自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
関東大会敗退の結果
主人公名前変換
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何とも呆気ない大会だった。そう思いながら人気のなくなったコートを見て回る麻美は人知れず溜め息を吐き出す。
全国大会に行くどころか、まさかの関東大会1回戦負け。苛立たしい気持ちと悔しい気持ちが合わさって仕方がない。
しかし、本当に苛立たしいのも、悔しいのも試合をした奴らだろう。……いや、ジローだけは違うな。
パッと思い浮かべた寝坊助の部員の性格からして麻美はそう断言した。
「せっかくコンソレーションでルドルフを降したばっかだってのに……」
従兄妹の赤澤がいる学校を負かしたのに従兄妹の思いを背負って全国に行くことが叶わなかった。少しばかりの申し訳なさが麻美に芽生える。
とはいえ、レギュラー達を叱る気にもなれないし、当初は「お前のせいで」と犬猿の仲である日吉を責め立てようとしたが、今は呵責する気にはなれなかった。
さすがの麻美でも彼らのメンタルまでボコボコにするつもりはない。
沈む気持ちなのは何も自分だけじゃないということを理解している麻美は来年に向けて後輩をビシバシと鍛え上げるしかないなと考え始める。来年にはもう高校生なので限られた時間ではあるが。
「いや~それにしても真田副部長が青学より警戒してたわりには氷帝も案外大したことないッスね~」
ふとすれ違った他校生の話が耳に入り、麻美はぴくりと反応をして足を止める。
「特にあの日吉? でしたっけ? 俺が新人戦でやり合った奴。あの時より弱っちくなったんじゃないんスかね? なんていうか、かませ犬って感じ。いやぁ、惨めだねぇ」
ケラケラ笑う、もじゃもじゃ頭の彼の発言に勃然と憤怒が込み上げてきた。
「オイ、もじゃもじゃ野郎。今何て言いやがった?」
気がつけば声をかけていた。それに反応した件の男含む三人も足を止めて振り返る。
「……今、俺に言ったのか?」
ギロリと睨むその態度は麻美にとっては慣れたものだった。だからこそ怯えなど感じない。
「他に誰がいんだよ。さっきから馬鹿にすんのも大概にしろ」
「へー。あんたもしかして氷帝生? 関東大会1回戦負けっていう無惨な成績を残したあの? そういうの負け犬の遠吠えっつーんだよ」
「あ?」
馬鹿にするように笑う男の言動に麻美はさらにカチンときたのか、こめかみに癇癪筋を走らせた。
「赤也、そのくらいにしておけ」
細目の男が赤也と呼ばれる男を止めようとするが、どうやら彼は聞く耳を持たない様子だった。
「弱いから負ける。当然のことだろ? 本当のこと言われてムキになるなっつーの。負け犬は負け犬らしく尻尾巻いて帰んな」
「よし、決めた。テメェぶっ潰す」
「女のくせに男とやり合うっての? へぇ、見せてもらおうじゃ━━」
相手と乱闘するつもりなのか、麻美が拳を握ると、それを楽しむように男も乗り気になったその時だった。
「赤也ぁ!!」
「やめろ、赤宮っ」
ぐいっと赤也の首根っこを掴んで引っ張るのは帽子を被った男。
拳を作る麻美の腕を掴んで制止するのは跡部。
突然、両者を止める存在に二人は驚きの表情をそれぞれのストッパー役に向けた。
「貴様、女人相手に手を出そうとしたのか! このたわけがっ!!」
「だ、だって副部長っ! 喧嘩を吹っかけてきたのは向こうで……」
「赤也、相手の気に障ることを先に言い出したのはお前だろう」
「なっ、柳先輩までっ!」
「っち、なんで跡部がいやがんだ!」
「お前が一人でフラフラしてたから様子を見に来ただけだ」
