自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
犯人探しに動く者達
主人公名前変換
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翌日の二時限終わりの休憩時間。遥は自分の担当となる三年生の教室で調査を始めることにした。
スマホで姉妹の名前とクラスを確認し、彼女が調べる人数は八人だと頭に入れる。
(それにしても半分くらいの子は元クラスメイトだったり友達だったり話したことのある子ばっかだ)
同学年ということあり、幅広い交友関係を持つ遥にとっては跡部から受け取った人物名は友人や顔見知りばかり。
しかし、彼女の記憶では日吉の髪型に似た女子はいない。それでもまだ関わったことのない名前の子もいるので先にその人物から当たることに決めた。
(三年E組……ここには水瀬俊二 の姉である水瀬 あずさがいる)
E組の教室の前に立ち、彼女がいるかクラスメイトに確認をしようとしたそのときだった。
「遥、こんな所で何しとるん?」
「びょわああああっ!!」
突然耳元に吐息混じりの低音ボイスが背後から囁かれ、遥は心臓が飛び跳ねながら奇妙な叫び声を上げた。
「なっ、ななな、忍足っ!?」
「せや。そないに驚かんでもえぇやん?」
「お、驚くに決まってんじゃんか! 心臓がいくつあっても足りないやい!」
「つまり、俺にドキドキしとるってことやな?」
「違う意味でね!? 主に恐怖的なね!」
「確かに慣れへん感情やと恐いもんやもんなぁ」
「絶対あたしの言いたいこと分かってくれてないよねっ!?」
話が通じない忍足に遥は頭を抱えたくなった。
忍足はというと、そんなことよりも遥の目的の方が気になり再度質問をする。
「そないなことよりE組の前で何真剣な顔しとるん?」
「えーと……ちょっと任務的な……」
「任務? ……あぁ、ここに書かれとる名前の子達に用があるんか?」
スマホを持つ遥の手を取り、その画面を覗き見しながら尋ねる忍足。遥は慌ててその手から逃げ出した。
「プライバシーの侵害ですーー!!」
「すまんすまん。で、それよりこの水瀬さんって子を探しとるんちゃうの?」
「そうだけど……」
「大方あの事件の容疑者候補なんやろな。えぇで、俺は見とくし、なんかあったらフォローはするから任務遂行してき」
「う、うむ……」
なぜ忍足と一緒に調査をすることになったのか分からないまま、遥は近くにいたE組の女子に声をかけた。
「あ、ねぇねぇ、君。このクラスに水瀬あずさって子がいるはずなんだけど、今クラスにいる? どの子か分かるかな?」
そこでふと遥は気になった。元々日吉の髪型は特徴的なのでそう簡単に似てる人間なんているのかと。
「水瀬さん? あそこの窓側に座ってる子よ」
そう言って教えてくれた場所を見ると、なんと日吉と同じ髪色と若干髪型の雰囲気が似てる女子が席についていた。
(い、いたーー!!)
