自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
敗退後の学園生活
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
昼休み、借りた書物を返却するため図書室に向かっていた秋は急に背中を突き飛ばされ、廊下に倒れ込んだ。持っていた数冊の本もその場に散らばってしまう。
「っ!」
故意に突き飛ばしたのは明らか。膝に僅かな痛みを抱くが、それを気にするよりも早く身体を起こして後ろを振り返った。そこには女子生徒が数名。見下すような視線が秋へと向けられていた。
「無様な転び方ね。でも床に這う方がお似合いよ」
「……何か用でも?」
「無能なマネージャーのせいで跡部様達が関東大会で敗退したのよ。それなのにまだマネージャーを続けられるの? どういう神経をしてるのかしら?」
「マネージャーなのに役に立たないし、ただのお荷物じゃない。私だったら申し訳なくて退部するけどぉ。ま、その前に酷い結果を残すようなことをしないけどね」
「……言いたいことはそれだけですか」
ふぅ、と静かに溜め息を吐いてゆっくりと立ち上がる秋は手を出した彼女達にしっかりと目を合わせた。
「何、その態度。ムカつく。いつまでも男テニの姫様気取りでいないで」
「そんなふうに気取ったことは一度もありません。曇らない目で見ていただけませんか? 大会の結果については部員達みんなが受け止めているのに誰かのせいにするのは筋違いです」
「生意気なことをっ!」
毅然な態度の秋が気に入らなかったのか、女子の一人がカッとなって手を上げた。ビンタ一発で彼女達の気が済むならそれを受け入れようと秋は抵抗は見せなかったその時━━。
パシッと二人の間に入り、手を上げようとした女子の手首を掴んでひっぱたこうとする行為を止めた者が現れた。
「! 日吉くん!」
「……部外者が勝手な理由で他人を責め立てるな」
「っ!」
振り払うように女子の手を離した日吉は秋に敵意を向ける彼女達を睨む。
「それに、うちが敗退したのは俺のせいだ。見当違いもいいところだな」
そう伝えると女子達は逃げるように走り去っていく。納得したのか、していないのかは分からない。
女子生徒達が消えて静かになった廊下で日吉は溜め息を漏らし、秋へと顔を向けた。
「……大丈夫ですか?」
「あ、うん。ありがとう、日吉くん」
「いえ……たまたまいただけですから。それに手を出そうとする相手に抵抗しないのもどうかと思いますよ。何も悪くないのなら尚更」
「私は麻美みたいに咄嗟の反応が出来ないから……」
困ったように笑うと日吉は「そう、ですか」と覇気のない返事をする。そして秋は何となく察した。彼はまだ大会の結果を気にしているのだと。
「すみませんでした。俺が無様に負けなければ九条さんにこのような目に遭うこともなかったでしょうに」
「日吉くん。私は敗退したのが日吉くんのせいとは思ってないよ」
「慰めはいりませんよ。どう考えても勝利を得られなかった俺のせいですので」
「ううん。試合結果は誰かのせいじゃないもの。それを言い出したら他のみんなもそれぞれ何かあるはずだから。どうしても誰かのせいにするならそれはみんなの責任だよ。部員達ももちろん私達マネージャーも、ね」
「……どうしてそうなるんですか」
少し呆れたような目が秋に向けられる。それなのに秋は沈む彼よりもいつもの彼らしくてどこか嬉しく思いながら言葉を続けた。
「もっと応援すれば良かったとか、もっと青学について知っておけば良かったとか。マネージャーでも思う所はあるよ? 今でもちょっと気にしちゃってるくらいだし」
「終わったことじゃないですか」
「……そう。もう終わったことなんだよ。だから日吉くんももう落ち込まないでほしいの。次に繋げよう。ね?」
きっと真面目な彼のことだ。ずっと自分を責め続けていたのだろう。大事な試合だからこそ。
「それに日吉くんの試合は無様だとは思わないよ。負けたからって日吉くんの戦う姿はとても格好良かったから」
「……。あなたの、その何でも肯定する所、正直好ましくはありません」
「そっか……」
少しだけしょぼんとしてしまった。思ったことを口にしただけだが、どうやら日吉にとっては良い意味では受け取ってはもらえない様子。
「……でも、嫌いじゃありません」
その後、ぽつりと告げる日吉の言葉に秋はハッとして俯き加減の顔を上げる。そこには少し赤らめて視線を逸らす日吉がいた。
「失礼します……」