「保護者かよっ」
悪態つく麻美に「あぁ、そうだな」と意地の悪い笑みを浮かべる跡部に更にイラッとする。
そんな中、帽子を被った男が跡部の名を呼んだ。
「すまない。うちの後輩が彼女に不愉快な思いをさせたので謝罪をさせてもらいたい」
「げっ」
「あーん? だとよ、赤宮」
「出来るもんならやって見せろ」
フン、と鼻で馬鹿にする麻美に赤也と呼ばれた相手は奥歯を強く噛み締める表情を彼女に向けていた。
「ほら、謝らんか!」
「ぐっ……す、すんませんでした……」
帽子の男に頭を押さえられ無理やり前へと下げさせられた赤也が嫌々そうに謝罪の言葉を口にする。
「俺の方からも申し訳なかった。配慮に欠ける言動だったことを認めよう」
続いて黒帽子の彼も頭を下げる。細目の男も同じタイミングで頭を下げた。
「許してやるつもりはないが、この場はそいつに免じて不問に付してやる」
「……えらっそーに」
「赤也!!」
「はい! すんませんした!!」
再び叱られる気配を感じたのか赤也が大きな声でまた深々と頭を下げる。二人の力関係がとても分かりやすい。
「謝罪を受け入れてもらえたこと、ありがたく思う。では俺達は失礼する」
ぺこりと浅く頭を下げると三人の他校生はそのまま帰って行った。赤也と呼ばれた者だけが恨めしそうに麻美へと視線を向けたが、麻美はフンとそっぽ向く。
「……あれ、あんたの知り合いか?」
「真田と柳なら顔見知りだがな。全国大会二連覇の立海の奴らだ」
「あぁ、あれが昨年の王者って言われてる……。あのもじゃもじゃ野郎は腹立たしいがな」
「奴は立海のエース、切原だな。新人戦で日吉と当たった奴だ。……ったく、それにしても他校にやいやい言われたからってすぐに手を出そうとするな。気持ちは分からないでもないが、せめて口だけにしろ」
「……ほんとに口うるさい奴だな」
「ならそう言われないように心がけるんだな」
ポンッと麻美の頭を軽く叩き、どこか子をあやすような態度の跡部に「偉そうに……」と、先程の切原に向けられた視線と同じ目で跡部を睨んだ。
全国大会に行くどころか、まさかの関東大会1回戦負け。苛立たしい気持ちと悔しい気持ちが合わさって仕方がない。
しかし、本当に苛立たしいのも、悔しいのも試合をした奴らだろう。……いや、ジローだけは違うな。
パッと思い浮かべた寝坊助の部員の性格からして麻美はそう断言した。
「せっかくコンソレーションでルドルフを降したばっかだってのに……」
従兄妹の赤澤がいる学校を負かしたのに従兄妹の思いを背負って全国に行くことが叶わなかった。少しばかりの申し訳なさが麻美に芽生える。
とはいえ、レギュラー達を叱る気にもなれないし、当初は「お前のせいで」と犬猿の仲である日吉を責め立てようとしたが、今は呵責する気にはなれなかった。
さすがの麻美でも彼らのメンタルまでボコボコにするつもりはない。
沈む気持ちなのは何も自分だけじゃないということを理解している麻美は来年に向けて後輩をビシバシと鍛え上げるしかないなと考え始める。来年にはもう高校生なので限られた時間ではあるが。
「いや~それにしても真田副部長が青学より警戒してたわりには氷帝も案外大したことないッスね~」
ふとすれ違った他校生の話が耳に入り、麻美はぴくりと反応をして足を止める。
「特にあの日吉? でしたっけ? 俺が新人戦でやり合った奴。あの時より弱っちくなったんじゃないんスかね? なんていうか、かませ犬って感じ。いやぁ、惨めだねぇ」
ケラケラ笑う、もじゃもじゃ頭の彼の発言に勃然と憤怒が込み上げてきた。
「オイ、もじゃもじゃ野郎。今何て言いやがった?」
気がつけば声をかけていた。それに反応した件の男含む三人も足を止めて振り返る。
