自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
ハワイで育む想い
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
遥は夏のハワイの下でがくりと肩を落としていた。せっかく購入した水着も隠れてしまうほど。
本当は愛しの樺地を悩殺するために露出度の高い水着にしようとしていたが、麻美に「身の丈にあったものを選べ」と言われ、秋には「中学生にはまだ早いよ」とやんわり注意された。
そのため選んだ水着はオレンジのフリルキュロットワンピース。後ろから見るとワンピースらしい一体型だが、前から見るとお腹部分だけ控えめに露出していて遥なりの精一杯のセクシーさを求めた結果である。
麻美も秋もツーピース風のワンピースを見てそこまで露出は高くないと判断し、OKをしたのだが見せたい相手に見せられず酷く落ち込んでいた。
何故なら海に向かう途中、ホテルの廊下にて跡部と樺地に出会い、海に行こうと誘ったのだが「跡部さんが経営する……スポーツジムの支店があるので、視察に行きます……すみません」と断られてしまったのだ。
それならあたしも行く! と言ったが、麻美に「お前が泳ぎに行こうっつったんだろ!」と耳を引っ張られ、秋には「樺地くんと跡部の邪魔しちゃ駄目でしょ?」と怒られてしまった。
「あ! やっぱ来た! おーい!」
そんなしょんぼりとした遥だったが、聞き覚えのある声が耳に入り顔を上げる。そこには手を振って自分達の存在を知らせる芥川が先に海で遊んでいた。
芥川だけでなく、向日、宍戸も共に海ではしゃぎ、砂浜ではそんな彼らを見ていた忍足、滝、鳳、日吉の姿もあった。
そして芥川の声に彼らはマネージャーへと目を向ける。
「ほら、やっぱ俺の言った通りっしょ? ぜってー秋達は最初に海に行くって!」
「まぁ、ホテルの目の前にビーチがあったら大体の奴らはこっちを先に楽しむよな」
海で遊んでいた三人が上がる。芥川が予想していたことを鼻高々に語るが、宍戸はさも当然というように返事をした。それもそのはず、他のテニス部員達の姿があちこちにあったのだ。やはり最初は海で遊ぶ方が多いのだろう。
「あれ? 遥、どうかしたの?」
そこへいち早く遥の様子に気づいた幼馴染みが彼女に声をかける。むしろいつも明るい遥が鬱々と落ち込んでいるので気づかないわけにはいかなかった。
「うぅ、萩。この世は上手くいかない。あたしに非情な世界……」
「……もう少し分かるように教えてほしいかな」
「実は樺地くんと一緒に遊べなくて落ち込んでるの」
さすがの滝も遥の答えにならない発言では何も汲み取れなかった。それを見かねた秋が滝に事情を話すと、滝は「そうなんだ」と呟き、遥の頭をぽんぽんと叩く。
「それは残念だったけど、遥が落ち込んでたら樺地も申し訳ない気持ちになって悲しむよ。遥も樺地にそうはさせたくないでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、今はとにかく楽しんで樺地に土産話を作ろうよ。また機会があれば誘えばいいんだから。ね?」
優しい声色で説得する滝の姿はまるでいじける子どもに優しくする保護者のよう。そんな彼の言葉に小さく頷いた遥は「そうだね……そうだよねっ!」と、いつもの調子に戻り始めた。
「かばっちだって跡部に付き合って仕方なくお断りしたんだからまた何度でも誘えばいいもんね! ハワイの海が駄目でも日本にだって海やプールもあるし! その時にまたこの水着を見せたらいいもんね!」
気合いの入った遥が無駄にポーズを決める。滝はそんな彼女に向けて小さく拍手をしながら元気になって良かったと言わんばかりの微笑みを浮かべていた。
