自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
犯人探しに動く者達
主人公名前変換
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昼食の時間、鳳はクラスの友人達と食堂へ向かってる途中だった。
廊下をワイワイと話をしながら、間もなく目的地に到着するというそのとき。すれ違った男子生徒達が「男テニの部室荒らしについて知ってるか?」と話す会話が彼の耳に入り、立ち止まった。
「……」
「鳳? どうしたんだ?」
「あ、うん。……ごめん、先に行ってて。すぐに戻るから
!」
「えっ? お、おい!」
突然友人の輪から飛び出した鳳に彼らは困惑したのち「トイレかもな?」と結論付けた。
「知ってる知ってる。すげー噂になってるよな。まだ犯人捕まってねぇのか?」
「どうやらその犯人ってうちのクラスにいる日吉らしくてよ。マネージャーに罪をなすりつけてたって話だぜ」
「マジかよ? さすがにそれはないよなー。まぁ、あいつなんか陰険そうだし、やりかねないかもな」
会話が気になってすれ違った二人組の男子を追いかける鳳は酷い噂話に息が詰まる。このままでは駄目だと鳳はぎゅっと強く手を握り締めた。
「ねぇ、待って……。そんな証拠もない話をして日吉を傷つけないでよ」
「え……なんだよ、いきなり」
男子生徒の後ろから勇気を振り絞って声をかける。二人組が怪訝な表情で振り向けば一人の生徒が「あ」と口にした。
「こいつテニス部レギュラーの鳳じゃん」
「あ~……日吉のダチか? いや、ダチなら今回の件でとっくに見限ってるか」
「だから日吉は何もしてないって……!」
「マネージャーを煙たがってのは本当だろ? 退部させるために部室を荒らしたっていう方が納得するけどな」
「ていうか、わざわざ言いに来るなんてあの暗そうな奴に泣きつかれたか? いいように使われて大変だなー、いい子ちゃんは」
馬鹿にするように笑う二人組に鳳の言葉は届かない。心にもない言葉ばかり口にされ、友人でもあり仲間でもある日吉を自分の力では噂を払拭出来ないのが悔しくて、歯痒くて仕方なかった。
そのときだった。
「つまんない話をしてるんだな」
「「!」」
鳳達の前に不機嫌な顔をした麻美が姿を現した。
「当事者でもない奴らが噂如きに振り回されて真相も知らないで好き勝手言ってんじゃねぇよ」
「今度はなんだよ……」
「ばっ……! あれは赤宮だぞ!」
「なっ、はぁ!?」
「は? “赤宮”? お前ら二年のくせに上級生を呼び捨てにするほど偉いのか? 上下関係も分からんサルはしっかり指導してやらねぇとな」
後輩に呼び捨てにされたことがよほど腹が立ったのか、麻美はボキボキと拳を鳴らしながら男子生徒との距離を詰める。
「い、いえ! すみませんでした! 赤宮先輩!」
「もう一度言う。部外者が調べもしないで古い情報に踊らされてあれこれ言ってんじゃねぇ。こっちの事情に何一つ口にするな」
「は、はいっ!!」
至近距離でガンをつける麻美に恐怖の数値が突破してしまったのか、大きな声で返事をして二人はその場から逃げ出した。
「っち。根性なしめ。いい子ちゃんにも悪い子ちゃんにもなれない半端者の雑魚が……」
「あ、あの、赤宮先輩、ありがとうございました」
方法はめちゃくちゃではあるが、鳳の言いたいことを言ってくれたので少なからず胸がすく。その言い方は別として。
「廊下で耳障りな声が聞こえたからたまたまだけど」
「いえ、それでも……俺では馬鹿にされただけでしたので」
「あんたも真面目だな。いちいちああやって否定しに行くわけ? そんなことせず真犯人が見つかるまで放っておけばいいものの」
「でも、それだと日吉がずっと疑われたままですから……」
