自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
部室荒らしの容疑者達
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「なーんだ。秋の落し物かぁ。あたしってばてっきり犯人の手がかりかと思ってたよ」
あっけらかんと笑う遥だが、周りの空気は静まり返っている上に秋への視線が鋭いことに気づき、はて? と首を傾げる。
「んんっ? なんか雰囲気悪くない? なんで?」
「馬鹿は黙ってろ」
「酷いっ! なんでって聞いただけなの、にぶっ!?」
これ以上喋ることは許さないと言いたげに遥の口を強く掴んで「黙れと言ったよな?」とドスの効いた声で睨めば遥も従うしかなく、冷や汗を流しながらこくこくと頷いた。
「ちなみに、こいつを発見した場所は荒らされた状態のロッカールームだ」
「!」
跡部の言葉を聞いてさらに現場はざわついた。
「ま、待ってよ跡部! それじゃあ、まるで秋が犯人だって言ってるようなもんじゃん!」
「そうだよ! 秋がこんなことするわけないじゃないかっ!」
先に声を上げたのは芥川だった。続いて遥も秋を庇う。
「九条。昨日の清掃後の最終チェックはしてなかったかい? それなら荒らされる前にハンカチが落ちていても不思議じゃないけど……」
滝が最終チェックの不備の可能性を秋に問う。しかし、彼女は首を横に振った。
「ううん。昨日はちゃんと最終チェックもしたよ。麻美と遥と一緒に」
「あぁ、間違いない」
「それはそうなんだけど……いや、もしかしてそのときに落としたとか!」
「遥、それも不可能なの。だって今日の昼休みにはあのハンカチはちゃんと持っていたから」
確かに昼休みには持っていた記憶がある。しかし部活前にはハンカチがなくて、どこかに落としてしまったのだと思っていた秋だったが、まさかこんな形で出てくるとは思わなかった。
最終チェックの不備で落としたかもと言えばまだ疑いは軽かったのかもしれない。しかし、それでは清掃不備として業務の手を抜いていたとも思われる。
秋は自分だけならまだしも、友人の麻美と遥にまでそんなことを思われたくないと考えた。
何より確認もしっかりしたのにチェックをしていませんでしたなんて嘘を言えるわけない。そもそも無実なのに嘘をつく必要など秋にはなかった。
「九条さんの話をそのまんま信じるとするんやったら誰かが九条さんのハンカチを取って、彼女の犯行に見せかけるためわざと置いて行ったっちゅーことか」
「そうですよね。きっと真犯人が九条さんに罪をなすりつけるためにした小細工だと俺も思います。……酷いですね、副生徒会長の彼女がこんなことするわけないですし」
鳳が胸の十字架をきゅっと握りながら酷く悲しげな表情をする。部室を荒らしただけでなく、誰かのせいにするだなんて彼には考えられないことだった。
レギュラー達はどうやら秋を疑っている様子ではなさそうだったので部室の入口に集まる他の部員達も少しずつ彼女への疑惑の目が薄れていく。
疑われずにすみそうだと秋もホッと安心したそのときだった。
「ハッ。何がそんなことするわけない、だ。だからお前は甘いんだよ、鳳」
入口から声が聞こえた。部員達を押し退け、部室に足を踏み入れる人物へと一気に視線が注がれる。
鳳は困り顔で相手の名前をぽつりと呟いた。
「日吉……」
「跡部部長。生徒会に所属するからこんな非道なことはしないなんて言い切るわけないですよね?」
「……確かにそうだな。どこへ所属しようが、どういう人物だろうが、犯人を否定する材料にはならねぇ」
その返答に日吉は満足気にしながらにやりと笑みを浮かべた。
「ほとんどの方はその人の話を全部信じて他の犯人説を口にしてますが、俺は簡単に信用するのもどうかと思います」
「は? さっきからなんだキノコ。あんた秋が犯人だと言いたいのか?」
「当然でしょう。……ていうか、キノコじゃありません。名前もろくに覚えられないとは頭を診てもらった方がいいのでは?」
「あ? ぶっ飛ばされたいんだなテメェ」
「どうぞ? そうすればあなたは即退部なのでこっちとしては清々しますが」
日吉の言動にブチッとキレた麻美が拳を鳴らし始める。しかし、相手はそれが目的だと言わんばかりの態度を見せた。
二人のやり取りを見て、すぐにでも麻美が殴りかかるのではと焦った秋が慌てて麻美と日吉の間に入る。
「ま、待って麻美! 日吉くんが私を疑うのも無理はないよ! 私のハンカチが現場にあったのは間違いないし、何を言っても信用されないのも理解出来るから……」
「だからってはなっから疑っていいわけないだろ」
