自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
関東大会敗退の結果
主人公名前変換
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「……なんだ、あの変な体勢は」
テニスとは思えない日吉の構えに麻美が腕を組みながら訝しげに呟く。それに反応したのはいまだ芥川に膝を貸す秋だった。
「あれ? 麻美は見るのは初めてだった? 日吉くんのあの構えは演武テニスって呼ばれてて古武術のフォームを取り入れたものなんだよ」
「キノコのテニスに興味ないから知らん」
「相変わらず仲が悪いね、君達は。いや、むしろ喧嘩するほど仲がいいって━━いでででっ!! 麻美さん! ギブ! ギブ! 遥さんの世界最高峰の頭脳が死滅しちゃう!!」
遥が茶化すように笑った瞬間、麻美の黄金の右手で遥の頭を鷲掴みし、ミシミシと指に力を込めて圧迫し始めた。
「くだらんことを言う脳なんざ死滅しろ!!」
「酷いっ!」
「もう、二人とも試合に集中してよ。大事な試合なんだよ?」
結局いつも通り秋が仲裁に入り、二人のじゃれ合いを止めて試合の観戦を続ける。
日吉のその独特なフォームは初めて目の当たりにする者にとってはどのような打球を放つか分からないだろう。しかし対戦相手の1年生はまるで自分も隠していた手の内を晒すように右手に持っていたラケットを左手に持ち替えた。
「なんだ、あの1年左利きかよ……」
「凄い……今まで右手で打ってたのに」
「両利きなのかしらね~! ヒヨ頑張れ~!」
マネージャー達の応援もより一層熱が入る。何故ならばここで負けてしまったら氷帝の夏は終わってしまうのだから。
試合は接戦でどちらも引かない。互いに技を惜しみなく打ち合い、瞬きしたら全てを見逃しそうなほどのハイペースな試合。
観ている者も気圧されるような両者の戦いはいつしか身体に現れた。
「樺地、なんか震えてへん?」
忍足の言葉に何人かが樺地へと視線を向ける。純粋ゆえに飲まれてしまったのか、彼はその大きな身体を僅かに震わせていた。
「そういう侑士、お前も」
「……あ」
「俺もだけど……」
中には気づかない者もいたようでそれだけ身体に響くような試合が目の前で繰り広げられていた。そう、武者震いだ。
「補欠同士の試合のくせになんだよ、この異様な圧は」
麻美もその一人だったようでその興奮に震える手を治めようと手のひらに拳をぶつけ、その振動を止めた。けれどその表情はとても楽しげで、にやりと口角を上げている。
「日吉くん、頑張って……」
秋は祈るような気持ちで手を組んで、正レギュラーの座を狙う日吉の勝利を願った。緊張ゆえかドクドクと心臓の音も早くなる。
「かばっち! あたしがついてるから大丈夫だよっ!」
遥は樺地の震えを心配してか、その手をぎゅっと握った。突然の行動に驚く樺地だったが、善意の行為ということはよく分かったので「ありがとう、ございます……」と、たどたどしい言葉で返した。
跡部も日吉の勝利を願った。ここで俺達が終わるわけにはいかないと。
関東大会2回戦へのチケットを得るため、誰もが自校の後輩に優勝を託す。そんな彼らの試合に注目する他校生も次々と集い始めた。まるで全国大会の試合にでも観に来ているかのようなギャラリーの数である。
対戦相手の越前は相変わらず飛ばしたテンションで試合を続けていた。まだまだ試合は序盤なのであれでは終盤まで続かないだろうと誰もが思う。
日吉に至っては緩急をつけ始めた。越前の体力切れを狙うために。
しかし越前は体力に底がつくどころか、変わらず攻め続けた。何度も何度も大技を打っては決めていく。一向に終わらない彼の猛攻に日吉も戸惑った。
