自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
犯人探しに動く者達
主人公名前変換
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「くそっ……! なんで俺が!」
部室荒らしが起きてから二日後。日吉は己に向けられる視線が多くなっていることに嫌というほど気づいていた。
羨望でも嫉妬でも桃色の視線でもない。紛れもなく疑いの目であった。
男子テニス部で起きた事件だ。隠そうとしてもどこからか情報は漏れるだろうし、それが学校中に広がるのも早い。
監視カメラの人物が日吉だと信じている者が少なからずいるため、まだ犯人だと決まっていないのに沢山の疑惑の目が日吉へと突き刺さる。
休み時間でさえも心が休まることなく、とうとう昼休みに居心地の悪い教室を出た日吉は今の現状が腹立たしくて仕方なかった。
何人かのクラスメイトが興味本位で「日吉が部室を荒らしたのか?」と尋ねる者もいたが、その度に日吉は「俺じゃない」と不機嫌そうに答えるも「そっか……」と信じるような態度は見受けられなかった。
(むしゃくしゃする……それもこれも全部あいつらが……あのマネージャー達のせいだ! どうせあいつらを恨んでる奴の犯行なのにこの俺まで巻き込まれるなんて!)
苛立ちが顔にまで出てしまった日吉は行くあてもなく校内を歩き回る。静かな場所にいたいという無意識さなのか、彼は気づけば図書室の前へ歩みを止めた。
私語厳禁なこの場所なら視線があっても耳障りな声は入ってこないだろう。そう思って扉に手をかけようとした瞬間、先に扉が開いた。
「あっ……」
「……」
最悪だ。日吉はそう思った。今一番会いたくないマネージャーの一人、九条秋と鉢合わせてしまったから。
「えっと、日吉くんも本を借りに来たの?」
「……」
無視すればいいのに。なぜ話しかけてくるのか日吉には分からなかった。むしろ会話すらしたくない彼にとっては煩わしい以外なんでもない。
「氷帝の図書室も凄く立派で本も沢山あるから眺めるだけでも飽きないよね」
返事もしていないのに目の前の人物はまた話題を提供する。それでも日吉は返さなかった。
秋は言葉一つ返さない日吉に困り顔を見せるが、日吉はそれさえも気に食わない。
「……勝手に話しかけたくせに被害者面するのやめてもらえます?」
腹が立って、ムカついて、イライラして、少しずつ溜まっていた鬱憤が秋へと向けられる。
「テニスの本まで借りてマネージャー気取りもいいところですよ。あんた達のせいで事件は起きるわ、俺のせいにされるわ、いい迷惑なんだよ!」
秋の手の中にはテニスに関する書物も抱えられていたため、それに目が入った日吉は声を荒らげた。
「……ごめんね」
謝罪の言葉を口にする秋に日吉が更に噛み付こうとしたが、相手は「でも」と話を続けた。
「マネージャー気取りじゃなく正式なマネージャーなの。生半可な気持ちでマネージャーになったわけじゃないから私はそのための努力は惜しまないつもりだよ」
「……」
「もちろん、反発する人がいるのも事実だし、みんながみんな認めてくれるとは思わない。それでも、たった一年ではあるけど、一人でも多く私達を認めてもらいたいの」
「……だから早く罪を認めて謝罪しろとでも言いたいんですか?」
「? 日吉くんはやってないって言ってたよね? ない罪を認める必要はないよ」
てっきり「出来ればそうしてほしい」みたいな返事をされると思っていた日吉は面食らう。それからすぐにそういえば、と彼女は自分が犯人じゃない可能性があると事件当日に口にしていたことを思い出す。
自分じゃない、やっていない、と言葉にしても信じてくれる相手は全然いないのに秋は簡単に信じるようなことを口にする。
こっちは散々疑ったのにと思いながら日吉は半信半疑で尋ねた。
「まさか、俺の言ったことを信じるんですか? あんた達を疑ったのに?」
「鳳くんも樺地くんも日吉くんがそんなことするはずがないって言っていたし、私もなんとなくそう思ってる。日吉くんは感じたこと、思ったことを口にしただけなんだから」
「あいつら……」
同じ学年で同じ部活の鳳と樺地は確かに人がいい。日吉もその二人を甘いと思いながらもそう評価している。お世辞でもなんでもなく、本当にあの二人は心の底から自身の潔白を信じてるのだろうと日吉が思うくらいには。
「でも、私が日吉くんを信じたように出来れば私のことも信じてほしいなとは思うよ。もちろん、無理強いはしないけどね」
「……」
何度も嫌みを言ったり、嫌な顔を見せたというのに秋は同じことを決してしなかった。その度胸がないだけなのかと日吉は思っていたが、どうやら相手はそういう人柄なのだと薄々感じ始める。
「信じるも何も監視カメラの件であなた方は白だったじゃないですか。そういうことでしょう」
溜め息混じりにそう告げると日吉は秋の横を通り、図書室へと入室する。
秋はというとその事実を受け入れたことだけでも嬉しく思い顔を綻ばせた。
部室荒らしが起きてから二日後。日吉は己に向けられる視線が多くなっていることに嫌というほど気づいていた。
羨望でも嫉妬でも桃色の視線でもない。紛れもなく疑いの目であった。
男子テニス部で起きた事件だ。隠そうとしてもどこからか情報は漏れるだろうし、それが学校中に広がるのも早い。
監視カメラの人物が日吉だと信じている者が少なからずいるため、まだ犯人だと決まっていないのに沢山の疑惑の目が日吉へと突き刺さる。
休み時間でさえも心が休まることなく、とうとう昼休みに居心地の悪い教室を出た日吉は今の現状が腹立たしくて仕方なかった。
何人かのクラスメイトが興味本位で「日吉が部室を荒らしたのか?」と尋ねる者もいたが、その度に日吉は「俺じゃない」と不機嫌そうに答えるも「そっか……」と信じるような態度は見受けられなかった。
(むしゃくしゃする……それもこれも全部あいつらが……あのマネージャー達のせいだ! どうせあいつらを恨んでる奴の犯行なのにこの俺まで巻き込まれるなんて!)