そんな二人を見た麻美が「単純な奴」と呆れた目を向けるが遥は気にしない。
「張り切るのはえぇけど、少しはこっちにも構ってほしいわ」
すると遥の背後からねっとりと耳に張りつくような妖艶な声が聞こえた。いや、すでに背中に張りつかれていると言った方が正しい。何故なら遥を後ろから抱きしめているのだ。
密着度が高い上に吐息が耳にかかるほどの近い唇に遥はぞぞぞっと鳥肌が立った。
「ひ、ひぎゃああああっ!! お、おおおお忍足ぃぃ!!」
「そないな声上げられると傷つくわぁ。少しは慣れてもえぇんちゃう?」
「慣れたくないのだが!?」
「じゃあ慣れるまで続けなあかん━━」
「忍足」
忍足の名前を呼ぶだけで制止の効果があるのか、忍足は言葉と遥に戯れる手つきが止まった。だが、そうなるのも無理はない。彼の名を呼んだ滝が微笑んでいたのだ。真夏のハワイだというのに、その背後には吹雪が見えるような気がするほど寒気にも襲われる。
「……なんや。今、スキンシップ中やねんけど」
しかし忍足も引くわけにはいかなかった。遥との親密度を少しでも上げたいのだ。滝の脅しに屈したくはないのが本音である。親密度が上がるとは思えない空回りな行動という自覚はない。
そんな忍足に滝は笑みを崩し、軽蔑するかのように睨みつける。
「その遥が嫌がってるんだから早く放してくれないかな? このままだと忍足の手を捻り上げなきゃいけなくなるんだけど?」
それでもいいの? と言わんばかりに近づいてくる滝に忍足は冷や汗を流しながらパッと遥を抱擁から解放する。その隙に遥は忍足から離れて滝の後ろに隠れた。
「そんなあからさまに逃げんでも……」
「あたしに抱きつくの禁止!」
「ただのスキンシップやのに━━」
「忍足」
「分かった。分かったから人を殺すような目はやめてくれんか? とりあえず遥が禁止言うんやったらやめとくわ」
諦めたように両手を上げて降参する忍足は「今日は、やけど」と心の中で呟いたことを遥は知る由もなかった。
本当は愛しの樺地を悩殺するために露出度の高い水着にしようとしていたが、麻美に「身の丈にあったものを選べ」と言われ、秋には「中学生にはまだ早いよ」とやんわり注意された。
そのため選んだ水着はオレンジのフリルキュロットワンピース。後ろから見るとワンピースらしい一体型だが、前から見るとお腹部分だけ控えめに露出していて遥なりの精一杯のセクシーさを求めた結果である。
麻美も秋もツーピース風のワンピースを見てそこまで露出は高くないと判断し、OKをしたのだが見せたい相手に見せられず酷く落ち込んでいた。
何故なら海に向かう途中、ホテルの廊下にて跡部と樺地に出会い、海に行こうと誘ったのだが「跡部さんが経営する……スポーツジムの支店があるので、視察に行きます……すみません」と断られてしまったのだ。
それならあたしも行く! と言ったが、麻美に「お前が泳ぎに行こうっつったんだろ!」と耳を引っ張られ、秋には「樺地くんと跡部の邪魔しちゃ駄目でしょ?」と怒られてしまった。
「あ! やっぱ来た! おーい!」
そんなしょんぼりとした遥だったが、聞き覚えのある声が耳に入り顔を上げる。そこには手を振って自分達の存在を知らせる芥川が先に海で遊んでいた。
芥川だけでなく、向日、宍戸も共に海ではしゃぎ、砂浜ではそんな彼らを見ていた忍足、滝、鳳、日吉の姿もあった。
そして芥川の声に彼らはマネージャーへと目を向ける。
「ほら、やっぱ俺の言った通りっしょ? ぜってー秋達は最初に海に行くって!」
「まぁ、ホテルの目の前にビーチがあったら大体の奴らはこっちを先に楽しむよな」
