自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
見送りからの水着のチェック
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「思ってたよりしんみりしなかったね?」
手塚を見送り、青学テニス部とバイバイしてから待機していた跡部のリムジンへと乗り込んですぐに思ったことを口にした。
もっと涙、涙の別れかと思ったけどそうでもなかったようだ。漫画やドラマならそういう感じだと思ってたけど現実はなかなかにドライである。
「まぁ、今生の別れでもないし、それに国内だからね。治療が終わればすぐに帰ってくるもの」
「っつーか、涙の別れというのを期待してた割には邪魔してただろ」
「だからしんみりしないようにする心遣いだってばー!」
あたしなりに笑顔でお別れする演出をしたいだけなのに何故か理解されない。うむむ。おかしいな?
「お話中のところ失礼します。お嬢様方、この後はご自宅までお届けいたしましょうか? それともどこか行かれる場所があればそちらまでお送りいたします」
なんと運転手の執事さん。えっと、ミカエル? だっけ? がご丁寧に送ってくれると申し出てくれた。
「え? そんな悪いです。氷帝まで送っていただければ大丈夫ですからっ」
ラッキーと思っていたところで真面目な秋が学校へ戻ることを口にする。
「えー? わざわざ学校戻るのー?」
「だってマネージャー業をサボったんだから今からでもやれることはやらないと……」
「相変わらず真面目だな。1日くらいでとやかく言わないだろ」
「えぇ、その通りでございます。景吾坊っちゃまから、お嬢様方の行きたい所へお送りするようにと仰せつかっておりますので」
「ほんとっ!? だったらせっかくだし、買い物しよー! ほら、今度跡部が海に連れてってくれるって言ったっしょ? その日のためにおニューの水着が欲しいのだよ!」
こんな絶好のチャンス、逃すわけにはいかない! 部活をするようになってから忙しいからね、あたしら!
「ハッ。色気づいてんなよ」
「いいでしょーー!? かばっちを魅了させるやつ買うのー!」
「わ、分かったから。遥は騒がないの。麻美は嫌なら先に帰ってもいいし、問題ないなら買い物に付き合ってあげようよ」
「はぁ……少しだけだからな」
……なんで麻美は秋に優しいのか。もっとあたしにも優しくしてもいいんじゃない? あたし達はフレンドでしょ!?
色々と思うことはあったけど、ミカエルが「では近くのショッピングモールへと向かいますね」と、微笑ましい表情を浮かべながら運転してくれた。
ショッピングモールに送ってくれたミカエルにちゃんとお礼を言って帰ってもらった。跡部家の景吾坊っちゃまをいつ迎えに行ってもいいように待機するのだろう。
どんな水着がいいかな~とウキウキしながらモールの出入口に向かおうとしたその時だった。
「「あ」」
ばったりと出会ってしまったのだ。従兄妹という名の悪魔に。
「遥じゃん! しかも一緒にいる二人が例の麻美ちゃんと秋ちゃんだよね!? こんな所で出会えるなんてラッキー!」
「あばばばっ!」
こんな偶然も運命も望んでないぞ! なんでよりによって二人がいる時に出くわさなきゃならんのだ!
「誰だこいつ」
「遥の知り合い?」
「こ、こいつは━━」
「どうもどうも初めまして~! 君達のことは遥から聞いて名前は知ってたんだけど、どっちが麻美ちゃんと秋ちゃんかな? あ、やっぱ待って! 俺が当てるから!」
「ちょっ、二人に勝手に話しかけるんじゃ━━もごっ!」
キヨに文句を言おうとしたら黙っててと言わんばかりに口を塞がれた。酷くないっ!?
「……んーと、こっちの絶世の美女と言っても過言ではない貫禄ある子が麻美ちゃんで、こっちの慈愛溢れる淑女の鏡のような子が秋ちゃんだねっ」
指で銃を打つようなポーズと共にウインクなんかしちゃって! ちくしょう! しかも合ってるし! 半分の確率だから仕方ないけども!