顔が赤くなっていることに気づいたのか、すぐに彼はふいっと顔を背けて逃げるように秋の前から立ち去った。早歩きで。
少しは持ち直してくれたらいいなぁと小さく笑みを浮かべた秋はそのまま日吉の背中を見送った。
「っ!」
故意に突き飛ばしたのは明らか。膝に僅かな痛みを抱くが、それを気にするよりも早く身体を起こして後ろを振り返った。そこには女子生徒が数名。見下すような視線が秋へと向けられていた。
「無様な転び方ね。でも床に這う方がお似合いよ」
「……何か用でも?」
「無能なマネージャーのせいで跡部様達が関東大会で敗退したのよ。それなのにまだマネージャーを続けられるの? どういう神経をしてるのかしら?」
「マネージャーなのに役に立たないし、ただのお荷物じゃない。私だったら申し訳なくて退部するけどぉ。ま、その前に酷い結果を残すようなことをしないけどね」
「……言いたいことはそれだけですか」
ふぅ、と静かに溜め息を吐いてゆっくりと立ち上がる秋は手を出した彼女達にしっかりと目を合わせた。
「何、その態度。ムカつく。いつまでも男テニの姫様気取りでいないで」
「そんなふうに気取ったことは一度もありません。曇らない目で見ていただけませんか? 大会の結果については部員達みんなが受け止めているのに誰かのせいにするのは筋違いです」
「生意気なことをっ!」
毅然な態度の秋が気に入らなかったのか、女子の一人がカッとなって手を上げた。ビンタ一発で彼女達の気が済むならそれを受け入れようと秋は抵抗は見せなかったその時━━。
パシッと二人の間に入り、手を上げようとした女子の手首を掴んでひっぱたこうとする行為を止めた者が現れた。
「! 日吉くん!」
「……部外者が勝手な理由で他人を責め立てるな」
「っ!」
振り払うように女子の手を離した日吉は秋に敵意を向ける彼女達を睨む。
「それに、うちが敗退したのは俺のせいだ。見当違いもいいところだな」
そう伝えると女子達は逃げるように走り去っていく。納得したのか、していないのかは分からない。
女子生徒達が消えて静かになった廊下で日吉は溜め息を漏らし、秋へと顔を向けた。
「……大丈夫ですか?」
「あ、うん。ありがとう、日吉くん」
「いえ……たまたまいただけですから。それに手を出そうとする相手に抵抗しないのもどうかと思いますよ。何も悪くないのなら尚更」
「私は麻美みたいに咄嗟の反応が出来ないから……」
困ったように笑うと日吉は「そう、ですか」と覇気のない返事をする。そして秋は何となく察した。彼はまだ大会の結果を気にしているのだと。
「すみませんでした。俺が無様に負けなければ九条さんにこのような目に遭うこともなかったでしょうに」
「日吉くん。私は敗退したのが日吉くんのせいとは思ってないよ」
「慰めはいりませんよ。どう考えても勝利を得られなかった俺のせいですので」
「ううん。試合結果は誰かのせいじゃないもの。それを言い出したら他のみんなもそれぞれ何かあるはずだから。どうしても誰かのせいにするならそれはみんなの責任だよ。部員達ももちろん私達マネージャーも、ね」
「……どうしてそうなるんですか」
少し呆れたような目が秋に向けられる。それなのに秋は沈む彼よりもいつもの彼らしくてどこか嬉しく思いながら言葉を続けた。
「もっと応援すれば良かったとか、もっと青学について知っておけば良かったとか。マネージャーでも思う所はあるよ? 今でもちょっと気にしちゃってるくらいだし」
「終わったことじゃないですか」
「……そう。もう終わったことなんだよ。だから日吉くんももう落ち込まないでほしいの。次に繋げよう。ね?」
きっと真面目な彼のことだ。ずっと自分を責め続けていたのだろう。大事な試合だからこそ。
「それに日吉くんの試合は無様だとは思わないよ。負けたからって日吉くんの戦う姿はとても格好良かったから」
「……。あなたの、その何でも肯定する所、正直好ましくはありません」
「そっか……」
少しだけしょぼんとしてしまった。思ったことを口にしただけだが、どうやら日吉にとっては良い意味では受け取ってはもらえない様子。
「……でも、嫌いじゃありません」
その後、ぽつりと告げる日吉の言葉に秋はハッとして俯き加減の顔を上げる。そこには少し赤らめて視線を逸らす日吉がいた。
「失礼します……」
顔が赤くなっていることに気づいたのか、すぐに彼はふいっと顔を背けて逃げるように秋の前から立ち去った。早歩きで。
少しは持ち直してくれたらいいなぁと小さく笑みを浮かべた秋はそのまま日吉の背中を見送った。