自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ハワイのアクティビティを堪能する
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「……」
秋が無理してる。芥川は僅かな秋の表情の違いに気がついた。無理して微笑んでるのだと。
それだけ彼は秋の顔を沢山見てきた証拠である。疲れてるなぁとか、無理してるなぁとか、怒ってるなぁとか。芥川はその場を繕う秋のちょっとした感情の機微を読み取ることが出来る。
きっとスカイダイビングが怖いんだと思う。そう判断した彼は二人の話に割って入った。
「ねーねー! 二人ともスカイダイビングすんの!? 俺もやりてー!」
「え? マジかよ。ぜってーダイビング中に寝るんじゃねぇのか?」
「インストラクターの人がいるっしょ? 大丈夫大丈夫っ」
「インストラクター任せにすんなっての! ……まぁ、飛んでる最中ならさすがにテンション上がって起きるとは思うけどよ」
本当に大丈夫かよ? と言いたげな向日ではあるが、芥川にとって大丈夫なのかと問いかけたいのは秋だった。
ちらりと彼女の様子を窺えばどこか不安げな顔色をしている。芥川が参加すると聞いて心配に拍車をかけたのだろう。芥川はそんな彼女に大丈夫だと言い聞かせるようにニッと笑った。
「だーいじょうぶだって秋っ」
「ジロー……」
「俺より秋の方が大丈夫なの?」
コソッと秋に耳打ちをする。それを聞いてドキリとしたのか驚く表情を彼女は見せた。けれど秋はすぐに笑みを芥川に向ける。
「私は大丈夫だよ。初めてだから緊張はするけど」
半分嘘で半分本当なんだろうな。そういうふうに受け取った芥川はやはり彼女が無理をしているのだと考えた。その笑う表情も心の底からの笑みではないことに気づいている。
「秋さぁ、無理はよくないよ。怖いの我慢してもいいことないし」
「ジローは心配してくれてるんだね。確かに全く怖いわけじゃないけど何事も挑戦だと思うの」
引く様子はない秋に芥川は説得を諦めた。それに彼女は挑戦をしたいわけじゃない。向日と同じことをしたいだけなのかもしれない。もしくは誘われたけど嫌われるかもしれないと思い、断らなかったのかもしれない。
考えれば考えるほど秋は向日への好意が大きくなっていると芥川は気づく。
(せっかく岳人への意識を逸らしたのに)
いや、逸らしたつもりだったのかもしれない。結局、秋は自覚してしまったのだろう。向日のことが好きなのだと。芥川としてはそれだけは気づきたくなかった。
これでは何のために魔法をかけたのか。恋心を否定する魔法をかけたのに。きっともう同じ手は通じない。
一体どうすれば秋は自分を見てくれるのか。芥川は分からなかった。
もやもやした気持ちを抱えながら、三人はスカイダイビング体験へと向かう。
スカイダイビングの際に行う姿勢などの講習を受け、飛行機へと乗り込みダイビングポイントへと飛んだ。
飛行機から見える景色は良かったので秋の表情は柔らかかったが、その時間は僅かである。あっという間にダイブ地点へと辿り着いた秋は緊張と恐怖で少しだけ強ばっていた。
「順番はどうするっ?」
向日はそんな秋の様子を気づいてないのだろう。スカイダイビングをするという楽しみでいっぱいいっぱいだったから。
「じゃあ、俺いっちば~ん! 秋は二番にして大トリに岳人がEーんじゃない? それでいい、秋?」
「あ、うんっ」
「俺も最後でいいぜ」
順番も決まって早速芥川がインストラクターと共に空のダイビングに出た。想像以上のスリルとワクワクで芥川は「いやっほぉぉぉぉーーー!!」と叫びながらスカイダイビングに興じる。