苛立ちが顔にまで出てしまった日吉は行くあてもなく校内を歩き回る。静かな場所にいたいという無意識さなのか、彼は気づけば図書室の前へ歩みを止めた。
私語厳禁なこの場所なら視線があっても耳障りな声は入ってこないだろう。そう思って扉に手をかけようとした瞬間、先に扉が開いた。
「あっ……」
「……」
最悪だ。日吉はそう思った。今一番会いたくないマネージャーの一人、九条秋と鉢合わせてしまったから。
「えっと、日吉くんも本を借りに来たの?」
「……」
無視すればいいのに。なぜ話しかけてくるのか日吉には分からなかった。むしろ会話すらしたくない彼にとっては煩わしい以外なんでもない。
「氷帝の図書室も凄く立派で本も沢山あるから眺めるだけでも飽きないよね」
返事もしていないのに目の前の人物はまた話題を提供する。それでも日吉は返さなかった。
秋は言葉一つ返さない日吉に困り顔を見せるが、日吉はそれさえも気に食わない。
「……勝手に話しかけたくせに被害者面するのやめてもらえます?」
腹が立って、ムカついて、イライラして、少しずつ溜まっていた鬱憤が秋へと向けられる。
「テニスの本まで借りてマネージャー気取りもいいところですよ。あんた達のせいで事件は起きるわ、俺のせいにされるわ、いい迷惑なんだよ!」
秋の手の中にはテニスに関する書物も抱えられていたため、それに目が入った日吉は声を荒らげた。
「……ごめんね」
謝罪の言葉を口にする秋に日吉が更に噛み付こうとしたが、相手は「でも」と話を続けた。
「マネージャー気取りじゃなく正式なマネージャーなの。生半可な気持ちでマネージャーになったわけじゃないから私はそのための努力は惜しまないつもりだよ」
「……」
「もちろん、反発する人がいるのも事実だし、みんながみんな認めてくれるとは思わない。それでも、たった一年ではあるけど、一人でも多く私達を認めてもらいたいの」
「……だから早く罪を認めて謝罪しろとでも言いたいんですか?」
「? 日吉くんはやってないって言ってたよね? ない罪を認める必要はないよ」
てっきり「出来ればそうしてほしい」みたいな返事をされると思っていた日吉は面食らう。それからすぐにそういえば、と彼女は自分が犯人じゃない可能性があると事件当日に口にしていたことを思い出す。
自分じゃない、やっていない、と言葉にしても信じてくれる相手は全然いないのに秋は簡単に信じるようなことを口にする。
こっちは散々疑ったのにと思いながら日吉は半信半疑で尋ねた。
「まさか、俺の言ったことを信じるんですか? あんた達を疑ったのに?」
「鳳くんも樺地くんも日吉くんがそんなことするはずがないって言っていたし、私もなんとなくそう思ってる。日吉くんは感じたこと、思ったことを口にしただけなんだから」
「あいつら……」
同じ学年で同じ部活の鳳と樺地は確かに人がいい。日吉もその二人を甘いと思いながらもそう評価している。お世辞でもなんでもなく、本当にあの二人は心の底から自身の潔白を信じてるのだろうと日吉が思うくらいには。
「でも、私が日吉くんを信じたように出来れば私のことも信じてほしいなとは思うよ。もちろん、無理強いはしないけどね」
「……」
何度も嫌みを言ったり、嫌な顔を見せたというのに秋は同じことを決してしなかった。その度胸がないだけなのかと日吉は思っていたが、どうやら相手はそういう人柄なのだと薄々感じ始める。
「信じるも何も監視カメラの件であなた方は白だったじゃないですか。そういうことでしょう」
溜め息混じりにそう告げると日吉は秋の横を通り、図書室へと入室する。
秋はというとその事実を受け入れたことだけでも嬉しく思い顔を綻ばせた。