え? そう簡単に似てる人間っているものなの!? と思わずにはいられなかった。
しかし完璧に日吉の髪型と一致してるわけじゃない。彼女の髪型は日吉と同じ丸みのある膨らんだマッシュ頭ではあるが、襟足が少し長めで前髪はヘアピンで留められていて額が僅かながら出ていた。
だが、監視カメラは頭上からしか映っていない。多少長いくらいの襟足はユニフォームに隠せるし、ヘアピンも取ってしまえば前髪もそっくりに出来る。
まさか一番手にこれほどまで監視カメラの人物に近い相手が見つかるとは思っていなかったので遥も戸惑ってしまった。
一連の流れを見た忍足は遥にぼそりと話しかける。その際、彼女はまたビクッと肩を跳ねてしまった。
「あれはピンを取ってしもうたらめっちゃ似とるなぁ?」
「そっ! そうだね……重要参考人だ……」
「ねぇ、水瀬さん呼んでこようか? 用があるんでしょ?」
「え、えっと……」
ここで容疑者と接触すべきかどうか悩んでしまう。もしかしたら疑ってることを怪しまれるかもしれないし、だからと言って用がないですと目の前の子に言うのも怪しいだろう。下手をすれば「変な人がいたんだけど……」と本人に報告しかねない。
「あぁ、大丈夫やで。ちょっと伝言だけ頼まれてくれたらえぇから」
「えっ?」
ここでまさかの忍足が会話に入る。これが彼の言うフォローなのだろう。遥は戸惑いながらも忍足に任せることにした。
「いいよ、なんて言えばいい?」
「今、うちの部でちょっとした事件があったんは知っとるやろ? そんで誤った情報が流れたりしとるから、部員の身内で変な噂立てたりせんようにって言い回ってるとこやねん。それを水瀬さんに伝えてくれるよう頼むわ」
「分かった。私から伝えとくわ」
「おおきにな」
「あ、ありがとう。それじゃあ!」
それらしい理由を涼しい顔で言う忍足に遥は「恐ろしい男じゃ……」と思いながらなんとか怪しまれずに去ることが出来た。
E組の教室から離れて、人通りの少ない廊下まで来ると遥はぽつりと口を開いた。
「あ、ありがとう……おかげで怪しまれずにすんだよ」
「かまへんよ。せやけど下心はあるで」
「やめてくれませんかね!?」
遥が自分の身を守るように素早く後退りしながら自分自身を抱きしめる。そんなあからさまな拒絶に忍足は遠い目をした。
「信用なさすぎやん……俺、変なことはまだしてへんやろ?」
「まだって何っ!? まだって!」
「それに俺はな、好きな子は大事にしたいタイプやねん」
遥が後退る分、忍足もその距離を縮めながら彼女の手を取り、優しく手の甲に唇を寄せた。
普通の女子ならば大抵はときめくであろうそのシチュエーション。しかし遥の反応は違った。鳥肌が立ち、怯えるようなリアクションで「あばーーーーっ!!」とおかしげな叫び声を上げて忍足からその手を勢いよく離す。
「グッバイ!!」
このまま奴の傍にいては色気で殺される! 怖い! そう思った遥は青白い顔をしたまま脱兎の勢いで彼の前から逃げ出した。
残された忍足はその後ろ姿を見送り、見えなくなったところで深い溜め息を吐き出す。
「……自業自得とはいえ、信用されなさすぎやん」
スマホで姉妹の名前とクラスを確認し、彼女が調べる人数は八人だと頭に入れる。
(それにしても半分くらいの子は元クラスメイトだったり友達だったり話したことのある子ばっかだ)
同学年ということあり、幅広い交友関係を持つ遥にとっては跡部から受け取った人物名は友人や顔見知りばかり。
しかし、彼女の記憶では日吉の髪型に似た女子はいない。それでもまだ関わったことのない名前の子もいるので先にその人物から当たることに決めた。
(三年E組……ここには
E組の教室の前に立ち、彼女がいるかクラスメイトに確認をしようとしたそのときだった。
「遥、こんな所で何しとるん?」
「びょわああああっ!!」
突然耳元に吐息混じりの低音ボイスが背後から囁かれ、遥は心臓が飛び跳ねながら奇妙な叫び声を上げた。
「なっ、ななな、忍足っ!?」
「せや。そないに驚かんでもえぇやん?」
「お、驚くに決まってんじゃんか! 心臓がいくつあっても足りないやい!」
「つまり、俺にドキドキしとるってことやな?」
「違う意味でね!? 主に恐怖的なね!」
「確かに慣れへん感情やと恐いもんやもんなぁ」
「絶対あたしの言いたいこと分かってくれてないよねっ!?」
話が通じない忍足に遥は頭を抱えたくなった。
忍足はというと、そんなことよりも遥の目的の方が気になり再度質問をする。
「そないなことよりE組の前で何真剣な顔しとるん?」
「えーと……ちょっと任務的な……」
「任務? ……あぁ、ここに書かれとる名前の子達に用があるんか?」
スマホを持つ遥の手を取り、その画面を覗き見しながら尋ねる忍足。遥は慌ててその手から逃げ出した。
「プライバシーの侵害ですーー!!」
「すまんすまん。で、それよりこの水瀬さんって子を探しとるんちゃうの?」
「そうだけど……」
「大方あの事件の容疑者候補なんやろな。えぇで、俺は見とくし、なんかあったらフォローはするから任務遂行してき」
「う、うむ……」
なぜ忍足と一緒に調査をすることになったのか分からないまま、遥は近くにいたE組の女子に声をかけた。
「あ、ねぇねぇ、君。このクラスに水瀬あずさって子がいるはずなんだけど、今クラスにいる? どの子か分かるかな?」
そこでふと遥は気になった。元々日吉の髪型は特徴的なのでそう簡単に似てる人間なんているのかと。
「水瀬さん? あそこの窓側に座ってる子よ」
そう言って教えてくれた場所を見ると、なんと日吉と同じ髪色と若干髪型の雰囲気が似てる女子が席についていた。
(い、いたーー!!)