急降下と共に見えるハワイの上空は素晴らしいの一言だった。こんなアクティビティを体験したらテンションが上がらないわけがない。
しばらくしてからパラシュートが開いた。急降下する勢いはなくなったが、ゆっくりと地上に向かって降りる感覚もまたいいものである。
そして緩やかに着地した芥川は興奮に何度も「すげー!」と叫んだ。なかなか味わえないこの感覚は好きな者ならば病みつきになるはず。
そこでハッとした芥川は空を見上げる。次は秋が来るはずだから。
空には秋と思わしき姿が小さく見えた。一体今はどんな気持ちだろうかとハラハラする。飛び降りる時に思いきり叫んで飛んだのかもしれない。気を失っていやしないだろうか。心配しながら秋が地上に降りてくるのを彼はひたすら待った。
パラシュートも無事に開き、地上へと戻ってきた秋だったが、上手く着地出来ずに倒れ込んだ。
「秋っ! 大丈夫っ!?」
慌てて秋の元へと駆け寄ると、秋は照れ笑いをしながら「大丈夫だよ」と答えた。その顔は無理をして作ったものではない。
「ちょっと足に力が入らなかっただけだよ」
インストラクターから機材を外してもらいながら秋はスカイダイビングの感想をそのまま語る。
「飛び降りた時は本当に怖かったけど、景色も綺麗でそっちに感動しちゃった。凄いね、ジローも楽しめた?」
「え、あ、うん! 超面白かった!」
どうやら飛んだあとの秋は恐怖が薄れたようで楽しかったという感情が伝わる笑顔を見せた。怖がったままじゃなくて良かったと芥川はホッと安堵する。
「岳人がやりたがるのもよく分かったよ」
そう告げる秋に芥川の胸がチクリと痛くなる。好きな子のトラウマにならないで良かったと思うのと同時にいい思い出にされるのは嫌だなという矛盾が生まれた。
嫌な思い出になったらそれを提案した向日へのイメージも変わるかなと考えてしまったから。だからといって秋に嫌な気持ちにはさせたくないから悩ましい。しかし結果はいい思い出になり、それを共にした向日の株が上がるのだろう。
(あ~……岳人ばっかずっりぃ)
秋が無理してる。芥川は僅かな秋の表情の違いに気がついた。無理して微笑んでるのだと。
それだけ彼は秋の顔を沢山見てきた証拠である。疲れてるなぁとか、無理してるなぁとか、怒ってるなぁとか。芥川はその場を繕う秋のちょっとした感情の機微を読み取ることが出来る。
きっとスカイダイビングが怖いんだと思う。そう判断した彼は二人の話に割って入った。
「ねーねー! 二人ともスカイダイビングすんの!? 俺もやりてー!」
「え? マジかよ。ぜってーダイビング中に寝るんじゃねぇのか?」
「インストラクターの人がいるっしょ? 大丈夫大丈夫っ」
「インストラクター任せにすんなっての! ……まぁ、飛んでる最中ならさすがにテンション上がって起きるとは思うけどよ」
本当に大丈夫かよ? と言いたげな向日ではあるが、芥川にとって大丈夫なのかと問いかけたいのは秋だった。
ちらりと彼女の様子を窺えばどこか不安げな顔色をしている。芥川が参加すると聞いて心配に拍車をかけたのだろう。芥川はそんな彼女に大丈夫だと言い聞かせるようにニッと笑った。
「だーいじょうぶだって秋っ」
「ジロー……」
「俺より秋の方が大丈夫なの?」
コソッと秋に耳打ちをする。それを聞いてドキリとしたのか驚く表情を彼女は見せた。けれど秋はすぐに笑みを芥川に向ける。
「私は大丈夫だよ。初めてだから緊張はするけど」
半分嘘で半分本当なんだろうな。そういうふうに受け取った芥川はやはり彼女が無理をしているのだと考えた。その笑う表情も心の底からの笑みではないことに気づいている。
「秋さぁ、無理はよくないよ。怖いの我慢してもいいことないし」
「ジローは心配してくれてるんだね。確かに全く怖いわけじゃないけど何事も挑戦だと思うの」