「一番疑わしい容疑者なんですから仕方ないでしょう」
「あんたには聞いてないんだよ。ほんとにウザってぇ二年だな……」
「褒めていただき何よりです」
「褒めてねぇよ! 胞子飛ばすな!」
「何度も言いますが人を菌類にしないでくれますかっ!」
麻美と日吉の言い合いが始まり、せっかく間に入って宥めようとした秋の頑張りが無駄になってしまった。
そんな中、日吉の意見に反対する者が口を開く。
「おい、日吉。さすがにハンカチだけで九条を犯人だって決めつけるのはどうかと思うぜ」
「向日……」
向日が日吉の物言いを気に入らないというように睨む。
秋のことを信用しているかはわからないが、少なくとも今は犯人として見ているわけではないことは窺えるため、秋は少しだけ安心した。
「俺もこいつがこんなことをするような人間じゃねぇと思うぜ。口うるせーし、優等生なんだからよ」
「宍戸……」
耳に小指を突っ込みながら面倒臭そうに擁護する宍戸。いつも小言を口にしては悪態をつかれる秋だったのでまさか信じてくれるとは思わず、内心凄く驚いていた。
「向日さんも宍戸さんも疑うことを知らないんですね」
「そもそも犯人だったらハンカチを見落とすわけねーだろ」
犯人ならば尚のこと自分が疑われるような証拠を残すわけがない。そう口にする宍戸に日吉は鼻で笑った。
「それも作戦の内では?」
「秋はそんなことしないよ! こんなに真面目っ子さんなのに!」
「あえて犯人として疑いを向けておいてから性格だの人望だのを理由で容疑者として外すという筋書きじゃないでしょうか? 犯人ではないと言うなら証拠を提示していただきたいですね。人柄では証明にもなりませんよ」
「ぐぬぬ……」
下級生の言葉を言い返せない遥は唸るしか出来なかった。そして日吉は跡部に向けて言葉を続ける。
「仮に誰かに罪を着せられたとしてもそれだけ恨まれる存在というわけですよね? 犯人だろうとそうでなかろうと、疑わしい時点でマネージャー業を任せるのは不安ですし、こんな事件また起こってしまってはたまったもんじゃありませんよ」
「よし、殴る。このくそ生意気なキノコ野郎殴るからな」
「だ、駄目だよ、麻美っ! 落ち着いて!」
再び麻美が日吉に殴りかかろうと胸ぐらを掴む。
日吉は胸ぐらを掴まれようが殴られようが構わなかった。むしろマネージャー制度の廃止を目論む彼にとっては麻美が問題を起こしてくれたらそれでいいので求めているくらいだ。
しかし、それだけは阻止しなければと秋が麻美の手を掴んだところで跡部が口を開いた。
あっけらかんと笑う遥だが、周りの空気は静まり返っている上に秋への視線が鋭いことに気づき、はて? と首を傾げる。
「んんっ? なんか雰囲気悪くない? なんで?」
「馬鹿は黙ってろ」
「酷いっ! なんでって聞いただけなの、にぶっ!?」
これ以上喋ることは許さないと言いたげに遥の口を強く掴んで「黙れと言ったよな?」とドスの効いた声で睨めば遥も従うしかなく、冷や汗を流しながらこくこくと頷いた。
「ちなみに、こいつを発見した場所は荒らされた状態のロッカールームだ」
「!」
跡部の言葉を聞いてさらに現場はざわついた。
「ま、待ってよ跡部! それじゃあ、まるで秋が犯人だって言ってるようなもんじゃん!」
「そうだよ! 秋がこんなことするわけないじゃないかっ!」
先に声を上げたのは芥川だった。続いて遥も秋を庇う。
「九条。昨日の清掃後の最終チェックはしてなかったかい? それなら荒らされる前にハンカチが落ちていても不思議じゃないけど……」
滝が最終チェックの不備の可能性を秋に問う。しかし、彼女は首を横に振った。
「ううん。昨日はちゃんと最終チェックもしたよ。麻美と遥と一緒に」
「あぁ、間違いない」
「それはそうなんだけど……いや、もしかしてそのときに落としたとか!」
「遥、それも不可能なの。だって今日の昼休みにはあのハンカチはちゃんと持っていたから」
確かに昼休みには持っていた記憶がある。しかし部活前にはハンカチがなくて、どこかに落としてしまったのだと思っていた秋だったが、まさかこんな形で出てくるとは思わなかった。
最終チェックの不備で落としたかもと言えばまだ疑いは軽かったのかもしれない。しかし、それでは清掃不備として業務の手を抜いていたとも思われる。
秋は自分だけならまだしも、友人の麻美と遥にまでそんなことを思われたくないと考えた。
何より確認もしっかりしたのにチェックをしていませんでしたなんて嘘を言えるわけない。そもそも無実なのに嘘をつく必要など秋にはなかった。
「九条さんの話をそのまんま信じるとするんやったら誰かが九条さんのハンカチを取って、彼女の犯行に見せかけるためわざと置いて行ったっちゅーことか」
