャーになるまでの話を聞いてみると、直接スカウトされたということを知り、正レギュラーと呼ばれる部員達のせいでもあるのかと水瀬の怒りは遥以外のマネージャーと正レギュラーへと向けられた。
きっと遥は友人想いなので嫌とは言えずに引き受けたのかもしれないと考えて。
(どうにかして西成さんを救わないと)
誰も彼女を救わないのなら私が手を貸さなければ。そして行き着いた水瀬の答えは『テニス部でマネージャーが犯人だと疑わしい事件を起こしてマネージャー達を退部させること』だった。
弟からの話により、部員達の中でもマネージャーを認めないという一定の層がいる。それなら一人がマネージャーとして相応しくない事件を起こせばマネージャー制度すら白紙になると思った水瀬は計画を立てた。
まずは物的証拠になりそうな物を手に入れるため、水瀬は麻美か秋のどちらかの私物を盗むことにした。
麻美は勘がいいのか、すぐに背後を気にしたり傍に寄るなオーラを溢れさせている。まるで全員が敵だとでも思っているような。
そうなれば残るは秋しかいない。遥には罪を着せるつもりはないのでターゲットは九条秋へと絞られた。あとはどうやって私物を手に入れるか、だったが思いの外チャンスは早かった。
秋を監視していると、彼女がハンカチを落としたのだ。しかも向こうは気づいていない。水瀬はそのチャンスを逃さなかった。
こうして水瀬は秋のハンカチを手に入れることが出来たのであとは秋を犯人に仕立てる事件を起こすだけ。
洗濯されていた弟のユニフォームを拝借し、髪が短いのをいいことに男子部員に成りすまして、部室清掃に励むマネージャー達が出て来るのを監視した。
部室の鍵を職員室へと返却されるので水瀬は廊下で隠れながら職員室に出て来た三人が見えなくなるまでしっかりと見届け、こっそりと部室の鍵を奪う。
そして正レギュラー専用の部室へと足を踏み入れた水瀬は怒りをぶつけるように部室内を荒らした。
遥を無理やり部活に入れたレギュラー達と二人のマネージャーへの恨みをたっぷりと。
仕上げに手に入れた秋のハンカチを部室内に落とせば完成だ。
新しい学校生活に期待と不安を抱えた当時の水瀬は緊張でいっぱいだった。
元から友人を作るのは得意ではなく、小学校時代も浅い仲の友人しかいなくて、中学生では絶対に親友と呼べる友人を一人は作りたいと願っていた。
しかし、周りは幼稚舎からの友人ばかりが固まっていて、入学式が始まる前にすでに友人の輪は出来ていた。あっちにもこっちにもそっちにも。
水瀬も氷帝学園幼稚舎出身だが、友人と呼べる友人もいないため、すでに出遅れていると知ってしまい酷く落ち込んだ。
そんなときだった。
「ねぇ、君。これ落ちたよ」
「え、えっ?」
突然後ろから声をかけられ、びくっと肩が跳ねた水瀬が後ろを振り返ると、そこには当時同じ一年の西成遥が新入生が付ける胸章を持って水瀬へと差し出した。
氷帝の名に相応しいアイスブルーの花の形をしたコサージュ。それを見た水瀬は自身の胸へと向けると、確かに装着してあったはずの新入生の証がなかった。
「あ、ありがとうございますっ」
「いいよいいよ、同じ一年生の仲だし! 中学生活楽しみだねー!」
コサージュを受け取り、本来ならばそこで会話も終わるはずなのに遥は中学生になったことでテンションが上がっているのか、目を輝かせながら今の気持ちを水瀬に伝えた。
しかし、彼女は素直にその言葉に頷けず俯いた。
「私は……友達が出来るか分からないし……」
「あらら? まだクラスにも行ってない内にそんなこと言っちゃうの? ノンノン。むしろ新しい学年になったばっかだから友達を作りやすいんだよ。何事も初めが肝心なのだ」
「……」
人差し指を横に振りながら得意げに答えるも、水瀬にはそんな自信がない。そんな彼女を見て遥は次の言葉に悩んでからすぐに思いついた。
「じゃあ、こうしよう! もし、友達が出来なかったらあたしが友達になるよ! 同じクラスだったら絶対に友達になれるし!」
「ほ、本当?」
「本当本当! けど、ここってクラスが多いから違うクラスだと探すの大変かもね。でももしあたしを見つけたら声かけてよ」
「う、うん」
「よし。じゃあ、約束!」
小指を出してニカッと笑う遥はまるで太陽のように眩しくて、水瀬の心を温かくした。