そしてそのベストテンションを保ったまま越前は最後の一撃を決めたのだ。
ゲームセット! という審判の声がコート中に響き渡る。そして青学には盛大な歓声が向けられた。勝敗が決した瞬間である。
『━━以上により3勝2敗1ノーゲーム青学の勝利です!! 両チーム共整列して下さい』
チームの出場者は皆コートへと集まる。氷帝メンバーも全員試合を終えた日吉の元へと集う。
青学の1年に敗北した彼は顔を俯かせ、腕で顔を隠していた。悔し涙を流したのかもしれない。
「え……。終わっちゃったの? 氷帝が敗退? ってことは、ってことは……?」
信じられないというような表情と共に氷帝側の観客席に座る遥がぽつりと呟く。
「もう、終わりってことだ」
「悔しいけどね」
溜め息を吐き捨てる麻美と眉を下げながら笑う秋の言葉に遥が「そんなっ!」と声を上げる。
「は、敗者復活戦は!? コンソメーションとかいうやつは!?」
「コンソレーションだこの馬鹿!」
「それに敗者復活戦はないよ」
「や、やだーー!! やっと関東大会でかばっちの試合を見られるようになったのにもう見ること出来ないのやだー!」
「負けたんだから仕方ないだろ! 駄々をこねるな! 文句があるならキノコに━━」
「麻美」
秋が静かに麻美の名前を呟き、首を横に振った。それ以上は言わないであげて、という表情で。
さすがの麻美も今はそれを言うべきではないと理解したのか、舌打ちをして口を噤む。
「……うちが負けたけど、各々にとってはいい試合だったって俺は思うよ」
表舞台に経つことすら出来なかった滝のどこか寂しげな表情と言葉を聞いてマネージャー達はそれぞれのタイミングで頷いた。
けれどそんな傷心に浸るようなことをさせないのが氷帝の部長、跡部である。
彼はコートから立ち去る際に指を鳴らし、応援団に合図を送った。訓練された部員達はその音を耳にして戦士達を讃えるように名物の氷帝コールを響かせる。
テニスとは思えない日吉の構えに麻美が腕を組みながら訝しげに呟く。それに反応したのはいまだ芥川に膝を貸す秋だった。
「あれ? 麻美は見るのは初めてだった? 日吉くんのあの構えは演武テニスって呼ばれてて古武術のフォームを取り入れたものなんだよ」
「キノコのテニスに興味ないから知らん」
「相変わらず仲が悪いね、君達は。いや、むしろ喧嘩するほど仲がいいって━━いでででっ!! 麻美さん! ギブ! ギブ! 遥さんの世界最高峰の頭脳が死滅しちゃう!!」
遥が茶化すように笑った瞬間、麻美の黄金の右手で遥の頭を鷲掴みし、ミシミシと指に力を込めて圧迫し始めた。
「くだらんことを言う脳なんざ死滅しろ!!」
「酷いっ!」
「もう、二人とも試合に集中してよ。大事な試合なんだよ?」
結局いつも通り秋が仲裁に入り、二人のじゃれ合いを止めて試合の観戦を続ける。
日吉のその独特なフォームは初めて目の当たりにする者にとってはどのような打球を放つか分からないだろう。しかし対戦相手の1年生はまるで自分も隠していた手の内を晒すように右手に持っていたラケットを左手に持ち替えた。
「なんだ、あの1年左利きかよ……」
「凄い……今まで右手で打ってたのに」
「両利きなのかしらね~! ヒヨ頑張れ~!」
マネージャー達の応援もより一層熱が入る。何故ならばここで負けてしまったら氷帝の夏は終わってしまうのだから。
試合は接戦でどちらも引かない。互いに技を惜しみなく打ち合い、瞬きしたら全てを見逃しそうなほどのハイペースな試合。
観ている者も気圧されるような両者の戦いはいつしか身体に現れた。
「樺地、なんか震えてへん?」
