自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ハワイで育む想い
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樺地はずっと心に引っかかりを覚えていた。遥の誘いを断ってからずっとである。でもそれは仕方のないこと。元々決まっていた予定で跡部に付き従う彼ならば当然のことだが、小さく芽生えた罪悪感は次第に大きくなるのを感じてしまう。
跡部の傍にいるというのに時折考え込んでしまうほど遥のことを気にしていた。
誘いを断った時に見せた落ち込む表情が頭から離れない。そんな顔をさせるつもりはなかったが、遥の誘いに乗るわけにもいかなかった。
ならばもっと他に言い方があったのかもしれない。安心させるような、気の利いたことが言えたらあんな表情をすることもなかったのだろうが今さら遅い。後悔ばかり押し寄せてしまう。
遥の曇った顔を見たいわけじゃない。いつもの輝かしい太陽のような笑顔を見たいのにやはり自分では彼女の望むことが出来ないのだ。樺地はそう考えてしまう。
跡部の用事を終え、ホテルに戻るも彼がビーチに向かうと言ったので樺地は頷いた。
もしかしたら西成さんがいるかもしれない。そんな僅かな期待が心の片隅に灯る。
ビーチに向かえば部員達があちこちにいた。もちろん遥も。砂で山を作っているようだった。
自然と彼女へ目を向けた樺地は跡部の計らいによって遥の元へと向かう時間を与えられる。
ゆっくりと大きな身体が彼女の元へ近づく。だがその途中、樺地は歩みを止めた。今さら遥と顔を合わせてどうするのかと考えてしまったから。
謝罪……しかないのだろうけどもしかしたら彼女はもう自分に興味を失せたのかもしれない。今頃謝っても遅いかもしれない。そう思うと胸が紐で締められるような痛みを覚える。
しかし逃げるのは簡単だ。ここまで歩んだのならちゃんともう一度彼女に謝ろう。そう決心した樺地は再び歩き出した。
砂山に穴を開けようと膝をついて掘る遥を見下ろすほどの距離まで来ると、相手は樺地の存在に気づき目を大きくさせる。
「かっ、かばっち!」
バッと勢いよく立ち上がると、近くで遥を見守っていた滝が微笑ましげに少しだけその場から離れた。
樺地は滝のことも気になったが、遥の目は自分を映しているため、彼はまず彼女に告げようとしていた言葉を紡いだ。
「西成さん……その、お誘いに乗れず、すみませんでした」
ぺこり、と頭を下げると慌てた声が樺地の耳に入る。
「えっ、そ、そんな気にしなくていいんだよっ! むしろ困らせちゃってごめんね!」
「いえ……自分は。それよりも西成さんに残念な思いをさせてしまったので……」
「いやいやいや! 残念ではあるけど仕方ないっていうか……! だからそんな謝らなくていいから! ほ、ほら、それよりこの水着はどうかなっ? 似合う?」
くるりとその場で回って水着を見せる遥に樺地はなんと口にしたらいいか考えた。彼女の求めてる答えを言えるのか心配しながら。
少し間を空けてから樺地は言葉を選びながら口を開いた。
「とても……お似合いだと……思います」
樺地は言葉にしてから気づく。なんと味気ない、物足りないと思われるような答えなのかと。
また間違えてしまった。いや、言葉に嘘はない。事実だから。ただそれだけでは足りない。本当はもっと言い表せないほど遥のことを褒めたいのに上手く口が回らなかった。
内心焦る樺地は遥の反応を気にする。呆れてしまったのかもしれない。やはり自分では彼女を笑顔にすることなんて出来やしないのだと思った。
「ほんとっ!? 似合ってる!?」
しかしそんな樺地の不安を吹き飛ばすほどのキラキラとした瞳が自分へと向けられる。樺地は驚き、ワンテンポ遅れたものの何度もこくこくと頷いた。
「嬉しーー!! かばっちに褒められた! この水着にして良かったー!」
大袈裟なくらいオーバーに喜ぶ遥を見て樺地は自分の返事に間違いがなかったようだと少しばかり安堵する。
「かばっちと海で遊べなかったのは残念だったけど水着を見せられて良かったよ! しかも褒めてくれた! ありがとね!」
ニッと見せる満面の笑みは樺地の見たかったもの。しかしたった一言しか言えなかったのにこんなにも温かく嬉しいお返しを貰っていいものだろうか。お礼を言うのならばむしろこちらの方なのにと樺地は思った。
「……西成さんが、嬉しそうだと……自分も……嬉しい、です……」
ひとまず今はどうしても伝えたい言葉を口にする。嘘偽りのない短い言葉しか伝えられないが、何も言わないよりいい。
そんな拙い言葉でも目の前の先輩はさらに喜びの表情を見せた。
「じゃあもっと嬉しさを全面に押し出してかばっちも嬉しい気持ちにさせるね!」