「そうですよね。きっと真犯人が九条さんに罪をなすりつけるためにした小細工だと俺も思います。……酷いですね、副生徒会長の彼女がこんなことするわけないですし」
鳳が胸の十字架をきゅっと握りながら酷く悲しげな表情をする。部室を荒らしただけでなく、誰かのせいにするだなんて彼には考えられないことだった。
レギュラー達はどうやら秋を疑っている様子ではなさそうだったので部室の入口に集まる他の部員達も少しずつ彼女への疑惑の目が薄れていく。
疑われずにすみそうだと秋もホッと安心したそのときだった。
「ハッ。何がそんなことするわけない、だ。だからお前は甘いんだよ、鳳」
入口から声が聞こえた。部員達を押し退け、部室に足を踏み入れる人物へと一気に視線が注がれる。
鳳は困り顔で相手の名前をぽつりと呟いた。
「日吉……」
「跡部部長。生徒会に所属するからこんな非道なことはしないなんて言い切るわけないですよね?」
「……確かにそうだな。どこへ所属しようが、どういう人物だろうが、犯人を否定する材料にはならねぇ」
その返答に日吉は満足気にしながらにやりと笑みを浮かべた。
「ほとんどの方はその人の話を全部信じて他の犯人説を口にしてますが、俺は簡単に信用するのもどうかと思います」
「は? さっきからなんだキノコ。あんた秋が犯人だと言いたいのか?」
「当然でしょう。……ていうか、キノコじゃありません。名前もろくに覚えられないとは頭を診てもらった方がいいのでは?」
「あ? ぶっ飛ばされたいんだなテメェ」
「どうぞ? そうすればあなたは即退部なのでこっちとしては清々しますが」
日吉の言動にブチッとキレた麻美が拳を鳴らし始める。しかし、相手はそれが目的だと言わんばかりの態度を見せた。
二人のやり取りを見て、すぐにでも麻美が殴りかかるのではと焦った秋が慌てて麻美と日吉の間に入る。
「ま、待って麻美! 日吉くんが私を疑うのも無理はないよ! 私のハンカチが現場にあったのは間違いないし、何を言っても信用されないのも理解出来るから……」
「だからってはなっから疑っていいわけないだろ」
「一番疑わしい容疑者なんですから仕方ないでしょう」
「あんたには聞いてないんだよ。ほんとにウザってぇ二年だな……」
「褒めていただき何よりです」
「褒めてねぇよ! 胞子飛ばすな!」
「何度も言いますが人を菌類にしないでくれますかっ!」
麻美と日吉の言い合いが始まり、せっかく間に入って宥めようとした秋の頑張りが無駄になってしまった。
そんな中、日吉の意見に反対する者が口を開く。
「おい、日吉。さすがにハンカチだけで九条を犯人だって決めつけるのはどうかと思うぜ」
「向日……」
向日が日吉の物言いを気に入らないというように睨む。
秋のことを信用しているかはわからないが、少なくとも今は犯人として見ているわけではないことは窺えるため、秋は少しだけ安心した。
「俺もこいつがこんなことをするような人間じゃねぇと思うぜ。口うるせーし、優等生なんだからよ」
「宍戸……」
耳に小指を突っ込みながら面倒臭そうに擁護する宍戸。いつも小言を口にしては悪態をつかれる秋だったのでまさか信じてくれるとは思わず、内心凄く驚いていた。
「向日さんも宍戸さんも疑うことを知らないんですね」
「そもそも犯人だったらハンカチを見落とすわけねーだろ」
犯人ならば尚のこと自分が疑われるような証拠を残すわけがない。そう口にする宍戸に日吉は鼻で笑った。
「それも作戦の内では?」
「秋はそんなことしないよ! こんなに真面目っ子さんなのに!」
「あえて犯人として疑いを向けておいてから性格だの人望だのを理由で容疑者として外すという筋書きじゃないでしょうか? 犯人ではないと言うなら証拠を提示していただきたいですね。人柄では証明にもなりませんよ」
「ぐぬぬ……」
下級生の言葉を言い返せない遥は唸るしか出来なかった。そして日吉は跡部に向けて言葉を続ける。
「仮に誰かに罪を着せられたとしてもそれだけ恨まれる存在というわけですよね? 犯人だろうとそうでなかろうと、疑わしい時点でマネージャー業を任せるのは不安ですし、こんな事件また起こってしまってはたまったもんじゃありませんよ」
「よし、殴る。このくそ生意気なキノコ野郎殴るからな」
「だ、駄目だよ、麻美っ! 落ち着いて!」
再び麻美が日吉に殴りかかろうと胸ぐらを掴む。
日吉は胸ぐらを掴まれようが殴られようが構わなかった。むしろマネージャー制度の廃止を目論む彼にとっては麻美が問題を起こしてくれたらそれでいいので求めているくらいだ。
しかし、それだけは阻止しなければと秋が麻美の手を掴んだところで跡部が口を開いた。