自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
そして彼らと彼女達は帰国した
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岳人達と夕飯を一緒にする約束をした。誘ってくれて嬉しい気持ちでいっぱいになって、時間まで部屋で待とうと思ったんだけど、多分落ち着かない気がしたので散歩に出かけた。
気づけば外は日も落ちて藍色の空と煌めく星が散らばる。少し早くなった鼓動が落ち着くかもと考えて外に出たのは正解だったみたい。空と海が重なる水平線を見つめ、絵画か写真のような景色が心を癒す。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。夜の散歩もいい気分転換になるね。
見とれるように立ち止まって、今を映す風景をしっかりと記憶に残す。その時だった。
「君、一人? こんな所で突っ立ってるなんてナンパ待ちだったり?」
「可愛い子じゃん。ちょっと幼い感じもするけど」
二人の見知らぬ日本人観光客に声をかけられた。急だったこともあり「えっ……」と戸惑っていると、今度は手を掴まれてしまう。
「!」
「一人じゃつまんないっしょ? 異国の地で出会ったのも何かの運命なわけだし、向こうでちょっと遊んでこうぜ」
「あ、あのっ、私は好きで一人になっているだけで……」
「せっかくのリゾート地なんだし、楽しくやろうよ」
話を聞いてくれない。そういえばナンパとか言っていたような……そんなつもりは全くないのに。それにこの人達は自分よりも年上というのはよく分かった。だから余計に怖く感じる。手を引っ張る力も強くて、無理やりどこかへと連れて行かれそうになった。まずい。そう思って震えそうな声で何とか言葉を絞り出す。
「や、めてくださいっ! 私、行きませんっ!」
「まあまあ、そういうのは行ってから判断しよーよ」
「気が変わるかもしれないじゃん?」
やっぱり駄目だ、どうしよう。大声を出して助けを呼ぶしかないのかな。でも、そこまでの声量が出せる自信がない。怖くて言葉も上手く紡げない。
何とか逃げようとするけど、相手は二人でさらに力の差もある。やっぱり声を出さなきゃ、誰かに気づいてもらわないと━━。
「いでで!」
「!」
突如掴まれた手が解放された。なぜなら私を引っ張っていた一人の腕が捻り上げられたから。
「俺の連れに何か?」
日吉くんだった。すぐに腕を離すと、私を掴むもう一人の男性の手を驚くほどの速さで叩き払う。そしてギロリと男性達を睨むと、怯んだのか二人は後退りをした。
「何の用だって聞いてるだろ」
再度尋ねる日吉くんの迫力は凄まじく、タジタジになった彼らは舌打ちをして逃げるように走り出した。その背が見えなくなるまで監視したあと、日吉くんは溜め息を吐いてこちらに目を向ける。
「……大丈夫ですか?」
「あ、うん。ありがとう、日吉くん。全然話を聞いてくれなくて困ってたから助かったよ……」
ホッと安心したけど恐怖を覚えたこともあり、胸の鼓動は速かった。落ち着くつもりで散歩に出たというのにまさかこんなことになるなんて。
掴まれた手の感触がまだ残っている。力強く引っ張られたあの瞬間が怖くて、忘れかけていた記憶も思い出してしまった。過去の恐ろしい体験が重なり、手が震える。
「本当に、ありがとう。もう大丈夫だよ……」
「……。九条さん、大丈夫じゃないときは無理に大丈夫と言う必要はありませんよ」
日吉くんは私の手の震えに気づいたようで、その手を取って「大丈夫な人はこうなりません」と見せつけるように告げた。
「ひとまずホテルに戻りましょうか」
「……うん」
このまま留まるのは良くないと判断した日吉くんの言葉に頷き、ホテルへと戻った。
広々とした空間のロビーにはソファーが並ぶ。そこへ通ると、日吉くんからここで休むように促された。
「落ち着かないのなら部屋まで送りますが」
「ここでいいよ。ありがとう」
「そうですか。……口うるさく言うつもりはありませんが、この辺りが明るくて人通りが多くても夜に一人で出歩くのは感心しませんよ」
「うん、ごめんね……浅はかな行動だったって反省してる」