忍足の言葉に何人かが樺地へと視線を向ける。純粋ゆえに飲まれてしまったのか、彼はその大きな身体を僅かに震わせていた。
「そういう侑士、お前も」
「……あ」
「俺もだけど……」
中には気づかない者もいたようでそれだけ身体に響くような試合が目の前で繰り広げられていた。そう、武者震いだ。
「補欠同士の試合のくせになんだよ、この異様な圧は」
麻美もその一人だったようでその興奮に震える手を治めようと手のひらに拳をぶつけ、その振動を止めた。けれどその表情はとても楽しげで、にやりと口角を上げている。
「日吉くん、頑張って……」
秋は祈るような気持ちで手を組んで、正レギュラーの座を狙う日吉の勝利を願った。緊張ゆえかドクドクと心臓の音も早くなる。
「かばっち! あたしがついてるから大丈夫だよっ!」
遥は樺地の震えを心配してか、その手をぎゅっと握った。突然の行動に驚く樺地だったが、善意の行為ということはよく分かったので「ありがとう、ございます……」と、たどたどしい言葉で返した。
跡部も日吉の勝利を願った。ここで俺達が終わるわけにはいかないと。
関東大会2回戦へのチケットを得るため、誰もが自校の後輩に優勝を託す。そんな彼らの試合に注目する他校生も次々と集い始めた。まるで全国大会の試合にでも観に来ているかのようなギャラリーの数である。
対戦相手の越前は相変わらず飛ばしたテンションで試合を続けていた。まだまだ試合は序盤なのであれでは終盤まで続かないだろうと誰もが思う。
日吉に至っては緩急をつけ始めた。越前の体力切れを狙うために。
しかし越前は体力に底がつくどころか、変わらず攻め続けた。何度も何度も大技を打っては決めていく。一向に終わらない彼の猛攻に日吉も戸惑った。
そしてそのベストテンションを保ったまま越前は最後の一撃を決めたのだ。
ゲームセット! という審判の声がコート中に響き渡る。そして青学には盛大な歓声が向けられた。勝敗が決した瞬間である。
『━━以上により3勝2敗1ノーゲーム青学の勝利です!! 両チーム共整列して下さい』
チームの出場者は皆コートへと集まる。氷帝メンバーも全員試合を終えた日吉の元へと集う。
青学の1年に敗北した彼は顔を俯かせ、腕で顔を隠していた。悔し涙を流したのかもしれない。
「え……。終わっちゃったの? 氷帝が敗退? ってことは、ってことは……?」
信じられないというような表情と共に氷帝側の観客席に座る遥がぽつりと呟く。
「もう、終わりってことだ」
「悔しいけどね」
溜め息を吐き捨てる麻美と眉を下げながら笑う秋の言葉に遥が「そんなっ!」と声を上げる。
「は、敗者復活戦は!? コンソメーションとかいうやつは!?」
「コンソレーションだこの馬鹿!」
「それに敗者復活戦はないよ」
「や、やだーー!! やっと関東大会でかばっちの試合を見られるようになったのにもう見ること出来ないのやだー!」
「負けたんだから仕方ないだろ! 駄々をこねるな! 文句があるならキノコに━━」
「麻美」
秋が静かに麻美の名前を呟き、首を横に振った。それ以上は言わないであげて、という表情で。
さすがの麻美も今はそれを言うべきではないと理解したのか、舌打ちをして口を噤む。
「……うちが負けたけど、各々にとってはいい試合だったって俺は思うよ」
表舞台に経つことすら出来なかった滝のどこか寂しげな表情と言葉を聞いてマネージャー達はそれぞれのタイミングで頷いた。
けれどそんな傷心に浸るようなことをさせないのが氷帝の部長、跡部である。
彼はコートから立ち去る際に指を鳴らし、応援団に合図を送った。訓練された部員達はその音を耳にして戦士達を讃えるように名物の氷帝コールを響かせる。