自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ひとときの平和の質問攻め
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「ねぇ、九条さん! どうやってマネージャーになったの!?」
「やっぱりレギュラーの方達とお話出来るのっ?」
休み時間の度に秋の周辺にも人が集うようになった。
秋の人柄がいいこともあり、聞けば教えてくれると思った女子生徒ばかりだ。
人気者のレギュラー陣の話が聞けるのではないかと毎度毎度目をキラキラさせながらやって来る彼女達に秋もさすがに困り果ててしまう。
「どうやってって言われると難しいね……。私はただ誘われただけだし、それにまだ入部したばかりだから部活中は忙しくて話をする余裕はないかな」
「えー。そうなのー?」
「あ、それじゃあ、九条さん! 聞きたいことというかお願いがあるんだけど……」
「ごめんね、私そろそろ用事があるから行かなきゃ」
このままでは誰かの情報が欲しいとか言われかねない。そう察した秋は程々に話を切り上げることにした。
全部相手してしまっては休み時間が休み時間でなくなるし、疲労が蓄積してしまう。
席を立って教室から出ると、後ろから「え~残念~。忍足くんの情報が聞きたかったのにー」という残念そうな声が聞こえてきた。
(そういうことは本人に聞いてほしいかな……)
眉を八の字にしながら軽く溜め息をつく。しかし、彼女達の気持ちも分からなくもないとも思った。
好きな人、憧れの人ならきっと本人に直接話をするのは恥ずかしくて難しいという人もいるだろう。それならばその人に近しい人から聞く方が手っ取り早いこともある。
だからといって他人のプライベートを許可なくベラベラと話すのは秋も気が引けた。
「よう」
廊下を歩いていると跡部とばったり会った。
「跡部。どうかしたの?」
「ジロー達から聞いたぜ。質問攻めにあってるってよ」
実は芥川が「秋が休み時間の度に女子から質問ばっかされてて大変そうなんだよー!」と跡部に愚痴を漏らしていた。
それを聞かされた跡部は仕方ないと腰を上げて、実際どんな様子なのか秋のクラスに見に行く途中だった。
「うん。その通りだよ。今、用事があるからって言って逃げて来たところ」
「そうか。まぁ、騒ぐのは最初だけだろ。そんなには長く続かねぇだろうから適当にあしらっておけ。それでもしつこいようなら俺に言いに来い」
「ありがとう。多分、そこまでにはならないと思うよ。ただこうやって逃げる場所を探さないといけないかなぁとは思うけど」
「なら生徒会室にこもってろ。生徒会の用があるって言っときゃ生徒会室に入っても問題ないしな」
「私用で使うのはちょっと躊躇うけど、うちの生徒会長がそう言ってくれるならお言葉に甘えようかな」
「そうしとけ。この俺がいいって言ってんだからな」
跡部の提案を受け、また何かあったときには生徒会を口実にすることに決めた。
「それにしても跡部って本当に面倒見がいいよね、誰に対しても」
「別に世話焼きじゃねぇぞ、俺は」
「だって私達に気にかけてくれてるんだよ?」
「そりゃあ、こっちがお前らに頼んだ立場だからな。そのことで問題になったのを放置するわけねぇだろ」
「さすが生徒会長でありテニス部部長は頼りがいがあるよ。麻美のために色々とありがとう」
元を辿れば今回のマネージャー入部の件は問題児とも言える麻美の更生プログラムのようなもの。それを知るのは跡部と協力的かつ上手く立ち回れる秋だけだ。
効果があるかはさておき、奉仕活動を行わせることに意味がある。
「先生方の意向に従っただけだ」
「でも、跡部なら拒否しようと思えば出来たでしょ?」
そう尋ねる秋に跡部は小さくククッと笑った。
「赤宮とは元クラスメイトのよしみだからな。それにあいつは問題児ではあるが、悪い奴じゃねぇ」
「それだけ理解してくれたら十分だよ」
「しかし、あいつは人と関わらなさすぎる。今でしか得ることが出来ないものだってあるからそれを分からせねぇとな」
「そうだね。麻美はもっと社会性を持ってほしいし」
切なる思いだったのか、ぽつりと呟く秋を見て跡部は昨年麻美と会話したことを思い出す。
「お前はまた手を出したのか」
溜め息混じりで麻美の座る席の前に立つ跡部。当時二年、同じクラスだった二人ではあるが、跡部以外に麻美に話しかける勇気のある者は少なかった。
そのため、麻美に用件を伝える際には彼女に臆することのない跡部が代わりを務めることが多くなる。
この日、跡部が麻美に言及したのは昨日に起こった麻美と女子生徒との喧嘩について。
