自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ひとときの平和の質問攻め
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三人がマネージャーを務めて一週間。跡部の牽制のおかげか、三人に直接文句を言われることはなくなった。
元より麻美に文句を言う人間はいなかったが、秋と遥にとってはありがたいことである。
しかし、陰口は叩かれているようで、秋は気づきながらも知らない振りを通している。遥に至っては気づいてはいない様子だった。
因縁をつけられることはなくなったが、マネージャーになったことで注目を浴びることになり、彼女達の元には連日人が訪れるようになった。
好奇心からなのか、それとも同じようにマネージャーになれるのかもしれないという希望を抱いてるのか、マネージャーになった経緯を聞いてくる者もいれば、テニス部に意中の相手がいるため情報を仕入れようとする者もいる。
「なぁ、赤宮ってなんで男テニのマネージャーになったんだ?」
今回ばかりは麻美の元にも、好奇心に擽られて会話を試みるクラスメイトもいたようだ。
「は? 誰だあんた。話しかけんな」
もちろん、麻美は会話に応じることはなかった。興味本位で話しかける相手の玩具になる気などさらさらないからだ。
ドスの効いた声と力強い目で睨みつければ相手はすぐに尻込みするので追い払うことは簡単であった。
「ただでさえ有名人やのにさらに有名になって大変やなぁ」
同じクラスの忍足が麻美に声をかける。彼女は苛立ちの視線を彼に向け、眉間に皺を寄せながら口を開いた。
「元凶のくせに他人事か?」
「元凶やなんて言いがかりやで」
「跡部から聞いた。あんたが遥を誘ったってな」
「あーそれな。麻美と九条さんもおるでって言ったらすぐ頷いてくれたわ」
「その時点ではまだこっちはマネージャーの話すら聞いてないんだけど?」
「順番が逆になっただけやん。結果的にはそうなったんやから騙してへんで?」
悪びれることなく答える忍足に麻美は彼のネクタイを思い切り自分の元へと引っ張り、小声で凄んだ。
「あんたがどうしてあの馬鹿に御執心かは知らないけど、ふざけた考えを持ってんならぶっ飛ばすぞ」
麻美が忍足を見つめる。いや、見つめるなんて可愛いものではない。怒りを含んだ瞳が忍足へと突き刺していたのだ。
さすがに忍足も自分の命が取られるのではないかと冷や汗を流す。
しかし、この状況が麻美ではなく、話の種となっている遥だったら良かったのに、と余計なことを考えるくらいの余裕はあるようだ。
「い、嫌やなぁ。俺はふざけてへんって。至ってほんまのマジもんで遥を誘ったんや」
「なら尚更タチが悪いな。あんた、初めて私に言ったこと覚えてんのか?」
あぁ? と、さらにガンを飛ばす麻美にもはやチンピラである。そんな彼女に忍足は顔色を悪くしながら自信なさげに答えた。
「えーと……告ったことは覚えとるで……」
「そこまで分かればいい。こっちは一字一句覚えてないし、覚える必要性もないから記憶に消したが、あの出来事は永遠に消えねぇんだよ」
じゃあ、なんで聞くねん。と返答しそうになったが、さらに彼女の怒りを買うはめになるのは明白なので忍足は余計なことは口にしなかった。
(あ、思い出したわ)
そしてちょうど当時の記憶が忍足の中で蘇った。
昨年、当時二年の頃。忍足は向日と共にお昼ご飯を食べようと食堂に向かう途中だった。談笑しながら廊下を歩くと目を引く美人とすれ違う。それが赤宮麻美だった。
忍足も遠目から彼女の存在は知っていたが、すれ違ったとはいえ、近くで拝むのは初めてになる。
高慢だとか、狂犬だとか、暴力魔だとか悪名高い話はいくつも聞いていたが、近くで見るとクール系の美人だった。
容姿がこんなにも優れているのに悪い意味での伝説を数多く残す麻美に興味が沸いた忍足は当時の悪い癖を発揮してしまった。
「今の……赤宮麻美か? 初めて近くで見たけどめっちゃ美人さんやん」
「……おい、侑士。やめとけよ」
「まだなんも言ってへんやん」
「言わなくても分かるから言ってんだよっ」
「そらおおきに。ちょっと声かけてみるわ」