引く様子はない秋に芥川は説得を諦めた。それに彼女は挑戦をしたいわけじゃない。向日と同じことをしたいだけなのかもしれない。もしくは誘われたけど嫌われるかもしれないと思い、断らなかったのかもしれない。
考えれば考えるほど秋は向日への好意が大きくなっていると芥川は気づく。
(せっかく岳人への意識を逸らしたのに)
いや、逸らしたつもりだったのかもしれない。結局、秋は自覚してしまったのだろう。向日のことが好きなのだと。芥川としてはそれだけは気づきたくなかった。
これでは何のために魔法をかけたのか。恋心を否定する魔法をかけたのに。きっともう同じ手は通じない。
一体どうすれば秋は自分を見てくれるのか。芥川は分からなかった。
もやもやした気持ちを抱えながら、三人はスカイダイビング体験へと向かう。
スカイダイビングの際に行う姿勢などの講習を受け、飛行機へと乗り込みダイビングポイントへと飛んだ。
飛行機から見える景色は良かったので秋の表情は柔らかかったが、その時間は僅かである。あっという間にダイブ地点へと辿り着いた秋は緊張と恐怖で少しだけ強ばっていた。
「順番はどうするっ?」
向日はそんな秋の様子を気づいてないのだろう。スカイダイビングをするという楽しみでいっぱいいっぱいだったから。
「じゃあ、俺いっちば~ん! 秋は二番にして大トリに岳人がEーんじゃない? それでいい、秋?」
「あ、うんっ」
「俺も最後でいいぜ」
順番も決まって早速芥川がインストラクターと共に空のダイビングに出た。想像以上のスリルとワクワクで芥川は「いやっほぉぉぉぉーーー!!」と叫びながらスカイダイビングに興じる。
急降下と共に見えるハワイの上空は素晴らしいの一言だった。こんなアクティビティを体験したらテンションが上がらないわけがない。
しばらくしてからパラシュートが開いた。急降下する勢いはなくなったが、ゆっくりと地上に向かって降りる感覚もまたいいものである。
そして緩やかに着地した芥川は興奮に何度も「すげー!」と叫んだ。なかなか味わえないこの感覚は好きな者ならば病みつきになるはず。
そこでハッとした芥川は空を見上げる。次は秋が来るはずだから。
空には秋と思わしき姿が小さく見えた。一体今はどんな気持ちだろうかとハラハラする。飛び降りる時に思いきり叫んで飛んだのかもしれない。気を失っていやしないだろうか。心配しながら秋が地上に降りてくるのを彼はひたすら待った。
パラシュートも無事に開き、地上へと戻ってきた秋だったが、上手く着地出来ずに倒れ込んだ。
「秋っ! 大丈夫っ!?」
慌てて秋の元へと駆け寄ると、秋は照れ笑いをしながら「大丈夫だよ」と答えた。その顔は無理をして作ったものではない。
「ちょっと足に力が入らなかっただけだよ」
インストラクターから機材を外してもらいながら秋はスカイダイビングの感想をそのまま語る。
「飛び降りた時は本当に怖かったけど、景色も綺麗でそっちに感動しちゃった。凄いね、ジローも楽しめた?」
「え、あ、うん! 超面白かった!」
どうやら飛んだあとの秋は恐怖が薄れたようで楽しかったという感情が伝わる笑顔を見せた。怖がったままじゃなくて良かったと芥川はホッと安堵する。
「岳人がやりたがるのもよく分かったよ」
そう告げる秋に芥川の胸がチクリと痛くなる。好きな子のトラウマにならないで良かったと思うのと同時にいい思い出にされるのは嫌だなという矛盾が生まれた。
嫌な思い出になったらそれを提案した向日へのイメージも変わるかなと考えてしまったから。だからといって秋に嫌な気持ちにはさせたくないから悩ましい。しかし結果はいい思い出になり、それを共にした向日の株が上がるのだろう。
(あ~……岳人ばっかずっりぃ)