自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ハワイで育む想い
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夕食のブッフェを楽しんだのもつかの間、今までずっと起きていた芥川が部屋に戻る前にうつらうつらとし始めていた。近くにいた忍足が「あ、これ寝るやつやわ」と察してすぐにガチャン! と大きく音を立てながら空になった皿の上に顔を突っ伏した。
「ジロー。こら、ジロー。こんな所で寝たらあかんやろ」
「ん~……もう食べらんなぁい……」
「分かったからせめて部屋で寝てくれや」
はぁ、と溜め息をこぼした忍足は芥川の腕を自分の肩へと回し、ブッフェ会場から出て芥川の泊まる部屋へと向かう。
芥川が隣の席になった時から薄々こうなることは予感していた。しかも他の部員達はすでに食事を終えて席を立ち部屋に戻っていたので、周りには知り合いすらいなかったから必然と眠り落ちた彼の面倒を見るはめになってしまう。
とはいえまだ完全に眠りについたわけではなく、夢の中に片足がついてるので少しだけ自力で歩けるようだった。忍足の負担はそこまで大きくないようで安心ではあるが、それでも一人の男を運ぶのはなかなかに大変な重労働。
「ほら、ジロー。もうすぐ部屋に着くんやからしっかり歩きや」
「んん……忍足ぃ?」
眠そうな声で尋ねられ、忍足は「そうやで」と答えると芥川は寝言に近いような独り言を言う。
「……俺、ね、秋のこと好きなんだけどさ~……秋は岳人のこと好きみたいで……岳人も秋のこと好きみたい……」
もちろん忍足は知っていた。ただ向日の方が自覚しているかしていないかは分からないが。
「少しずつ、少しずつ二人の距離が近くなってる……俺、それが嫌なんだ。何とかして二人を離したいし、俺が秋の隣に立ちたい」
いつの間にか眠そうだった芥川は覚醒していた。どこか焦りも込められた彼の言葉は僅かながらに忍足にも響く。
「まぁ……気持ちは分からんでもないなぁ……」
「俺が先に秋のこと好きだったのに……」
「せやな。けど後やろうと先やろうと関係ないことくらいジローかて分かるやろ?」
「……ん」
納得はしたくないけど少し不満げな表情と共に返事をされる。
おそらく芥川は内心焦って焦って仕方ないのかもしれない。相方の向日と秋がどうこうなったとは聞かないのでまだその段階ではないのだろう。
しかし普段から秋にべったりの芥川が焦りを見せるということは時間の問題の可能性もある。
「岳人のことも好きだけど……秋のことを諦めるのは嫌なんだよ……だから秋に魔法をかけたのに」
「魔法?」
「秋の岳人に対する気持ちが恋じゃないって否定した」
「それはまた思い切ったなぁ……」
好きな相手を取られたくないため、好きな相手の気持ちを書き換えた。それは秋の心を弄んだとも言える。
「……俺は悪い魔法使いじゃなく、秋だけの王子になりたいのに……もがけばもがくほど秋が遠くなってく……」
「辛いなぁ……」
忍足もその気持ちが分からなくはないだけに芥川に同情を抱く。向日か芥川、どっちが秋に相応しいかは本人が決めることだろうし、下手なことも言えない。そもそも自分の恋愛だって上手くいかないのにアドバイスが出来るだろうか。
「でも結局はもがくしかないやろ。俺もジローも。簡単に諦めたらこんな苦しむこともないんやし」
「そー。そーだよ。……頑張るしかないんだよ。おれもっと秋にアピールしなきゃ……そんでもっと、秋に意識してもらって……それから、それから……」
段々と口調がゆっくりとなる。忍足が「あ、これはあかんわ」と思った時にはすでに遅く、ガクンと芥川の足の力が入らなくなり、その場に崩れ落ちそうになるが忍足が必死に彼を支えた。
「相談しても無意味やと思った瞬間に寝落ちるのは酷いやろ、さすがに」
盛大な溜め息を吐き捨てながらも忍足は引きずるように芥川を宿泊部屋まで運ぶのだった。
忍足としては相方である向日の応援もしたいところだが、芥川のことも大事な仲間の一人であるし、出来ることなら自分と似たような状況の彼を応援したい気持ちもある。
だが、秋は一人しかいない。どちらかが結ばれ、どちらかが受け入れられない結果になるか、はたまたどちらも受け入れられないという結果も有り得る。
