自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ハワイで育む想い
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「付き添いご苦労だったな、樺地」
「ウス」
宿泊地から出て数時間。視察を終えた跡部は傍について回る従者に労いの言葉をかけ、ホテルへと帰ってきた。
このあとの予定は特にない。あるとすれば夕飯を食べることと、部員達がちゃんと部屋にいるのかをチェックするための夜の見回りくらいだろう。
とはいえどちらもまだその時間ではない。やりたいことややらねばならないことは多々あるが、一応バカンスという名目でやって来たのだ。跡部と樺地にもそれは当てはまることである。
「樺地。まだ時間も早いからビーチに行くか。もしかしたらあいつらもまだいるかもしれねぇしな」
「ウス」
こくりと頷く樺地の返事を確認し、二人はホテル前のビーチへと向かう。夕日が浮かぶ水平線の海を横目に、やはりというか部員達があちこちに散らばっていた。
そのほとんどが海で遊び疲れたのか、ビーチチェアに座ったり砂遊びに切り替えたりしている様子。
すると樺地がある一点を見つめていることに跡部は気づいた。その視線の先を追うと砂山を作る遥の姿を発見する。
そういえば樺地を海に誘っていたなと思い出す。断ったあと樺地は申し訳なさそうにしていて、視察中にも関わらず珍しくボーっとしていることがあった。
樺地なりに遥のことを気にしてる証拠だろう。色々と思う所はあるし、樺地を簡単に渡すわけにもいかないと考えてはいたが、樺地が望むのなら話は別である。跡部は心の中で嘆息を吐き捨て、樺地に告げた。
「樺地。俺は少しサンセットビーチを眺める。俺様が満足するまでお前も自由にしていいぜ」
「……。では、自分も……」
自由と聞いて樺地は変わらず跡部の傍にいることを告げる。さすがの跡部もどうしたものかと思わずにはいられない。
「俺は構わねぇがいいのか? 西成に何か言いたいんじゃなかったのかよ?」
「……。……分かり、ました。少しだけ……失礼します」
ぺこりと頭を下げると樺地はゆっくり目的の人物の元へと向かった。
「まったく、普段は手がかからねぇくせにこういう時は世話が焼けるぜ」
まぁ、その方がこっちとしても世話のしがいがあるってもんだ。そうほくそ笑みながらも「ただし西成なのが許せねぇ」と思うのだった。
夕日を眺めながら他に誰がいるのか辺りを見回して把握しようとすると、近くのビーチチェアで眠る麻美を見つけた跡部は足を止めた。
「赤宮……」
ぽつりと彼女の名を呼ぶも反応はなく、呼吸と合わせるように身体がゆっくり上下に動いていた。
ドリンクを飲んだのか、その手にはグラスが抱えられていて、普段の麻美を想像すると少しギャップがあり可愛らしく映る。
……こうして見りゃなかなか可愛い寝顔してるじゃねーの。
マジマジと見つめると、麻美の水着に目を向けた跡部はすぐに口端を上げて静かに笑った。
何故なら麻美が着るハイネックの水着は跡部が彼女に似合うと口にしたものだから。てっきりそれを外した水着を着てくるのかと思えばだ。
おそらくテレビ通話したあとに購入したものだろう。跡部の眼力がそう告げる。
素直にアドバイスを聞いたなんて本人は決して言わないし、それを指摘するときっと麻美は機嫌を悪くすること間違いなし。
だが跡部としてはたまたまかもしれないが自分の意見を受け入れてくれたと思うと嬉しくないわけがない。何せあの反発の強い天邪鬼のような麻美が、である。
写真に撮って残しておきたいという気持ちも芽生えた。しかし人として相手の許可なくそんなことをするつもりはない。
例え許可を求めたところで麻美は許さないだろうし、起きてしまえば今の絵はもう残すことが出来ないので跡部は大人しく今この瞬間を記憶の中に収めることにした。
しかし悲しきかな。そう心に決めた時に限って目の前の少女はゆっくり目を開けた。
「……なんであんたがここにいる?」
「寝起きの割にはしっかりとした物言いだな」
相手は視線に敏感なのか、目覚めた彼女はすぐに身体を起こした。
「人の寝てる様子を覗き見るとはいい趣味だな」
「褒めても何も出ねぇよ」
「褒めてねぇ!」
「じゃあ起こせば良かったのか? 邪魔せず見守ってやったんだがな」
「物は言いようってか」
「好きに思ってくれて構わねぇよ」
起きてしまえばいつもの調子。だがそれでこそ麻美でもあるのでそれはそれで悪くはない。
「だが、一人で寝落ちるのは感心しねぇな」
「なんでだよ」
「無防備ゆえに誰かに攫われちまうだろ?」
顔を寄せてそう告げれば相手は「は……?」と訝しめる表情を見せた。その反応にククと笑いながら跡部は寄せた顔を離す。
「少しはテメーの魅力に気づけってことだ」
