自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
かくしてマネージャーは事件の真相を暴く
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そして翌日、遥は行動を起こす。
「あ、あの! 水瀬さん!」
作戦開始時刻、E組の教室に飛び込んだ遥はそのまま水瀬あずさの席の前へと迷うことなく駆け寄った。
「……西成さん?」
「一生のお願いなんだけど、数学の教科書貸してくれるかなっ!?」
パンッ! と、自身の顔の前に両手を合わせてお願いする様子に水瀬はしばらく黙ったままだった。
「だ、だめっ? 水瀬さんしか頼れなくって!」
遥にとって水瀬あずさは初対面。普通ならば友人でもない関係での教科書の貸し借りなら相手側も困惑することだろう。
とはいえ、遥は交友関係が広い人間でもあるので水瀬の友人の友人から彼女の人間性については知っている可能性もあるだろう。
そのため全く遥のことを知らないという人間は三年生にはあまりいないと思われる。
それでも遥には不安でしかない。やはりこの作戦は無理があるのでは? そう思っていると、目の前の彼女は机の中から数学の教科書を取り出した。
「そこまで懇願しなくてもいつだって貸せるよ」
「ほ、ほんとにっ!? 大丈夫っ!?」
「うん。数学はさっきの授業だったからもう使わないし。それに今更でしょ?」
「? そ、そっか! ありがと! ちょっと今日は忙しくて放課後に返すからそれまで借りてていい?」
今更という言葉に遥はピンとこなかったが、相手が快く貸してくれるみたいなので遥は心の中でホッとしながらも教科書を受け取った。
「いいよ。今日は部活もないし、教室で待ってるから」
「ほんとーにありがとう! 水瀬さん! あたしの命の恩人だよ!」
「大袈裟すぎるよ」
ふふっと笑う彼女に遥は何となく引っかかった。こんなに性格の良さそうな子が本当に部室荒らしの犯人なのだろうか、と。
(もし違ってたら悪いことしてるよね……)
少し胸がチクチクしながらも遥は水瀬あずさの教科書を持ってすぐに跡部へと渡した。
放課後までには結果が出るらしいが、遥は水瀬が犯人じゃなかったらいいのにと思うも、それだともう他の容疑者が見つからないので日吉が犯人と断定されてしまう確率が上がる。
想い人の樺地は彼は犯人じゃないと言っていたので遥としてはそれを信じたかった。
そして放課後、跡部から返された教科書を受け取った遥は指紋採取の結果が伝えられた。
「水瀬さん、お待たせ~……」
水瀬あずさと約束した放課後のE組の教室にて、遥は躊躇いながら教科書を持って彼女しかいない教室へと足を踏み込んだ。
「ごめんね、返すのがこんなに遅くなっちゃって……」
「いいよ、西成さんの役に立てたんだから」
「……あのさ、水瀬さんに聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「男テニの部室荒らし、知ってる?」
「あぁ……あれね。なんだか大変だったって聞いてるけど」
「ちなみになんだけど、男テニの部室って入ったことある?」
「まさか~。入れるわけないでしょ?」
「そうだよねぇ……」
「……」
はぁ、と遥が落胆する。水瀬は何かを察したように目つきが鋭くなった。
「ねぇ、それってどういう━━」
「それはこっちが聞きたいんだけど?」
「!」
二人しかいないと思っていた水瀬は突然声がした教室の入口へと目を向ける。そこには麻美と秋の姿があったため、全てを理解した水瀬は奥歯を強く噛み締めた。
「水瀬さん、部室に入ったことのないあなたがどうして部室のあちこちにあなたの指紋が残ってるの?」
「秋のハンカチにもあんたの指紋が出てきた。言い訳しても無駄だからな」
「……」
「どうして、こんなことしたの?」
「……」
追い詰められたからだろうか、水瀬は顔を俯かせてぼそぼそと呟く。近くにいた遥はその言葉が耳に入り、ぎょっとする。
「……あんた達の、せいでしょ! あんた達が西成さんを無理やり部活に入れるから!」