「ご理解していただけたのなら結構です」
後輩の子に心配と迷惑をかけてしまった罪悪感が伸し掛かる。本当にごめんなさい、ともう一度改まって謝罪をすると、少しムッとした表情で「もういいですから」と返された。
「それよりも手の震えも止まったようですね」
「あ、うん。さっきのはちょっと昔のことを思い出しちゃって……」
「昔のこと?」
「一昨年にね、誘拐されかけたの」
1年生の頃。帰宅途中に突然車から出てきた人の手に掴まれ、無理やり車内に引っ張られた。あまりにも一瞬のことで恐怖に染まった私は見知らぬ男性二人にどうすることも出来ず、ただ震えるだけ。
けれど一緒に帰宅をしていた麻美がすぐに動いてくれたおかげで未遂に終わった。相手はナイフを持っていたから怪我をする可能性があったかもしれない。だから彼女にはそんな危険なことはしてほしくなかったのだけど、もし助けてくれなかったら……と思うとさらに身体が強ばる。
気づけば見知らぬ男性に手を掴まれるのはちょっとしたトラウマになっていた。
「氷帝学園女子生徒誘拐未遂事件ってことで当時は少し大事になっててね。だから震えたのはそのせいで……」
「……」
不幸話になってしまったかな。可哀想とか思われたいわけじゃないのに。こんな話をしても日吉くんだって迷惑かもしれないし、暗い気持ちにさせてしまうかも。
少しだけいたたまれない気持ちになってしまった。
「……あなたが一人では抗えない人だということはよく分かりました」
「そう、だね。うん……」
全くもってその通り。否定の言葉もない。
「先輩に必要なのは自分を守る術です」
「自分を守る……」
「例えば……護身術とか。古武術も護身術になりますし、力の弱い人でも手を出しやすいですからね。……九条さんさえ良ければお教え出来ますけど?」
まさかの提案に驚くも、すぐに大きく頷いた。誰かに助けてもらってばかりは嫌だから。自分で身を守る方法はあって損はない。
「い、いいの? 日吉くんの迷惑にならないならお願いしますっ」
「別に……あなたに何かある方が迷惑ですから」
「そうだね……うん。私、頑張るよ」
せっかく日吉くんが私のために言ってくれたんだもの。少しでも自分の身は自分で守れるようにならないと。
ありがとうとお礼を伝えると、彼は照れくさかったのかふいっと視線を逸らした。
気づけば外は日も落ちて藍色の空と煌めく星が散らばる。少し早くなった鼓動が落ち着くかもと考えて外に出たのは正解だったみたい。空と海が重なる水平線を見つめ、絵画か写真のような景色が心を癒す。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。夜の散歩もいい気分転換になるね。
見とれるように立ち止まって、今を映す風景をしっかりと記憶に残す。その時だった。
「君、一人? こんな所で突っ立ってるなんてナンパ待ちだったり?」
「可愛い子じゃん。ちょっと幼い感じもするけど」
二人の見知らぬ日本人観光客に声をかけられた。急だったこともあり「えっ……」と戸惑っていると、今度は手を掴まれてしまう。
「!」
「一人じゃつまんないっしょ? 異国の地で出会ったのも何かの運命なわけだし、向こうでちょっと遊んでこうぜ」
「あ、あのっ、私は好きで一人になっているだけで……」
「せっかくのリゾート地なんだし、楽しくやろうよ」
話を聞いてくれない。そういえばナンパとか言っていたような……そんなつもりは全くないのに。それにこの人達は自分よりも年上というのはよく分かった。だから余計に怖く感じる。手を引っ張る力も強くて、無理やりどこかへと連れて行かれそうになった。まずい。そう思って震えそうな声で何とか言葉を絞り出す。
「や、めてくださいっ! 私、行きませんっ!」
「まあまあ、そういうのは行ってから判断しよーよ」
「気が変わるかもしれないじゃん?」
やっぱり駄目だ、どうしよう。大声を出して助けを呼ぶしかないのかな。でも、そこまでの声量が出せる自信がない。怖くて言葉も上手く紡げない。
何とか逃げようとするけど、相手は二人でさらに力の差もある。やっぱり声を出さなきゃ、誰かに気づいてもらわないと━━。
「いでで!」
「!」