「ばっ……! 言ったそばからお前っ! 侑士っ、やめとけって!」
向日の制止に聞く耳を持たず、興味本位と悪癖に従い麻美を追いかけて呼び止めた。
「なぁ。自分、麻美やんな? えらいべっぴんさんやん。めっちゃ好きな顔やわ。一回俺と遊んでみぃひん?」
(……俺、知らねーからな)
ちゃんとやめとけと言葉にはした。それでも関わるのなら何が起こってももう本人の責任だ。そう言いたげな表情を忍足に向けた向日は他人のフリをしようとそそくさとその場から離れた。
「は? 何あんた? いきなり話しかけてきて意味分からん」
「そら、こんな美人さんそうそうお目にかからんからつい声もかけたなるやん? ……あ、それでどないやろ? 相性良さそうやったらお付き合いとか考えてほしいんやけど。俺、麻美やったらいつでもお付き合い出来る覚悟あるで」
離れた場所で様子を窺う向日が青ざめた表情でそいつだけはやめとけと目で訴えるも忍足には届かず、彼は尚も麻美を口説き続ける。
(見たところ一人でおる方が多いみたいやし、ちょっと優しくしたら傾いてくれそうな気もするわ。まぁ、ダメ元やけど少しくらいは意識してくれるんちゃうかな)
なんて思いながら笑みを浮かべて返事を待つと、麻美は静かに息を吸った。そして……
「うざい!!」
見事な回し蹴りが忍足の顔面へと決まる。まさか返答の前に攻撃を受けるとは思わなかった忍足はこのことがきっかけで彼女の悪名が本物だということを嫌というほど理解した。
それ以降、麻美を手懐けるのは難しいと判断した忍足は彼女に手を出すことを諦めたそうだ。
当時の自分の行動や麻美から回し蹴りを食らったことまでしっかりと思い出してしまった忍足は消したくても消えない過去にいたたまれない気持ちになる。
「誰彼構わず口説くようなふしだらな奴の本気だとかマジとか言うのが一番信用ならないんだよ」
「ほんまにほんまやって! ちゃんと心入れ替えてんねんで俺はっ! 遥のことはほんまに━━」
「うるさい。黙れ。耳が腐る」
「釈明くらいさせてくれへんかっ?」
荒々しくネクタイを放せば麻美はすぐに忍足を突き放した。これ以上喋るなと目を光らせながら睨めば忍足も黙ることを余儀なくされる。
普段、遥に対して雑に扱う麻美だが、忍足と遥の間に何かあったことを察していたので、彼女のことを気にかけたゆえの発言だった。
元より麻美に文句を言う人間はいなかったが、秋と遥にとってはありがたいことである。
しかし、陰口は叩かれているようで、秋は気づきながらも知らない振りを通している。遥に至っては気づいてはいない様子だった。
因縁をつけられることはなくなったが、マネージャーになったことで注目を浴びることになり、彼女達の元には連日人が訪れるようになった。
好奇心からなのか、それとも同じようにマネージャーになれるのかもしれないという希望を抱いてるのか、マネージャーになった経緯を聞いてくる者もいれば、テニス部に意中の相手がいるため情報を仕入れようとする者もいる。
「なぁ、赤宮ってなんで男テニのマネージャーになったんだ?」
今回ばかりは麻美の元にも、好奇心に擽られて会話を試みるクラスメイトもいたようだ。
「は? 誰だあんた。話しかけんな」
もちろん、麻美は会話に応じることはなかった。興味本位で話しかける相手の玩具になる気などさらさらないからだ。
ドスの効いた声と力強い目で睨みつければ相手はすぐに尻込みするので追い払うことは簡単であった。
「ただでさえ有名人やのにさらに有名になって大変やなぁ」
同じクラスの忍足が麻美に声をかける。彼女は苛立ちの視線を彼に向け、眉間に皺を寄せながら口を開いた。
「元凶のくせに他人事か?」
「元凶やなんて言いがかりやで」
「跡部から聞いた。あんたが遥を誘ったってな」
「あーそれな。麻美と九条さんもおるでって言ったらすぐ頷いてくれたわ」
「その時点ではまだこっちはマネージャーの話すら聞いてないんだけど?」
「順番が逆になっただけやん。結果的にはそうなったんやから騙してへんで?」
悪びれることなく答える忍足に麻美は彼のネクタイを思い切り自分の元へと引っ張り、小声で凄んだ。
「あんたがどうしてあの馬鹿に御執心かは知らないけど、ふざけた考えを持ってんならぶっ飛ばすぞ」