「本気の恋愛も楽しいことばかりやないもんな……」
願うことなら円満に収まればいいが、そんなドラマのような展開はほぼないとも言える。だからそう簡単には上手くいかないだろうなとも思うのだった。
「ジロー。こら、ジロー。こんな所で寝たらあかんやろ」
「ん~……もう食べらんなぁい……」
「分かったからせめて部屋で寝てくれや」
はぁ、と溜め息をこぼした忍足は芥川の腕を自分の肩へと回し、ブッフェ会場から出て芥川の泊まる部屋へと向かう。
芥川が隣の席になった時から薄々こうなることは予感していた。しかも他の部員達はすでに食事を終えて席を立ち部屋に戻っていたので、周りには知り合いすらいなかったから必然と眠り落ちた彼の面倒を見るはめになってしまう。
とはいえまだ完全に眠りについたわけではなく、夢の中に片足がついてるので少しだけ自力で歩けるようだった。忍足の負担はそこまで大きくないようで安心ではあるが、それでも一人の男を運ぶのはなかなかに大変な重労働。
「ほら、ジロー。もうすぐ部屋に着くんやからしっかり歩きや」
「んん……忍足ぃ?」
眠そうな声で尋ねられ、忍足は「そうやで」と答えると芥川は寝言に近いような独り言を言う。
「……俺、ね、秋のこと好きなんだけどさ~……秋は岳人のこと好きみたいで……岳人も秋のこと好きみたい……」
もちろん忍足は知っていた。ただ向日の方が自覚しているかしていないかは分からないが。
「少しずつ、少しずつ二人の距離が近くなってる……俺、それが嫌なんだ。何とかして二人を離したいし、俺が秋の隣に立ちたい」
いつの間にか眠そうだった芥川は覚醒していた。どこか焦りも込められた彼の言葉は僅かながらに忍足にも響く。
「まぁ……気持ちは分からんでもないなぁ……」
「俺が先に秋のこと好きだったのに……」
「せやな。けど後やろうと先やろうと関係ないことくらいジローかて分かるやろ?」
「……ん」
納得はしたくないけど少し不満げな表情と共に返事をされる。
おそらく芥川は内心焦って焦って仕方ないのかもしれない。相方の向日と秋がどうこうなったとは聞かないのでまだその段階ではないのだろう。
しかし普段から秋にべったりの芥川が焦りを見せるということは時間の問題の可能性もある。
「岳人のことも好きだけど……秋のことを諦めるのは嫌なんだよ……だから秋に魔法をかけたのに」
「魔法?」
「秋の岳人に対する気持ちが恋じゃないって否定した」
「それはまた思い切ったなぁ……」
好きな相手を取られたくないため、好きな相手の気持ちを書き換えた。それは秋の心を弄んだとも言える。
「……俺は悪い魔法使いじゃなく、秋だけの王子になりたいのに……もがけばもがくほど秋が遠くなってく……」
「辛いなぁ……」
忍足もその気持ちが分からなくはないだけに芥川に同情を抱く。向日か芥川、どっちが秋に相応しいかは本人が決めることだろうし、下手なことも言えない。そもそも自分の恋愛だって上手くいかないのにアドバイスが出来るだろうか。
「でも結局はもがくしかないやろ。俺もジローも。簡単に諦めたらこんな苦しむこともないんやし」
「そー。そーだよ。……頑張るしかないんだよ。おれもっと秋にアピールしなきゃ……そんでもっと、秋に意識してもらって……それから、それから……」
段々と口調がゆっくりとなる。忍足が「あ、これはあかんわ」と思った時にはすでに遅く、ガクンと芥川の足の力が入らなくなり、その場に崩れ落ちそうになるが忍足が必死に彼を支えた。
「相談しても無意味やと思った瞬間に寝落ちるのは酷いやろ、さすがに」
盛大な溜め息を吐き捨てながらも忍足は引きずるように芥川を宿泊部屋まで運ぶのだった。
忍足としては相方である向日の応援もしたいところだが、芥川のことも大事な仲間の一人であるし、出来ることなら自分と似たような状況の彼を応援したい気持ちもある。
だが、秋は一人しかいない。どちらかが結ばれ、どちらかが受け入れられない結果になるか、はたまたどちらも受け入れられないという結果も有り得る。
「本気の恋愛も楽しいことばかりやないもんな……」
願うことなら円満に収まればいいが、そんなドラマのような展開はほぼないとも言える。だからそう簡単には上手くいかないだろうなとも思うのだった。