勇気づけられた水瀬は頑張って自分から声をかけて友人と呼べる人間を何人か得ることが出来た。
良かった、と思ったと同時に水瀬は気づいた。友人を得てしまったらあの子とは友達になれないのではないか、と。
確かに遥は友達が出来なかったら友達になるよと口にしていたが、友達が出来たら友達にならないよとは言っていない。
しかし、水瀬の中ではそう考えてしまい、せっかく素敵な人物と出会えたのに友達になれないことを酷く悔いてしまった。
それから二週間後、水瀬は食堂にて遥を見つけた。入学式以来で思わず嬉しくなる。
とはいえ、すでに彼女の周りには沢山の友人が出来ていて話しかける隙もない。
いや、話しかけたくてもこちらにも友人がいるのでその子達を置いて話しかける勇気はなかった。そもそも互いに名前すら知らなかったため、なんて呼べばいいのかも当時の水瀬には分からなかった。
運良く遥達の席の近くに座れた水瀬は向こうから気づいてくれないだろうかと念を送るも遥には通じなかった。
友人と話をしながら、時折遥達の話にも耳を傾ける。
そこでようやく彼女の名前を知ることが出来た水瀬は遥が部活に興味ないこともそのとき初めて知った。
時が流れれば流れるほど、遥は水瀬にとって遠い存在になっていく。
すれ違っても彼女の目に入ることはない。恐らく入学式の出来事すら覚えていないのかもしれない。
遥と友達になりたかった水瀬は友人を作らなければ良かったのではと考えることもあったが何を考えても今更遅かった。
遥とすれ違う度、遠くから眺める度、どうして自分はあの輪の中に入れないのか考えながら中学校生活を過ごす中、一大事件が水瀬の耳に入る。
西成遥が男子テニス部のマネージャーになったということ。
部活に興味がないと聞き耳を立てていた水瀬にとっては信じられなかった。現に三年生になっても遥は部活に入っているという話すら聞いたことがない。
それならば、何者かが無理やり彼女を部活に入れたのだと考えた水瀬は一番怪しい人間として彼女の友人でもある赤宮麻美と九条秋を疑った。
他の候補としては男子テニス部の部員だろう。水瀬の弟は男子テニス部に所属しているため、彼からマネージャーになるまでの話を聞いてみると、直接スカウトされたということを知り、正レギュラーと呼ばれる部員達のせいでもあるのかと水瀬の怒りは遥以外のマネージャーと正レギュラーへと向けられた。
きっと遥は友人想いなので嫌とは言えずに引き受けたのかもしれないと考えて。
(どうにかして西成さんを救わないと)
誰も彼女を救わないのなら私が手を貸さなければ。そして行き着いた水瀬の答えは『テニス部でマネージャーが犯人だと疑わしい事件を起こしてマネージャー達を退部させること』だった。
弟からの話により、部員達の中でもマネージャーを認めないという一定の層がいる。それなら一人がマネージャーとして相応しくない事件を起こせばマネージャー制度すら白紙になると思った水瀬は計画を立てた。
まずは物的証拠になりそうな物を手に入れるため、水瀬は麻美か秋のどちらかの私物を盗むことにした。
麻美は勘がいいのか、すぐに背後を気にしたり傍に寄るなオーラを溢れさせている。まるで全員が敵だとでも思っているような。
そうなれば残るは秋しかいない。遥には罪を着せるつもりはないのでターゲットは九条秋へと絞られた。あとはどうやって私物を手に入れるか、だったが思いの外チャンスは早かった。
秋を監視していると、彼女がハンカチを落としたのだ。しかも向こうは気づいていない。水瀬はそのチャンスを逃さなかった。
こうして水瀬は秋のハンカチを手に入れることが出来たのであとは秋を犯人に仕立てる事件を起こすだけ。
洗濯されていた弟のユニフォームを拝借し、髪が短いのをいいことに男子部員に成りすまして、部室清掃に励むマネージャー達が出て来るのを監視した。
部室の鍵を職員室へと返却されるので水瀬は廊下で隠れながら職員室に出て来た三人が見えなくなるまでしっかりと見届け、こっそりと部室の鍵を奪う。
そして正レギュラー専用の部室へと足を踏み入れた水瀬は怒りをぶつけるように部室内を荒らした。
遥を無理やり部活に入れたレギュラー達と二人のマネージャーへの恨みをたっぷりと。
仕上げに手に入れた秋のハンカチを部室内に落とせば完成だ。