突如掴まれた手が解放された。なぜなら私を引っ張っていた一人の腕が捻り上げられたから。
「俺の連れに何か?」
日吉くんだった。すぐに腕を離すと、私を掴むもう一人の男性の手を驚くほどの速さで叩き払う。そしてギロリと男性達を睨むと、怯んだのか二人は後退りをした。
「何の用だって聞いてるだろ」
再度尋ねる日吉くんの迫力は凄まじく、タジタジになった彼らは舌打ちをして逃げるように走り出した。その背が見えなくなるまで監視したあと、日吉くんは溜め息を吐いてこちらに目を向ける。
「……大丈夫ですか?」
「あ、うん。ありがとう、日吉くん。全然話を聞いてくれなくて困ってたから助かったよ……」
ホッと安心したけど恐怖を覚えたこともあり、胸の鼓動は速かった。落ち着くつもりで散歩に出たというのにまさかこんなことになるなんて。
掴まれた手の感触がまだ残っている。力強く引っ張られたあの瞬間が怖くて、忘れかけていた記憶も思い出してしまった。過去の恐ろしい体験が重なり、手が震える。
「本当に、ありがとう。もう大丈夫だよ……」
「……。九条さん、大丈夫じゃないときは無理に大丈夫と言う必要はありませんよ」
日吉くんは私の手の震えに気づいたようで、その手を取って「大丈夫な人はこうなりません」と見せつけるように告げた。
「ひとまずホテルに戻りましょうか」
「……うん」
このまま留まるのは良くないと判断した日吉くんの言葉に頷き、ホテルへと戻った。
広々とした空間のロビーにはソファーが並ぶ。そこへ通ると、日吉くんからここで休むように促された。
「落ち着かないのなら部屋まで送りますが」
「ここでいいよ。ありがとう」
「そうですか。……口うるさく言うつもりはありませんが、この辺りが明るくて人通りが多くても夜に一人で出歩くのは感心しませんよ」
「うん、ごめんね……浅はかな行動だったって反省してる」
「ご理解していただけたのなら結構です」
後輩の子に心配と迷惑をかけてしまった罪悪感が伸し掛かる。本当にごめんなさい、ともう一度改まって謝罪をすると、少しムッとした表情で「もういいですから」と返された。
「それよりも手の震えも止まったようですね」
「あ、うん。さっきのはちょっと昔のことを思い出しちゃって……」
「昔のこと?」
「一昨年にね、誘拐されかけたの」
1年生の頃。帰宅途中に突然車から出てきた人の手に掴まれ、無理やり車内に引っ張られた。あまりにも一瞬のことで恐怖に染まった私は見知らぬ男性二人にどうすることも出来ず、ただ震えるだけ。
けれど一緒に帰宅をしていた麻美がすぐに動いてくれたおかげで未遂に終わった。相手はナイフを持っていたから怪我をする可能性があったかもしれない。だから彼女にはそんな危険なことはしてほしくなかったのだけど、もし助けてくれなかったら……と思うとさらに身体が強ばる。
気づけば見知らぬ男性に手を掴まれるのはちょっとしたトラウマになっていた。
「氷帝学園女子生徒誘拐未遂事件ってことで当時は少し大事になっててね。だから震えたのはそのせいで……」
「……」
不幸話になってしまったかな。可哀想とか思われたいわけじゃないのに。こんな話をしても日吉くんだって迷惑かもしれないし、暗い気持ちにさせてしまうかも。
少しだけいたたまれない気持ちになってしまった。
「……あなたが一人では抗えない人だということはよく分かりました」
「そう、だね。うん……」
全くもってその通り。否定の言葉もない。
「先輩に必要なのは自分を守る術です」
「自分を守る……」
「例えば……護身術とか。古武術も護身術になりますし、力の弱い人でも手を出しやすいですからね。……九条さんさえ良ければお教え出来ますけど?」
まさかの提案に驚くも、すぐに大きく頷いた。誰かに助けてもらってばかりは嫌だから。自分で身を守る方法はあって損はない。
「い、いいの? 日吉くんの迷惑にならないならお願いしますっ」
「別に……あなたに何かある方が迷惑ですから」
「そうだね……うん。私、頑張るよ」
せっかく日吉くんが私のために言ってくれたんだもの。少しでも自分の身は自分で守れるようにならないと。
ありがとうとお礼を伝えると、彼は照れくさかったのかふいっと視線を逸らした。