「えっ!?」
突然、原因が自分だと突きつけられ遥は酷く驚く。麻美にお前のせいかと睨まれるが彼女は慌てて首を横に振った。心当たりもないからだ。
「……どういうこと?」
「西成さんは部活には入りたくなかったの! そんなことも知らないのっ!?」
水瀬は激昂して自身の机を思い切り叩いた。そしてその勢いのまま彼女は語る。
一年の頃、周りから部活は入らないのかと尋ねられる当時の遥は『部活には興味ないかなー』と答えていた。
たったそれだけ。水瀬はそれをいつまでも覚えていたので突然男子テニス部のマネージャーになった遥のことが疑問だった。
水瀬が考えた結論は『遥は無理やり部活に入れさせられた』ということ。
それを聞かされた遥は水瀬の後ろで「そんなこと言ったような気もしなくもない」というような何とも言えない表情をしている。
そして麻美は腕を組み、わざとらしい溜め息を吐き捨てた。
「アホくさ。そんな前のことをごちゃごちゃ言ってるわけ? そんなもん月日が経ったらいくらでも考えが変わんだろーが」
「何? 自分の方が西成さんのことをよく知ってる友達だって煽ってるの? 自慢しないでよっ!」
「あ?」
斜め上のことを言われて気に食わなかったのか、赤宮がカチンと頭にきてしまった。それを察した秋が彼女の前に手を出して暴力を振るわないように制止する。
「待って、麻美。……ねぇ、水瀬さん。あなたは遥とどういう関係なの?」
有り得ないとは思うが、念の為に二人の関係性をしっかりと確認したい秋がそう尋ねると、水瀬の後ろに立つ遥は何も知らない、何も関係ないというように全力でふるふると首を横に振り続ける。
「……私、は、西成さんの友達……になりたかった赤の他人……」
友人でもなければ知り合いでもない赤の他人。言葉と共に寂しげに目を伏せる彼女の姿は女優でなければ嘘偽りないだろう。
「西成さんはもう覚えてないかもしれないけど、私達一度だけ言葉を交わしたことがあるの」
「え?」
今日、教科書を借りたこと? と思うものの、水瀬の様子を見るとさすがにそれはないかと遥も察する。
「一年の入学式。コサージュを拾ってくれたんだよ」
悲しげに笑う水瀬の言葉に遥は思い当たりがあったのか「あ」と呟いた。
「あ、あの! 水瀬さん!」
作戦開始時刻、E組の教室に飛び込んだ遥はそのまま水瀬あずさの席の前へと迷うことなく駆け寄った。
「……西成さん?」
「一生のお願いなんだけど、数学の教科書貸してくれるかなっ!?」
パンッ! と、自身の顔の前に両手を合わせてお願いする様子に水瀬はしばらく黙ったままだった。
「だ、だめっ? 水瀬さんしか頼れなくって!」
遥にとって水瀬あずさは初対面。普通ならば友人でもない関係での教科書の貸し借りなら相手側も困惑することだろう。
とはいえ、遥は交友関係が広い人間でもあるので水瀬の友人の友人から彼女の人間性については知っている可能性もあるだろう。
そのため全く遥のことを知らないという人間は三年生にはあまりいないと思われる。
それでも遥には不安でしかない。やはりこの作戦は無理があるのでは? そう思っていると、目の前の彼女は机の中から数学の教科書を取り出した。
「そこまで懇願しなくてもいつだって貸せるよ」
「ほ、ほんとにっ!? 大丈夫っ!?」
「うん。数学はさっきの授業だったからもう使わないし。それに今更でしょ?」
「? そ、そっか! ありがと! ちょっと今日は忙しくて放課後に返すからそれまで借りてていい?」
今更という言葉に遥はピンとこなかったが、相手が快く貸してくれるみたいなので遥は心の中でホッとしながらも教科書を受け取った。
「いいよ。今日は部活もないし、教室で待ってるから」
「ほんとーにありがとう! 水瀬さん! あたしの命の恩人だよ!」
「大袈裟すぎるよ」
ふふっと笑う彼女に遥は何となく引っかかった。こんなに性格の良さそうな子が本当に部室荒らしの犯人なのだろうか、と。
(もし違ってたら悪いことしてるよね……)
少し胸がチクチクしながらも遥は水瀬あずさの教科書を持ってすぐに跡部へと渡した。