「……」
「な、名前は合ってるけど、そう褒められるほどの者じゃないよ」
「まったまた~。俺の目に狂いはないし、真実しか映さないから自信持ってよっ」
「……鬱陶しい奴の知り合いは鬱陶しいな」
「むが~~っ!」
えーん! 麻美が不愉快そうな顔であたしを睨む~! あたし悪くないし、キヨのせいで鬱陶しいって言われるのも納得いかない! てか、いつまであたしこの悪魔に口を押さえつけられなきゃならんの!? 誰か助けてよ!
「おい、千石っ。お前とうとう気でも触れたのかっ!」
そこへぞろぞろとキヨの仲間達がやって来る。あ、この者達知ってる! 関東大会にも一緒にいたから同じテニス部の面子だ! えっと、顔はぼんやりとしか覚えてないけど確か南って呼ばれてた人!
「そうだぞ、千石。いくら女子に相手にされないからって無理やりは良くないぞ……って、あれ?」
そしてもう一人があたしの口を押えつけるキヨの手を掴んで離してくれたのであたしは無事に解放された。そのため慌ててキヨから距離を取る。
「ぷはー! 生還!」
あ! よく見ればこのオールバックも覚えてる! キヨに無理やりカップルにされそうになった同じ被害者の東方雅美! 自己紹介し合ったからフルネームで覚えてるぞ!
向こうもあたしのことを覚えていたようで、しばらくしてから「なるほどな……」と全てを察する顔をした。
「千石……お前、また従兄妹をからかってるのか?」
「まぁ、そんなとこ」
違う、違うのだ東方よ! からかってるなんて可愛いものではない!
「新渡米せんぱぁい。まぁた千石先輩が女の子にちょっかい出してますよ~」
「一種の病気みたいなものだからねぇ~。喜多はあんな人間にはなっちゃダメだよ」
「は~い」
「ちょっと君達さ、俺への当たり強くない?」
わっ! よく分からない芽の人とほっぺたグルグルの人!
「というか、千石さんがみんなでお好み焼き食べに行くって言い出したくせに『運命を感じた』とか電波みたいなこと言って勝手に走り出すし、こっちの迷惑も考えてくださいよ」
「うーん、メンゴっ!」
サ、サングラスくんがイラッとしてる! てか、待って。運命を感じたって何。怖い。従兄妹の女の子レーダー怖すぎる。
「千石先輩! 大変です! 亜久津先輩を見失ったですー!」
「な、何っ!? せっかく捕まえたのに亜久津の奴ー!」
後輩と思わしきバンダナくんが何やら慌てふためいている! いや、ちょっと待って。何だかわちゃわちゃしてきたぞ。麻美は苛立ってるし、秋は困り始めてるし!
「おい、下僕。何なんだこいつらは」
「ひぃん……あたしの従兄妹と、おそらくテニス部の仲間達かと……」
「あ。彼が遥の従兄妹の千石くん?」
「! そう! そうだよ秋ちゃん! 俺のこと知っててくれたんだ~! うっれしい~!」
「え? あ、うん」
鼻の下を伸ばしてデレデレな表情で秋の両手を掴む。こ、こやつほんと手を出すのが早いな!? このままでは秋がキヨの毒牙にかかってしまう!
あわあわしていたら麻美が二人の間に入り、さらに秋の手を掴むキヨの手を叩き落とした。
「馴れ馴れしいんだよ」
「あらら。麻美ちゃんは手厳しいんだね」
「普通だ。気安く触るな」
ひゅうー。こういう時の麻美は頼もしくてありがたい! そのままオレンジ頭をガードしてくれ!
「そ、そうだそうだ! あたしの友達に手を出すのはやめ━━」
あたしもキヨを引き離そうとズカズカと向かってる途中、ドンッと通行人にぶつかってしまった。うぅ、なんて格好がつかないのだあたしは! 鼻を殴打しちゃったよ!
「ご、ごめんなひゃい……」
「あぁ?」
ひぃん。素直に謝罪したのに睨まれたのだが! なんか怖くない!? 何この人! 麻美と似たものを感じるのだが!
「あ! いました! 亜久津先輩ですー!」
「遥! 亜久津を捕まえて!」
「はいぃ!?」
突然キヨに命令されたのだが! てか、亜久津って誰!? いや、もしかしなくてもまさかこの者が……。
「亜久津……?」
「ああ? だからなんだっつーんだ? ドタマかち割られてぇのか?」
物騒! 超物騒! 麻美で耐性つけてるあたしでなきゃ逃げ出してたよ! ……いや、でも捕まえるって何っ!?