少し興奮した様子でそう宣言する遥に樺地はまた胸が締めつけられた。今度は苦しいようなものではなく、どこか甘いもの。僅かに上昇する体温と鼓動が増す心臓は気のせいではない。
これは、この気持ちは、彼女と同じものだろうか。分からない。
確かめる術を知らない純粋無垢な彼は自覚する想いにただただ戸惑うだけだった。
跡部の傍にいるというのに時折考え込んでしまうほど遥のことを気にしていた。
誘いを断った時に見せた落ち込む表情が頭から離れない。そんな顔をさせるつもりはなかったが、遥の誘いに乗るわけにもいかなかった。
ならばもっと他に言い方があったのかもしれない。安心させるような、気の利いたことが言えたらあんな表情をすることもなかったのだろうが今さら遅い。後悔ばかり押し寄せてしまう。
遥の曇った顔を見たいわけじゃない。いつもの輝かしい太陽のような笑顔を見たいのにやはり自分では彼女の望むことが出来ないのだ。樺地はそう考えてしまう。
跡部の用事を終え、ホテルに戻るも彼がビーチに向かうと言ったので樺地は頷いた。
もしかしたら西成さんがいるかもしれない。そんな僅かな期待が心の片隅に灯る。
ビーチに向かえば部員達があちこちにいた。もちろん遥も。砂で山を作っているようだった。
自然と彼女へ目を向けた樺地は跡部の計らいによって遥の元へと向かう時間を与えられる。
ゆっくりと大きな身体が彼女の元へ近づく。だがその途中、樺地は歩みを止めた。今さら遥と顔を合わせてどうするのかと考えてしまったから。
謝罪……しかないのだろうけどもしかしたら彼女はもう自分に興味を失せたのかもしれない。今頃謝っても遅いかもしれない。そう思うと胸が紐で締められるような痛みを覚える。
しかし逃げるのは簡単だ。ここまで歩んだのならちゃんともう一度彼女に謝ろう。そう決心した樺地は再び歩き出した。
砂山に穴を開けようと膝をついて掘る遥を見下ろすほどの距離まで来ると、相手は樺地の存在に気づき目を大きくさせる。
「かっ、かばっち!」
バッと勢いよく立ち上がると、近くで遥を見守っていた滝が微笑ましげに少しだけその場から離れた。
樺地は滝のことも気になったが、遥の目は自分を映しているため、彼はまず彼女に告げようとしていた言葉を紡いだ。
「西成さん……その、お誘いに乗れず、すみませんでした」
ぺこり、と頭を下げると慌てた声が樺地の耳に入る。
「えっ、そ、そんな気にしなくていいんだよっ! むしろ困らせちゃってごめんね!」
「いえ……自分は。それよりも西成さんに残念な思いをさせてしまったので……」
「いやいやいや! 残念ではあるけど仕方ないっていうか……! だからそんな謝らなくていいから! ほ、ほら、それよりこの水着はどうかなっ? 似合う?」
くるりとその場で回って水着を見せる遥に樺地はなんと口にしたらいいか考えた。彼女の求めてる答えを言えるのか心配しながら。
少し間を空けてから樺地は言葉を選びながら口を開いた。
「とても……お似合いだと……思います」
樺地は言葉にしてから気づく。なんと味気ない、物足りないと思われるような答えなのかと。
また間違えてしまった。いや、言葉に嘘はない。事実だから。ただそれだけでは足りない。本当はもっと言い表せないほど遥のことを褒めたいのに上手く口が回らなかった。
内心焦る樺地は遥の反応を気にする。呆れてしまったのかもしれない。やはり自分では彼女を笑顔にすることなんて出来やしないのだと思った。
「ほんとっ!? 似合ってる!?」
しかしそんな樺地の不安を吹き飛ばすほどのキラキラとした瞳が自分へと向けられる。樺地は驚き、ワンテンポ遅れたものの何度もこくこくと頷いた。
「嬉しーー!! かばっちに褒められた! この水着にして良かったー!」
大袈裟なくらいオーバーに喜ぶ遥を見て樺地は自分の返事に間違いがなかったようだと少しばかり安堵する。
「かばっちと海で遊べなかったのは残念だったけど水着を見せられて良かったよ! しかも褒めてくれた! ありがとね!」
ニッと見せる満面の笑みは樺地の見たかったもの。しかしたった一言しか言えなかったのにこんなにも温かく嬉しいお返しを貰っていいものだろうか。お礼を言うのならばむしろこちらの方なのにと樺地は思った。
「……西成さんが、嬉しそうだと……自分も……嬉しい、です……」
ひとまず今はどうしても伝えたい言葉を口にする。嘘偽りのない短い言葉しか伝えられないが、何も言わないよりいい。
そんな拙い言葉でも目の前の先輩はさらに喜びの表情を見せた。
「じゃあもっと嬉しさを全面に押し出してかばっちも嬉しい気持ちにさせるね!」
少し興奮した様子でそう宣言する遥に樺地はまた胸が締めつけられた。今度は苦しいようなものではなく、どこか甘いもの。僅かに上昇する体温と鼓動が増す心臓は気のせいではない。
これは、この気持ちは、彼女と同じものだろうか。分からない。
確かめる術を知らない純粋無垢な彼は自覚する想いにただただ戸惑うだけだった。