しゅんとまるで怒られた犬のように悲しげに話す鳳に麻美は犬耳の幻覚が見えるような気がした。
「俺、早くこの事件を解決したいんです。日吉もマネージャーの皆さんも安心してもらえるように」
「犯人探しは跡部がなんとかしてくれるだろ。待てばいいだけだ」
「それでも俺、何かしたくて……跡部さんにお手伝い出来ることはないか聞いたんです」
(聞いたのか……)
「跡部さんは『悪い噂が立っていたらそれを阻止しておけ』と役割を与えてくれたんです」
「あぁ、だからか」
「でも……上手くいかないですね。俺にもみんなを助けることをしたいのに……」
どうやら自分は注意することに向いていないと感じたのか、鳳は更に落ち込む様子を見せる。鬱々とした彼に麻美は面倒臭そうに溜め息を吐き捨てた。
「たった一回失敗しただけで落ち込むな。駄目でもやることに意味があるんだろ。人間みんな同じ反応が返ってくるわけじゃないんだからやれることをやれ。テニス部の正レギュラーなら根性見せろ」
腕を組みながら威圧的な態度で鳳に説き伏せる。大体の人間ならば彼女のその姿に恐れをなして言われるがままに頷くだろう。
しかし、鳳はしっかりとその言葉を聞いて深く頷いた。
「そう、ですよね。確かにみんながみんなあの人達みたいな反応はしませんよね! やはり話し合えば分かってくれるはずです!」
麻美の言葉がすとんと彼の胸の中に上手く落ちたのか、納得すると笑顔ですぐに前向きな思考に切り替わる。彼のバックには世界平和という文字が見えてきそうな勢いだった。
「……まぁ、程々でいいと思うけど」
「いえ、赤宮先輩の言う通りやれることをやります! 激励をありがとうございました! やっぱり赤宮先輩は優しい人ですね」
「それほどでもあるけど」
麻美は謙遜はしなかった。むしろ優しいと思ってる節さえあるくらい。
しかし、目の前でパッと明るく笑う後輩の姿はもはや光属性。眩しささえ覚えた麻美は思わず目元を手で覆いながら健気かよ……と小さく呟いた。
(早く犯人を取っ捕まえないとこいつにいらん負担をかけてしまうな)
廊下をワイワイと話をしながら、間もなく目的地に到着するというそのとき。すれ違った男子生徒達が「男テニの部室荒らしについて知ってるか?」と話す会話が彼の耳に入り、立ち止まった。
「……」
「鳳? どうしたんだ?」
「あ、うん。……ごめん、先に行ってて。すぐに戻るから
!」
「えっ? お、おい!」
突然友人の輪から飛び出した鳳に彼らは困惑したのち「トイレかもな?」と結論付けた。
「知ってる知ってる。すげー噂になってるよな。まだ犯人捕まってねぇのか?」
「どうやらその犯人ってうちのクラスにいる日吉らしくてよ。マネージャーに罪をなすりつけてたって話だぜ」
「マジかよ? さすがにそれはないよなー。まぁ、あいつなんか陰険そうだし、やりかねないかもな」
会話が気になってすれ違った二人組の男子を追いかける鳳は酷い噂話に息が詰まる。このままでは駄目だと鳳はぎゅっと強く手を握り締めた。
「ねぇ、待って……。そんな証拠もない話をして日吉を傷つけないでよ」
「え……なんだよ、いきなり」
男子生徒の後ろから勇気を振り絞って声をかける。二人組が怪訝な表情で振り向けば一人の生徒が「あ」と口にした。
「こいつテニス部レギュラーの鳳じゃん」
「あ~……日吉のダチか? いや、ダチなら今回の件でとっくに見限ってるか」
「だから日吉は何もしてないって……!」
「マネージャーを煙たがってのは本当だろ? 退部させるために部室を荒らしたっていう方が納得するけどな」
「ていうか、わざわざ言いに来るなんてあの暗そうな奴に泣きつかれたか? いいように使われて大変だなー、いい子ちゃんは」