「……今、俺に言ったのか?」
ギロリと睨むその態度は麻美にとっては慣れたものだった。だからこそ怯えなど感じない。
「他に誰がいんだよ。さっきから馬鹿にすんのも大概にしろ」
「へー。あんたもしかして氷帝生? 関東大会1回戦負けっていう無惨な成績を残したあの? そういうの負け犬の遠吠えっつーんだよ」
「あ?」
馬鹿にするように笑う男の言動に麻美はさらにカチンときたのか、こめかみに癇癪筋を走らせた。
「赤也、そのくらいにしておけ」
細目の男が赤也と呼ばれる男を止めようとするが、どうやら彼は聞く耳を持たない様子だった。
「弱いから負ける。当然のことだろ? 本当のこと言われてムキになるなっつーの。負け犬は負け犬らしく尻尾巻いて帰んな」
「よし、決めた。テメェぶっ潰す」
「女のくせに男とやり合うっての? へぇ、見せてもらおうじゃ━━」
相手と乱闘するつもりなのか、麻美が拳を握ると、それを楽しむように男も乗り気になったその時だった。
「赤也ぁ!!」
「やめろ、赤宮っ」
ぐいっと赤也の首根っこを掴んで引っ張るのは帽子を被った男。
拳を作る麻美の腕を掴んで制止するのは跡部。
突然、両者を止める存在に二人は驚きの表情をそれぞれのストッパー役に向けた。
「貴様、女人相手に手を出そうとしたのか! このたわけがっ!!」
「だ、だって副部長っ! 喧嘩を吹っかけてきたのは向こうで……」
「赤也、相手の気に障ることを先に言い出したのはお前だろう」
「なっ、柳先輩までっ!」
「っち、なんで跡部がいやがんだ!」
「お前が一人でフラフラしてたから様子を見に来ただけだ」
「保護者かよっ」
悪態つく麻美に「あぁ、そうだな」と意地の悪い笑みを浮かべる跡部に更にイラッとする。
そんな中、帽子を被った男が跡部の名を呼んだ。
「すまない。うちの後輩が彼女に不愉快な思いをさせたので謝罪をさせてもらいたい」
「げっ」
「あーん? だとよ、赤宮」
「出来るもんならやって見せろ」
フン、と鼻で馬鹿にする麻美に赤也と呼ばれた相手は奥歯を強く噛み締める表情を彼女に向けていた。
「ほら、謝らんか!」
「ぐっ……す、すんませんでした……」
帽子の男に頭を押さえられ無理やり前へと下げさせられた赤也が嫌々そうに謝罪の言葉を口にする。
「俺の方からも申し訳なかった。配慮に欠ける言動だったことを認めよう」
続いて黒帽子の彼も頭を下げる。細目の男も同じタイミングで頭を下げた。
「許してやるつもりはないが、この場はそいつに免じて不問に付してやる」
「……えらっそーに」
「赤也!!」
「はい! すんませんした!!」
再び叱られる気配を感じたのか赤也が大きな声でまた深々と頭を下げる。二人の力関係がとても分かりやすい。
「謝罪を受け入れてもらえたこと、ありがたく思う。では俺達は失礼する」
ぺこりと浅く頭を下げると三人の他校生はそのまま帰って行った。赤也と呼ばれた者だけが恨めしそうに麻美へと視線を向けたが、麻美はフンとそっぽ向く。
「……あれ、あんたの知り合いか?」
「真田と柳なら顔見知りだがな。全国大会二連覇の立海の奴らだ」
「あぁ、あれが昨年の王者って言われてる……。あのもじゃもじゃ野郎は腹立たしいがな」
「奴は立海のエース、切原だな。新人戦で日吉と当たった奴だ。……ったく、それにしても他校にやいやい言われたからってすぐに手を出そうとするな。気持ちは分からないでもないが、せめて口だけにしろ」
「……ほんとに口うるさい奴だな」
「ならそう言われないように心がけるんだな」
ポンッと麻美の頭を軽く叩き、どこか子をあやすような態度の跡部に「偉そうに……」と、先程の切原に向けられた視線と同じ目で跡部を睨んだ。