え? そう簡単に似てる人間っているものなの!? と思わずにはいられなかった。
しかし完璧に日吉の髪型と一致してるわけじゃない。彼女の髪型は日吉と同じ丸みのある膨らんだマッシュ頭ではあるが、襟足が少し長めで前髪はヘアピンで留められていて額が僅かながら出ていた。
だが、監視カメラは頭上からしか映っていない。多少長いくらいの襟足はユニフォームに隠せるし、ヘアピンも取ってしまえば前髪もそっくりに出来る。
まさか一番手にこれほどまで監視カメラの人物に近い相手が見つかるとは思っていなかったので遥も戸惑ってしまった。
一連の流れを見た忍足は遥にぼそりと話しかける。その際、彼女はまたビクッと肩を跳ねてしまった。
「あれはピンを取ってしもうたらめっちゃ似とるなぁ?」
「そっ! そうだね……重要参考人だ……」
「ねぇ、水瀬さん呼んでこようか? 用があるんでしょ?」
「え、えっと……」
ここで容疑者と接触すべきかどうか悩んでしまう。もしかしたら疑ってることを怪しまれるかもしれないし、だからと言って用がないですと目の前の子に言うのも怪しいだろう。下手をすれば「変な人がいたんだけど……」と本人に報告しかねない。
「あぁ、大丈夫やで。ちょっと伝言だけ頼まれてくれたらえぇから」
「えっ?」
ここでまさかの忍足が会話に入る。これが彼の言うフォローなのだろう。遥は戸惑いながらも忍足に任せることにした。
「いいよ、なんて言えばいい?」
「今、うちの部でちょっとした事件があったんは知っとるやろ? そんで誤った情報が流れたりしとるから、部員の身内で変な噂立てたりせんようにって言い回ってるとこやねん。それを水瀬さんに伝えてくれるよう頼むわ」
「分かった。私から伝えとくわ」
「おおきにな」
「あ、ありがとう。それじゃあ!」
それらしい理由を涼しい顔で言う忍足に遥は「恐ろしい男じゃ……」と思いながらなんとか怪しまれずに去ることが出来た。
E組の教室から離れて、人通りの少ない廊下まで来ると遥はぽつりと口を開いた。
「あ、ありがとう……おかげで怪しまれずにすんだよ」
「かまへんよ。せやけど下心はあるで」
「やめてくれませんかね!?」
遥が自分の身を守るように素早く後退りしながら自分自身を抱きしめる。そんなあからさまな拒絶に忍足は遠い目をした。
「信用なさすぎやん……俺、変なことはまだしてへんやろ?」
「まだって何っ!? まだって!」
「それに俺はな、好きな子は大事にしたいタイプやねん」
遥が後退る分、忍足もその距離を縮めながら彼女の手を取り、優しく手の甲に唇を寄せた。
普通の女子ならば大抵はときめくであろうそのシチュエーション。しかし遥の反応は違った。鳥肌が立ち、怯えるようなリアクションで「あばーーーーっ!!」とおかしげな叫び声を上げて忍足からその手を勢いよく離す。
「グッバイ!!」
このまま奴の傍にいては色気で殺される! 怖い! そう思った遥は青白い顔をしたまま脱兎の勢いで彼の前から逃げ出した。
残された忍足はその後ろ姿を見送り、見えなくなったところで深い溜め息を吐き出す。
「……自業自得とはいえ、信用されなさすぎやん」