現場を見ていない跡部が聞いた話では些細なことで当事者達が口論になり、麻美が女子生徒の胸ぐらを掴んだという。
幸いにもそれ以上の手出しはしていないので暴行事件とまでにはいかなかった。
「手は出してない。胸ぐら掴んだだけだ」
「それは手を出してるって言うんだよ。胸ぐら掴んで暴言を吐いただろ」
「向こうが先にそうされても仕方ないこと言ったんだけど?」
「それで手を出したらお前の非になるだろーが」
「いちいちうるさいな。あんたに関係ないだろ」
「お前のために言ってんだよ、こっちは。それに九条から聞いたぜ。お前が手を上げようとした理由が九条への誹謗だってな」
そう告げると麻美は「秋の奴、余計なことを……」と呟く。
昨日、遠巻きに秋の悪口を囁く女子達がいて、秋と共に行動をしていた麻美は確実に彼女の耳にも届いていることに気づき、友達を悪く言われることにキレて「聞こえるように言うならもっとでかい声で喋りやがれ。小汚ぇクソども」と女子生徒達の一人の胸ぐらを掴みかかったのだった。
「友達思いなのは結構だが、もう少し理性的に行動するんだな」
「そういうのは実際にこっちが殴ったあとから言え。そもそも今回だって暴言なんかじゃない。気に食わない態度をとる奴に事実を突きつけただけだ」
「じゃあなんて言ったんだよ」
「秋のことを『副生徒会長だからってでかい顔してるんじゃないわよ』とか言ってたから『副生徒会長どころか生徒会にも入れない負け組のウジ虫が妬んでんじゃねーよ』って言ってやった」
「……お前がどれだけキレてたかはよく分かった。とにかく、それは暴言だ。覚えておけ」
「知るか。もういい。話しかけんな」
自分に何一つ非はないと思っている麻美が跡部の理解を得られなかったのがまた腹立たしく、これ以上何も話す気はないと言いたげに会話を勝手に切り上げた。
跡部も注意をしたいだけだったので、このまま話を続けると確実に麻美の機嫌が悪くなり、対話することも困難になると考えて今後の付き合いのためにもそれ以上は口にしないことに決めた。
そのことを思い出した跡部は麻美がただ自分のためだけに好き勝手に暴れる人間でないことをその頃から知っていた。
乱暴だったとはいえ、紛れもなく友人のために怒った麻美は悪い奴ではない。だからといって良い奴かと問われると素直に頷けないのも事実。
「根は良い奴だから将来のことも考えて大人しくすることを覚えてほしいんだがな」
「麻美は怒りの沸点が低いからね……」
社会に出て暴力沙汰になんてなったら……と、麻美の将来のことを考える二人は共に溜め息をついた。
「やっぱりレギュラーの方達とお話出来るのっ?」
休み時間の度に秋の周辺にも人が集うようになった。
秋の人柄がいいこともあり、聞けば教えてくれると思った女子生徒ばかりだ。
人気者のレギュラー陣の話が聞けるのではないかと毎度毎度目をキラキラさせながらやって来る彼女達に秋もさすがに困り果ててしまう。
「どうやってって言われると難しいね……。私はただ誘われただけだし、それにまだ入部したばかりだから部活中は忙しくて話をする余裕はないかな」
「えー。そうなのー?」
「あ、それじゃあ、九条さん! 聞きたいことというかお願いがあるんだけど……」
「ごめんね、私そろそろ用事があるから行かなきゃ」
このままでは誰かの情報が欲しいとか言われかねない。そう察した秋は程々に話を切り上げることにした。
全部相手してしまっては休み時間が休み時間でなくなるし、疲労が蓄積してしまう。
席を立って教室から出ると、後ろから「え~残念~。忍足くんの情報が聞きたかったのにー」という残念そうな声が聞こえてきた。
(そういうことは本人に聞いてほしいかな……)
眉を八の字にしながら軽く溜め息をつく。しかし、彼女達の気持ちも分からなくもないとも思った。
好きな人、憧れの人ならきっと本人に直接話をするのは恥ずかしくて難しいという人もいるだろう。それならばその人に近しい人から聞く方が手っ取り早いこともある。
だからといって他人のプライベートを許可なくベラベラと話すのは秋も気が引けた。
「よう」
廊下を歩いていると跡部とばったり会った。
「跡部。どうかしたの?」
「ジロー達から聞いたぜ。質問攻めにあってるってよ」
実は芥川が「秋が休み時間の度に女子から質問ばっかされてて大変そうなんだよー!」と跡部に愚痴を漏らしていた。
それを聞かされた跡部は仕方ないと腰を上げて、実際どんな様子なのか秋のクラスに見に行く途中だった。
「うん。その通りだよ。今、用事があるからって言って逃げて来たところ」
「そうか。まぁ、騒ぐのは最初だけだろ。そんなには長く続かねぇだろうから適当にあしらっておけ。それでもしつこいようなら俺に言いに来い」