「ほら、早く! じゃないと今日遥の家に泊まって部屋占領するよ!」
「ちくしょおおおぉぉぉ!!」
何なのその脅し!? めちゃくちゃ嫌なんですけど!?
とにかく目の前の者を捕まえなければあたしの平和は訪れないので雄叫びを上げながら、亜久津と呼ばれるなんか怖い男の腰をしがみついた。
「あ? 何すんだテメー! 離せっ! ぶっ飛ばすぞ!」
「やだーー!!」
「おーっと、亜久津! 女の子に手を上げるのは男として恥ずかしいぞ!」
「ああっ!?」
「捕まえたです亜久津先輩!!」
キヨとバンダナ君が片腕ずつ掴んだのであたしは役目を果たしたということでぜぇはぁしながら亜久津から離れた。
「はぁ、はぁ、なんであたしがこんな目に……」
「よく分からないけどお疲れ様、遥」
「次から次へと何なんだこいつら……」
「あぁ、すまない。うちの千石が色々と迷惑をかけて。ちゃんと注意はしておくが……申し訳ないことに効果はないと思ってくれ」
「なんだよそれ……」
っち、と舌打ちをする麻美の前に南? が眉を下げながら謝罪する。キヨに振り回されてるのはあたしだけじゃないんだなと思った。
「いやーメンゴメンゴ! バタバタしちゃったね。お詫びに一緒にお好み焼き食べに行かない?」
あたしには見向きもせずにこの従兄妹ときたら麻美と秋に向けてニマニマしてる。
「は? 断る」
「ごめんね、千石くん。今から行く所があるから」
ブラボー! さすがあたしの親友! 心の中で拍手喝采!
「ちぇー。残念だなぁ。じゃあ、また機会があったらデートしようねー!」
ハートを飛ばしまくるキヨと申し訳なさそうに頭を下げる他のメンバー、そして不機嫌そうな亜久津といった愉快な仲間からあたし達はようやく解放された。
手塚を見送り、青学テニス部とバイバイしてから待機していた跡部のリムジンへと乗り込んですぐに思ったことを口にした。
もっと涙、涙の別れかと思ったけどそうでもなかったようだ。漫画やドラマならそういう感じだと思ってたけど現実はなかなかにドライである。
「まぁ、今生の別れでもないし、それに国内だからね。治療が終わればすぐに帰ってくるもの」
「っつーか、涙の別れというのを期待してた割には邪魔してただろ」
「だからしんみりしないようにする心遣いだってばー!」
あたしなりに笑顔でお別れする演出をしたいだけなのに何故か理解されない。うむむ。おかしいな?
「お話中のところ失礼します。お嬢様方、この後はご自宅までお届けいたしましょうか? それともどこか行かれる場所があればそちらまでお送りいたします」
なんと運転手の執事さん。えっと、ミカエル? だっけ? がご丁寧に送ってくれると申し出てくれた。
「え? そんな悪いです。氷帝まで送っていただければ大丈夫ですからっ」
ラッキーと思っていたところで真面目な秋が学校へ戻ることを口にする。
「えー? わざわざ学校戻るのー?」
「だってマネージャー業をサボったんだから今からでもやれることはやらないと……」
「相変わらず真面目だな。1日くらいでとやかく言わないだろ」
「えぇ、その通りでございます。景吾坊っちゃまから、お嬢様方の行きたい所へお送りするようにと仰せつかっておりますので」
「ほんとっ!? だったらせっかくだし、買い物しよー! ほら、今度跡部が海に連れてってくれるって言ったっしょ? その日のためにおニューの水着が欲しいのだよ!」
こんな絶好のチャンス、逃すわけにはいかない! 部活をするようになってから忙しいからね、あたしら!
「ハッ。色気づいてんなよ」
「いいでしょーー!? かばっちを魅了させるやつ買うのー!」
「わ、分かったから。遥は騒がないの。麻美は嫌なら先に帰ってもいいし、問題ないなら買い物に付き合ってあげようよ」
「はぁ……少しだけだからな」
……なんで麻美は秋に優しいのか。もっとあたしにも優しくしてもいいんじゃない? あたし達はフレンドでしょ!?