馬鹿にするように笑う二人組に鳳の言葉は届かない。心にもない言葉ばかり口にされ、友人でもあり仲間でもある日吉を自分の力では噂を払拭出来ないのが悔しくて、歯痒くて仕方なかった。
そのときだった。
「つまんない話をしてるんだな」
「「!」」
鳳達の前に不機嫌な顔をした麻美が姿を現した。
「当事者でもない奴らが噂如きに振り回されて真相も知らないで好き勝手言ってんじゃねぇよ」
「今度はなんだよ……」
「ばっ……! あれは赤宮だぞ!」
「なっ、はぁ!?」
「は? “赤宮”? お前ら二年のくせに上級生を呼び捨てにするほど偉いのか? 上下関係も分からんサルはしっかり指導してやらねぇとな」
後輩に呼び捨てにされたことがよほど腹が立ったのか、麻美はボキボキと拳を鳴らしながら男子生徒との距離を詰める。
「い、いえ! すみませんでした! 赤宮先輩!」
「もう一度言う。部外者が調べもしないで古い情報に踊らされてあれこれ言ってんじゃねぇ。こっちの事情に何一つ口にするな」
「は、はいっ!!」
至近距離でガンをつける麻美に恐怖の数値が突破してしまったのか、大きな声で返事をして二人はその場から逃げ出した。
「っち。根性なしめ。いい子ちゃんにも悪い子ちゃんにもなれない半端者の雑魚が……」
「あ、あの、赤宮先輩、ありがとうございました」
方法はめちゃくちゃではあるが、鳳の言いたいことを言ってくれたので少なからず胸がすく。その言い方は別として。
「廊下で耳障りな声が聞こえたからたまたまだけど」
「いえ、それでも……俺では馬鹿にされただけでしたので」
「あんたも真面目だな。いちいちああやって否定しに行くわけ? そんなことせず真犯人が見つかるまで放っておけばいいものの」
「でも、それだと日吉がずっと疑われたままですから……」
しゅんとまるで怒られた犬のように悲しげに話す鳳に麻美は犬耳の幻覚が見えるような気がした。
「俺、早くこの事件を解決したいんです。日吉もマネージャーの皆さんも安心してもらえるように」
「犯人探しは跡部がなんとかしてくれるだろ。待てばいいだけだ」
「それでも俺、何かしたくて……跡部さんにお手伝い出来ることはないか聞いたんです」
(聞いたのか……)
「跡部さんは『悪い噂が立っていたらそれを阻止しておけ』と役割を与えてくれたんです」
「あぁ、だからか」
「でも……上手くいかないですね。俺にもみんなを助けることをしたいのに……」
どうやら自分は注意することに向いていないと感じたのか、鳳は更に落ち込む様子を見せる。鬱々とした彼に麻美は面倒臭そうに溜め息を吐き捨てた。
「たった一回失敗しただけで落ち込むな。駄目でもやることに意味があるんだろ。人間みんな同じ反応が返ってくるわけじゃないんだからやれることをやれ。テニス部の正レギュラーなら根性見せろ」
腕を組みながら威圧的な態度で鳳に説き伏せる。大体の人間ならば彼女のその姿に恐れをなして言われるがままに頷くだろう。
しかし、鳳はしっかりとその言葉を聞いて深く頷いた。
「そう、ですよね。確かにみんながみんなあの人達みたいな反応はしませんよね! やはり話し合えば分かってくれるはずです!」
麻美の言葉がすとんと彼の胸の中に上手く落ちたのか、納得すると笑顔ですぐに前向きな思考に切り替わる。彼のバックには世界平和という文字が見えてきそうな勢いだった。
「……まぁ、程々でいいと思うけど」
「いえ、赤宮先輩の言う通りやれることをやります! 激励をありがとうございました! やっぱり赤宮先輩は優しい人ですね」
「それほどでもあるけど」
麻美は謙遜はしなかった。むしろ優しいと思ってる節さえあるくらい。
しかし、目の前でパッと明るく笑う後輩の姿はもはや光属性。眩しささえ覚えた麻美は思わず目元を手で覆いながら健気かよ……と小さく呟いた。
(早く犯人を取っ捕まえないとこいつにいらん負担をかけてしまうな)