そう言い残すと跡部は颯爽と麻美の前から去って行く。去り際の台詞は自分が彼女に対して感じたことをそのまま伝えたということに麻美が気づくかどうかは分からない。
「ウス」
宿泊地から出て数時間。視察を終えた跡部は傍について回る従者に労いの言葉をかけ、ホテルへと帰ってきた。
このあとの予定は特にない。あるとすれば夕飯を食べることと、部員達がちゃんと部屋にいるのかをチェックするための夜の見回りくらいだろう。
とはいえどちらもまだその時間ではない。やりたいことややらねばならないことは多々あるが、一応バカンスという名目でやって来たのだ。跡部と樺地にもそれは当てはまることである。
「樺地。まだ時間も早いからビーチに行くか。もしかしたらあいつらもまだいるかもしれねぇしな」
「ウス」
こくりと頷く樺地の返事を確認し、二人はホテル前のビーチへと向かう。夕日が浮かぶ水平線の海を横目に、やはりというか部員達があちこちに散らばっていた。
そのほとんどが海で遊び疲れたのか、ビーチチェアに座ったり砂遊びに切り替えたりしている様子。
すると樺地がある一点を見つめていることに跡部は気づいた。その視線の先を追うと砂山を作る遥の姿を発見する。
そういえば樺地を海に誘っていたなと思い出す。断ったあと樺地は申し訳なさそうにしていて、視察中にも関わらず珍しくボーっとしていることがあった。
樺地なりに遥のことを気にしてる証拠だろう。色々と思う所はあるし、樺地を簡単に渡すわけにもいかないと考えてはいたが、樺地が望むのなら話は別である。跡部は心の中で嘆息を吐き捨て、樺地に告げた。
「樺地。俺は少しサンセットビーチを眺める。俺様が満足するまでお前も自由にしていいぜ」
「……。では、自分も……」
自由と聞いて樺地は変わらず跡部の傍にいることを告げる。さすがの跡部もどうしたものかと思わずにはいられない。
「俺は構わねぇがいいのか? 西成に何か言いたいんじゃなかったのかよ?」
「……。……分かり、ました。少しだけ……失礼します」
ぺこりと頭を下げると樺地はゆっくり目的の人物の元へと向かった。
「まったく、普段は手がかからねぇくせにこういう時は世話が焼けるぜ」
まぁ、その方がこっちとしても世話のしがいがあるってもんだ。そうほくそ笑みながらも「ただし西成なのが許せねぇ」と思うのだった。
夕日を眺めながら他に誰がいるのか辺りを見回して把握しようとすると、近くのビーチチェアで眠る麻美を見つけた跡部は足を止めた。
「赤宮……」
ぽつりと彼女の名を呼ぶも反応はなく、呼吸と合わせるように身体がゆっくり上下に動いていた。
ドリンクを飲んだのか、その手にはグラスが抱えられていて、普段の麻美を想像すると少しギャップがあり可愛らしく映る。
……こうして見りゃなかなか可愛い寝顔してるじゃねーの。
マジマジと見つめると、麻美の水着に目を向けた跡部はすぐに口端を上げて静かに笑った。
何故なら麻美が着るハイネックの水着は跡部が彼女に似合うと口にしたものだから。てっきりそれを外した水着を着てくるのかと思えばだ。
おそらくテレビ通話したあとに購入したものだろう。跡部の眼力がそう告げる。
素直にアドバイスを聞いたなんて本人は決して言わないし、それを指摘するときっと麻美は機嫌を悪くすること間違いなし。
だが跡部としてはたまたまかもしれないが自分の意見を受け入れてくれたと思うと嬉しくないわけがない。何せあの反発の強い天邪鬼のような麻美が、である。
写真に撮って残しておきたいという気持ちも芽生えた。しかし人として相手の許可なくそんなことをするつもりはない。
例え許可を求めたところで麻美は許さないだろうし、起きてしまえば今の絵はもう残すことが出来ないので跡部は大人しく今この瞬間を記憶の中に収めることにした。
しかし悲しきかな。そう心に決めた時に限って目の前の少女はゆっくり目を開けた。
「……なんであんたがここにいる?」
「寝起きの割にはしっかりとした物言いだな」
相手は視線に敏感なのか、目覚めた彼女はすぐに身体を起こした。
「人の寝てる様子を覗き見るとはいい趣味だな」
「褒めても何も出ねぇよ」
「褒めてねぇ!」
「じゃあ起こせば良かったのか? 邪魔せず見守ってやったんだがな」
「物は言いようってか」
「好きに思ってくれて構わねぇよ」
起きてしまえばいつもの調子。だがそれでこそ麻美でもあるのでそれはそれで悪くはない。
「だが、一人で寝落ちるのは感心しねぇな」
「なんでだよ」
「無防備ゆえに誰かに攫われちまうだろ?」
顔を寄せてそう告げれば相手は「は……?」と訝しめる表情を見せた。その反応にククと笑いながら跡部は寄せた顔を離す。
「少しはテメーの魅力に気づけってことだ」
そう言い残すと跡部は颯爽と麻美の前から去って行く。去り際の台詞は自分が彼女に対して感じたことをそのまま伝えたということに麻美が気づくかどうかは分からない。