色々と思うことはあったけど、ミカエルが「では近くのショッピングモールへと向かいますね」と、微笑ましい表情を浮かべながら運転してくれた。
ショッピングモールに送ってくれたミカエルにちゃんとお礼を言って帰ってもらった。跡部家の景吾坊っちゃまをいつ迎えに行ってもいいように待機するのだろう。
どんな水着がいいかな~とウキウキしながらモールの出入口に向かおうとしたその時だった。
「「あ」」
ばったりと出会ってしまったのだ。従兄妹という名の悪魔に。
「遥じゃん! しかも一緒にいる二人が例の麻美ちゃんと秋ちゃんだよね!? こんな所で出会えるなんてラッキー!」
「あばばばっ!」
こんな偶然も運命も望んでないぞ! なんでよりによって二人がいる時に出くわさなきゃならんのだ!
「誰だこいつ」
「遥の知り合い?」
「こ、こいつは━━」
「どうもどうも初めまして~! 君達のことは遥から聞いて名前は知ってたんだけど、どっちが麻美ちゃんと秋ちゃんかな? あ、やっぱ待って! 俺が当てるから!」
「ちょっ、二人に勝手に話しかけるんじゃ━━もごっ!」
キヨに文句を言おうとしたら黙っててと言わんばかりに口を塞がれた。酷くないっ!?
「……んーと、こっちの絶世の美女と言っても過言ではない貫禄ある子が麻美ちゃんで、こっちの慈愛溢れる淑女の鏡のような子が秋ちゃんだねっ」
指で銃を打つようなポーズと共にウインクなんかしちゃって! ちくしょう! しかも合ってるし! 半分の確率だから仕方ないけども!
「……」
「な、名前は合ってるけど、そう褒められるほどの者じゃないよ」
「まったまた~。俺の目に狂いはないし、真実しか映さないから自信持ってよっ」
「……鬱陶しい奴の知り合いは鬱陶しいな」
「むが~~っ!」
えーん! 麻美が不愉快そうな顔であたしを睨む~! あたし悪くないし、キヨのせいで鬱陶しいって言われるのも納得いかない! てか、いつまであたしこの悪魔に口を押さえつけられなきゃならんの!? 誰か助けてよ!
「おい、千石っ。お前とうとう気でも触れたのかっ!」
そこへぞろぞろとキヨの仲間達がやって来る。あ、この者達知ってる! 関東大会にも一緒にいたから同じテニス部の面子だ! えっと、顔はぼんやりとしか覚えてないけど確か南って呼ばれてた人!
「そうだぞ、千石。いくら女子に相手にされないからって無理やりは良くないぞ……って、あれ?」
そしてもう一人があたしの口を押えつけるキヨの手を掴んで離してくれたのであたしは無事に解放された。そのため慌ててキヨから距離を取る。
「ぷはー! 生還!」
あ! よく見ればこのオールバックも覚えてる! キヨに無理やりカップルにされそうになった同じ被害者の東方雅美! 自己紹介し合ったからフルネームで覚えてるぞ!
向こうもあたしのことを覚えていたようで、しばらくしてから「なるほどな……」と全てを察する顔をした。
「千石……お前、また従兄妹をからかってるのか?」
「まぁ、そんなとこ」
違う、違うのだ東方よ! からかってるなんて可愛いものではない!
「新渡米せんぱぁい。まぁた千石先輩が女の子にちょっかい出してますよ~」
「一種の病気みたいなものだからねぇ~。喜多はあんな人間にはなっちゃダメだよ」
「は~い」
「ちょっと君達さ、俺への当たり強くない?」
わっ! よく分からない芽の人とほっぺたグルグルの人!
「というか、千石さんがみんなでお好み焼き食べに行くって言い出したくせに『運命を感じた』とか電波みたいなこと言って勝手に走り出すし、こっちの迷惑も考えてくださいよ」
「うーん、メンゴっ!」
サ、サングラスくんがイラッとしてる! てか、待って。運命を感じたって何。怖い。従兄妹の女の子レーダー怖すぎる。
「千石先輩! 大変です! 亜久津先輩を見失ったですー!」
「な、何っ!? せっかく捕まえたのに亜久津の奴ー!」
後輩と思わしきバンダナくんが何やら慌てふためいている! いや、ちょっと待って。何だかわちゃわちゃしてきたぞ。麻美は苛立ってるし、秋は困り始めてるし!