放課後までには結果が出るらしいが、遥は水瀬が犯人じゃなかったらいいのにと思うも、それだともう他の容疑者が見つからないので日吉が犯人と断定されてしまう確率が上がる。
想い人の樺地は彼は犯人じゃないと言っていたので遥としてはそれを信じたかった。
そして放課後、跡部から返された教科書を受け取った遥は指紋採取の結果が伝えられた。
「水瀬さん、お待たせ~……」
水瀬あずさと約束した放課後のE組の教室にて、遥は躊躇いながら教科書を持って彼女しかいない教室へと足を踏み込んだ。
「ごめんね、返すのがこんなに遅くなっちゃって……」
「いいよ、西成さんの役に立てたんだから」
「……あのさ、水瀬さんに聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「男テニの部室荒らし、知ってる?」
「あぁ……あれね。なんだか大変だったって聞いてるけど」
「ちなみになんだけど、男テニの部室って入ったことある?」
「まさか~。入れるわけないでしょ?」
「そうだよねぇ……」
「……」
はぁ、と遥が落胆する。水瀬は何かを察したように目つきが鋭くなった。
「ねぇ、それってどういう━━」
「それはこっちが聞きたいんだけど?」
「!」
二人しかいないと思っていた水瀬は突然声がした教室の入口へと目を向ける。そこには麻美と秋の姿があったため、全てを理解した水瀬は奥歯を強く噛み締めた。
「水瀬さん、部室に入ったことのないあなたがどうして部室のあちこちにあなたの指紋が残ってるの?」
「秋のハンカチにもあんたの指紋が出てきた。言い訳しても無駄だからな」
「……」
「どうして、こんなことしたの?」
「……」
追い詰められたからだろうか、水瀬は顔を俯かせてぼそぼそと呟く。近くにいた遥はその言葉が耳に入り、ぎょっとする。
「……あんた達の、せいでしょ! あんた達が西成さんを無理やり部活に入れるから!」
「えっ!?」
突然、原因が自分だと突きつけられ遥は酷く驚く。麻美にお前のせいかと睨まれるが彼女は慌てて首を横に振った。心当たりもないからだ。
「……どういうこと?」
「西成さんは部活には入りたくなかったの! そんなことも知らないのっ!?」
水瀬は激昂して自身の机を思い切り叩いた。そしてその勢いのまま彼女は語る。
一年の頃、周りから部活は入らないのかと尋ねられる当時の遥は『部活には興味ないかなー』と答えていた。
たったそれだけ。水瀬はそれをいつまでも覚えていたので突然男子テニス部のマネージャーになった遥のことが疑問だった。
水瀬が考えた結論は『遥は無理やり部活に入れさせられた』ということ。
それを聞かされた遥は水瀬の後ろで「そんなこと言ったような気もしなくもない」というような何とも言えない表情をしている。
そして麻美は腕を組み、わざとらしい溜め息を吐き捨てた。
「アホくさ。そんな前のことをごちゃごちゃ言ってるわけ? そんなもん月日が経ったらいくらでも考えが変わんだろーが」
「何? 自分の方が西成さんのことをよく知ってる友達だって煽ってるの? 自慢しないでよっ!」
「あ?」
斜め上のことを言われて気に食わなかったのか、赤宮がカチンと頭にきてしまった。それを察した秋が彼女の前に手を出して暴力を振るわないように制止する。
「待って、麻美。……ねぇ、水瀬さん。あなたは遥とどういう関係なの?」
有り得ないとは思うが、念の為に二人の関係性をしっかりと確認したい秋がそう尋ねると、水瀬の後ろに立つ遥は何も知らない、何も関係ないというように全力でふるふると首を横に振り続ける。
「……私、は、西成さんの友達……になりたかった赤の他人……」
友人でもなければ知り合いでもない赤の他人。言葉と共に寂しげに目を伏せる彼女の姿は女優でなければ嘘偽りないだろう。
「西成さんはもう覚えてないかもしれないけど、私達一度だけ言葉を交わしたことがあるの」
「え?」
今日、教科書を借りたこと? と思うものの、水瀬の様子を見るとさすがにそれはないかと遥も察する。
「一年の入学式。コサージュを拾ってくれたんだよ」
悲しげに笑う水瀬の言葉に遥は思い当たりがあったのか「あ」と呟いた。