麻美が忍足を見つめる。いや、見つめるなんて可愛いものではない。怒りを含んだ瞳が忍足へと突き刺していたのだ。
さすがに忍足も自分の命が取られるのではないかと冷や汗を流す。
しかし、この状況が麻美ではなく、話の種となっている遥だったら良かったのに、と余計なことを考えるくらいの余裕はあるようだ。
「い、嫌やなぁ。俺はふざけてへんって。至ってほんまのマジもんで遥を誘ったんや」
「なら尚更タチが悪いな。あんた、初めて私に言ったこと覚えてんのか?」
あぁ? と、さらにガンを飛ばす麻美にもはやチンピラである。そんな彼女に忍足は顔色を悪くしながら自信なさげに答えた。
「えーと……告ったことは覚えとるで……」
「そこまで分かればいい。こっちは一字一句覚えてないし、覚える必要性もないから記憶に消したが、あの出来事は永遠に消えねぇんだよ」
じゃあ、なんで聞くねん。と返答しそうになったが、さらに彼女の怒りを買うはめになるのは明白なので忍足は余計なことは口にしなかった。
(あ、思い出したわ)
そしてちょうど当時の記憶が忍足の中で蘇った。
昨年、当時二年の頃。忍足は向日と共にお昼ご飯を食べようと食堂に向かう途中だった。談笑しながら廊下を歩くと目を引く美人とすれ違う。それが赤宮麻美だった。
忍足も遠目から彼女の存在は知っていたが、すれ違ったとはいえ、近くで拝むのは初めてになる。
高慢だとか、狂犬だとか、暴力魔だとか悪名高い話はいくつも聞いていたが、近くで見るとクール系の美人だった。
容姿がこんなにも優れているのに悪い意味での伝説を数多く残す麻美に興味が沸いた忍足は当時の悪い癖を発揮してしまった。
「今の……赤宮麻美か? 初めて近くで見たけどめっちゃ美人さんやん」
「……おい、侑士。やめとけよ」
「まだなんも言ってへんやん」
「言わなくても分かるから言ってんだよっ」
「そらおおきに。ちょっと声かけてみるわ」
「ばっ……! 言ったそばからお前っ! 侑士っ、やめとけって!」
向日の制止に聞く耳を持たず、興味本位と悪癖に従い麻美を追いかけて呼び止めた。
「なぁ。自分、麻美やんな? えらいべっぴんさんやん。めっちゃ好きな顔やわ。一回俺と遊んでみぃひん?」
(……俺、知らねーからな)
ちゃんとやめとけと言葉にはした。それでも関わるのなら何が起こってももう本人の責任だ。そう言いたげな表情を忍足に向けた向日は他人のフリをしようとそそくさとその場から離れた。
「は? 何あんた? いきなり話しかけてきて意味分からん」
「そら、こんな美人さんそうそうお目にかからんからつい声もかけたなるやん? ……あ、それでどないやろ? 相性良さそうやったらお付き合いとか考えてほしいんやけど。俺、麻美やったらいつでもお付き合い出来る覚悟あるで」
離れた場所で様子を窺う向日が青ざめた表情でそいつだけはやめとけと目で訴えるも忍足には届かず、彼は尚も麻美を口説き続ける。
(見たところ一人でおる方が多いみたいやし、ちょっと優しくしたら傾いてくれそうな気もするわ。まぁ、ダメ元やけど少しくらいは意識してくれるんちゃうかな)
なんて思いながら笑みを浮かべて返事を待つと、麻美は静かに息を吸った。そして……
「うざい!!」
見事な回し蹴りが忍足の顔面へと決まる。まさか返答の前に攻撃を受けるとは思わなかった忍足はこのことがきっかけで彼女の悪名が本物だということを嫌というほど理解した。
それ以降、麻美を手懐けるのは難しいと判断した忍足は彼女に手を出すことを諦めたそうだ。
当時の自分の行動や麻美から回し蹴りを食らったことまでしっかりと思い出してしまった忍足は消したくても消えない過去にいたたまれない気持ちになる。
「誰彼構わず口説くようなふしだらな奴の本気だとかマジとか言うのが一番信用ならないんだよ」
「ほんまにほんまやって! ちゃんと心入れ替えてんねんで俺はっ! 遥のことはほんまに━━」
「うるさい。黙れ。耳が腐る」
「釈明くらいさせてくれへんかっ?」
荒々しくネクタイを放せば麻美はすぐに忍足を突き放した。これ以上喋るなと目を光らせながら睨めば忍足も黙ることを余儀なくされる。
普段、遥に対して雑に扱う麻美だが、忍足と遥の間に何かあったことを察していたので、彼女のことを気にかけたゆえの発言だった。