「ありがとう。多分、そこまでにはならないと思うよ。ただこうやって逃げる場所を探さないといけないかなぁとは思うけど」
「なら生徒会室にこもってろ。生徒会の用があるって言っときゃ生徒会室に入っても問題ないしな」
「私用で使うのはちょっと躊躇うけど、うちの生徒会長がそう言ってくれるならお言葉に甘えようかな」
「そうしとけ。この俺がいいって言ってんだからな」
跡部の提案を受け、また何かあったときには生徒会を口実にすることに決めた。
「それにしても跡部って本当に面倒見がいいよね、誰に対しても」
「別に世話焼きじゃねぇぞ、俺は」
「だって私達に気にかけてくれてるんだよ?」
「そりゃあ、こっちがお前らに頼んだ立場だからな。そのことで問題になったのを放置するわけねぇだろ」
「さすが生徒会長でありテニス部部長は頼りがいがあるよ。麻美のために色々とありがとう」
元を辿れば今回のマネージャー入部の件は問題児とも言える麻美の更生プログラムのようなもの。それを知るのは跡部と協力的かつ上手く立ち回れる秋だけだ。
効果があるかはさておき、奉仕活動を行わせることに意味がある。
「先生方の意向に従っただけだ」
「でも、跡部なら拒否しようと思えば出来たでしょ?」
そう尋ねる秋に跡部は小さくククッと笑った。
「赤宮とは元クラスメイトのよしみだからな。それにあいつは問題児ではあるが、悪い奴じゃねぇ」
「それだけ理解してくれたら十分だよ」
「しかし、あいつは人と関わらなさすぎる。今でしか得ることが出来ないものだってあるからそれを分からせねぇとな」
「そうだね。麻美はもっと社会性を持ってほしいし」
切なる思いだったのか、ぽつりと呟く秋を見て跡部は昨年麻美と会話したことを思い出す。
「お前はまた手を出したのか」
溜め息混じりで麻美の座る席の前に立つ跡部。当時二年、同じクラスだった二人ではあるが、跡部以外に麻美に話しかける勇気のある者は少なかった。
そのため、麻美に用件を伝える際には彼女に臆することのない跡部が代わりを務めることが多くなる。
この日、跡部が麻美に言及したのは昨日に起こった麻美と女子生徒との喧嘩について。
現場を見ていない跡部が聞いた話では些細なことで当事者達が口論になり、麻美が女子生徒の胸ぐらを掴んだという。
幸いにもそれ以上の手出しはしていないので暴行事件とまでにはいかなかった。
「手は出してない。胸ぐら掴んだだけだ」
「それは手を出してるって言うんだよ。胸ぐら掴んで暴言を吐いただろ」
「向こうが先にそうされても仕方ないこと言ったんだけど?」
「それで手を出したらお前の非になるだろーが」
「いちいちうるさいな。あんたに関係ないだろ」
「お前のために言ってんだよ、こっちは。それに九条から聞いたぜ。お前が手を上げようとした理由が九条への誹謗だってな」
そう告げると麻美は「秋の奴、余計なことを……」と呟く。
昨日、遠巻きに秋の悪口を囁く女子達がいて、秋と共に行動をしていた麻美は確実に彼女の耳にも届いていることに気づき、友達を悪く言われることにキレて「聞こえるように言うならもっとでかい声で喋りやがれ。小汚ぇクソども」と女子生徒達の一人の胸ぐらを掴みかかったのだった。
「友達思いなのは結構だが、もう少し理性的に行動するんだな」
「そういうのは実際にこっちが殴ったあとから言え。そもそも今回だって暴言なんかじゃない。気に食わない態度をとる奴に事実を突きつけただけだ」
「じゃあなんて言ったんだよ」
「秋のことを『副生徒会長だからってでかい顔してるんじゃないわよ』とか言ってたから『副生徒会長どころか生徒会にも入れない負け組のウジ虫が妬んでんじゃねーよ』って言ってやった」
「……お前がどれだけキレてたかはよく分かった。とにかく、それは暴言だ。覚えておけ」
「知るか。もういい。話しかけんな」
自分に何一つ非はないと思っている麻美が跡部の理解を得られなかったのがまた腹立たしく、これ以上何も話す気はないと言いたげに会話を勝手に切り上げた。
跡部も注意をしたいだけだったので、このまま話を続けると確実に麻美の機嫌が悪くなり、対話することも困難になると考えて今後の付き合いのためにもそれ以上は口にしないことに決めた。
そのことを思い出した跡部は麻美がただ自分のためだけに好き勝手に暴れる人間でないことをその頃から知っていた。
乱暴だったとはいえ、紛れもなく友人のために怒った麻美は悪い奴ではない。だからといって良い奴かと問われると素直に頷けないのも事実。
「根は良い奴だから将来のことも考えて大人しくすることを覚えてほしいんだがな」
「麻美は怒りの沸点が低いからね……」
社会に出て暴力沙汰になんてなったら……と、麻美の将来のことを考える二人は共に溜め息をついた。