海で遊んでいた三人が上がる。芥川が予想していたことを鼻高々に語るが、宍戸はさも当然というように返事をした。それもそのはず、他のテニス部員達の姿があちこちにあったのだ。やはり最初は海で遊ぶ方が多いのだろう。
「あれ? 遥、どうかしたの?」
そこへいち早く遥の様子に気づいた幼馴染みが彼女に声をかける。むしろいつも明るい遥が鬱々と落ち込んでいるので気づかないわけにはいかなかった。
「うぅ、萩。この世は上手くいかない。あたしに非情な世界……」
「……もう少し分かるように教えてほしいかな」
「実は樺地くんと一緒に遊べなくて落ち込んでるの」
さすがの滝も遥の答えにならない発言では何も汲み取れなかった。それを見かねた秋が滝に事情を話すと、滝は「そうなんだ」と呟き、遥の頭をぽんぽんと叩く。
「それは残念だったけど、遥が落ち込んでたら樺地も申し訳ない気持ちになって悲しむよ。遥も樺地にそうはさせたくないでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、今はとにかく楽しんで樺地に土産話を作ろうよ。また機会があれば誘えばいいんだから。ね?」
優しい声色で説得する滝の姿はまるでいじける子どもに優しくする保護者のよう。そんな彼の言葉に小さく頷いた遥は「そうだね……そうだよねっ!」と、いつもの調子に戻り始めた。
「かばっちだって跡部に付き合って仕方なくお断りしたんだからまた何度でも誘えばいいもんね! ハワイの海が駄目でも日本にだって海やプールもあるし! その時にまたこの水着を見せたらいいもんね!」
気合いの入った遥が無駄にポーズを決める。滝はそんな彼女に向けて小さく拍手をしながら元気になって良かったと言わんばかりの微笑みを浮かべていた。
そんな二人を見た麻美が「単純な奴」と呆れた目を向けるが遥は気にしない。
「張り切るのはえぇけど、少しはこっちにも構ってほしいわ」
すると遥の背後からねっとりと耳に張りつくような妖艶な声が聞こえた。いや、すでに背中に張りつかれていると言った方が正しい。何故なら遥を後ろから抱きしめているのだ。
密着度が高い上に吐息が耳にかかるほどの近い唇に遥はぞぞぞっと鳥肌が立った。
「ひ、ひぎゃああああっ!! お、おおおお忍足ぃぃ!!」
「そないな声上げられると傷つくわぁ。少しは慣れてもえぇんちゃう?」
「慣れたくないのだが!?」
「じゃあ慣れるまで続けなあかん━━」
「忍足」
忍足の名前を呼ぶだけで制止の効果があるのか、忍足は言葉と遥に戯れる手つきが止まった。だが、そうなるのも無理はない。彼の名を呼んだ滝が微笑んでいたのだ。真夏のハワイだというのに、その背後には吹雪が見えるような気がするほど寒気にも襲われる。
「……なんや。今、スキンシップ中やねんけど」
しかし忍足も引くわけにはいかなかった。遥との親密度を少しでも上げたいのだ。滝の脅しに屈したくはないのが本音である。親密度が上がるとは思えない空回りな行動という自覚はない。
そんな忍足に滝は笑みを崩し、軽蔑するかのように睨みつける。
「その遥が嫌がってるんだから早く放してくれないかな? このままだと忍足の手を捻り上げなきゃいけなくなるんだけど?」
それでもいいの? と言わんばかりに近づいてくる滝に忍足は冷や汗を流しながらパッと遥を抱擁から解放する。その隙に遥は忍足から離れて滝の後ろに隠れた。
「そんなあからさまに逃げんでも……」
「あたしに抱きつくの禁止!」
「ただのスキンシップやのに━━」
「忍足」
「分かった。分かったから人を殺すような目はやめてくれんか? とりあえず遥が禁止言うんやったらやめとくわ」
諦めたように両手を上げて降参する忍足は「今日は、やけど」と心の中で呟いたことを遥は知る由もなかった。