「おい、下僕。何なんだこいつらは」
「ひぃん……あたしの従兄妹と、おそらくテニス部の仲間達かと……」
「あ。彼が遥の従兄妹の千石くん?」
「! そう! そうだよ秋ちゃん! 俺のこと知っててくれたんだ~! うっれしい~!」
「え? あ、うん」
鼻の下を伸ばしてデレデレな表情で秋の両手を掴む。こ、こやつほんと手を出すのが早いな!? このままでは秋がキヨの毒牙にかかってしまう!
あわあわしていたら麻美が二人の間に入り、さらに秋の手を掴むキヨの手を叩き落とした。
「馴れ馴れしいんだよ」
「あらら。麻美ちゃんは手厳しいんだね」
「普通だ。気安く触るな」
ひゅうー。こういう時の麻美は頼もしくてありがたい! そのままオレンジ頭をガードしてくれ!
「そ、そうだそうだ! あたしの友達に手を出すのはやめ━━」
あたしもキヨを引き離そうとズカズカと向かってる途中、ドンッと通行人にぶつかってしまった。うぅ、なんて格好がつかないのだあたしは! 鼻を殴打しちゃったよ!
「ご、ごめんなひゃい……」
「あぁ?」
ひぃん。素直に謝罪したのに睨まれたのだが! なんか怖くない!? 何この人! 麻美と似たものを感じるのだが!
「あ! いました! 亜久津先輩ですー!」
「遥! 亜久津を捕まえて!」
「はいぃ!?」
突然キヨに命令されたのだが! てか、亜久津って誰!? いや、もしかしなくてもまさかこの者が……。
「亜久津……?」
「ああ? だからなんだっつーんだ? ドタマかち割られてぇのか?」
物騒! 超物騒! 麻美で耐性つけてるあたしでなきゃ逃げ出してたよ! ……いや、でも捕まえるって何っ!?
「ほら、早く! じゃないと今日遥の家に泊まって部屋占領するよ!」
「ちくしょおおおぉぉぉ!!」
何なのその脅し!? めちゃくちゃ嫌なんですけど!?
とにかく目の前の者を捕まえなければあたしの平和は訪れないので雄叫びを上げながら、亜久津と呼ばれるなんか怖い男の腰をしがみついた。
「あ? 何すんだテメー! 離せっ! ぶっ飛ばすぞ!」
「やだーー!!」
「おーっと、亜久津! 女の子に手を上げるのは男として恥ずかしいぞ!」
「ああっ!?」
「捕まえたです亜久津先輩!!」
キヨとバンダナ君が片腕ずつ掴んだのであたしは役目を果たしたということでぜぇはぁしながら亜久津から離れた。
「はぁ、はぁ、なんであたしがこんな目に……」
「よく分からないけどお疲れ様、遥」
「次から次へと何なんだこいつら……」
「あぁ、すまない。うちの千石が色々と迷惑をかけて。ちゃんと注意はしておくが……申し訳ないことに効果はないと思ってくれ」
「なんだよそれ……」
っち、と舌打ちをする麻美の前に南? が眉を下げながら謝罪する。キヨに振り回されてるのはあたしだけじゃないんだなと思った。
「いやーメンゴメンゴ! バタバタしちゃったね。お詫びに一緒にお好み焼き食べに行かない?」
あたしには見向きもせずにこの従兄妹ときたら麻美と秋に向けてニマニマしてる。
「は? 断る」
「ごめんね、千石くん。今から行く所があるから」
ブラボー! さすがあたしの親友! 心の中で拍手喝采!
「ちぇー。残念だなぁ。じゃあ、また機会があったらデートしようねー!」
ハートを飛ばしまくるキヨと申し訳なさそうに頭を下げる他のメンバー、そして不機嫌そうな亜久津といった愉快な仲間からあたし達はようやく解放された。