自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
頂上対決を見守る覚悟
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秋は青学側のベンチの様子を窺った。審判が手塚に話をしてるようだ。会話の内容まではあまり聞こえないが、もしかしたら棄権を勧めているのかもしれない。
けれどその選択をしなかったのか、手塚がベンチから立った瞬間、青学部員達が騒ぎ出した。さすがにその声は秋達の耳にも届く。
ダメっすよ部長! テニスが出来なくなる! もう止めてください! と次々に部員が手塚を説得しようと悲痛な声を上げるのだ。必死な彼らの声が聞こえないわけがない。
けれど結局手塚はレギュラーに見送られ、部員達にも見送られ、再びテニスコートへと戻って来たのだ。
あぁ。国光らしい。と、秋は思った。
従兄妹の国光がテニス部だということは最近跡部から聞いて知った。界隈で有名なプレイヤーだということもその時に知り、都大会でちらっと彼を見た時は「本当にテニス部だったんだ」と驚いたもの。
正月やお盆などの親戚が集まる時くらいしか話をしないからそんなに相手のことが詳しいというわけではなかった。けれど仲は良好である。ただ学校生活の話はしないだけだった。
それに彼は見た目からして文学部の人間だと思っていたこともある。
結局部活の話はすることなく、どちらかというと趣味の話ばかりしていた。山登りや釣りなど。今思えばその趣味も結構アクティブだし、体力が必要なものだ。
山の頂上で撮った写真、キャンプを満喫する写真、大物を釣り上げた写真、と親族の集まりの度に新しい写真を色々見せてくれたし、その話をする時の国光は活き活きとしていたからそれだけで会話が弾むのであっという間に解散時間になったりもしたっけ。
私としても経験したことがない話を聞くのは楽しかったからまさかテニス部の有名人だなんて思ってもみなかった。
だけど、今こうして対戦相手校として立ちはだかる国光はカリスマ性があって、部員達にも慕われている素晴らしい部長だと思う。
従兄妹のちょっと違う一面は嬉しくもあるけど、国光らしさももちろん存在した。
責任感の強いところ、諦めないところ、自分を犠牲にするところ。そういうところも引っ括めての国光の今回の判断はやはり彼らしいのだ。
けれど確実に国光は肩を痛めてしまっている。試合どころではないはずなのに、勝利するにはあまりにも難しいのに、そこまでして立ち向かう従兄妹の姿は雄々しいのだろうけど、身内にとっては見ていられないもので試合再開する彼から思わず目を背けてしまう。
「……見てやれって」
そんな中、目の前から声が聞こえて俯いていた顔を上げる。そこには真剣な岳人の姿があった。
「親戚だから心配とか色々あるだろーけど、手塚が決めたことなんだからなおさら身内であるお前が見守ってやるべきじゃね?」
目が合うと少し気まずそうに逸らされたが、頬を掻きながら励まそうとしてくれる彼に心が熱くなる。
「そう、だね。うん、国光の信念をしっかり見てあげなきゃ……」
きっと誰が何を言っても国光の考えは変わらないのだろう。それに無理やり引き止めることも出来たのに青学の部員達はぐっと我慢して送り出した。
青学側は病院に向かっていた河村くんが戻り、応援旗を振ってエールを送ったのだ。
彼らが覚悟を決めたように私も最後まで見届ける覚悟を持たないと。見ないと後で後悔するかもしれないし。
「ありがとう、岳人」
「い、いや、別に。見とかねーとぜってー後悔すると思ったからよ」
少し照れながら隣に腰を下ろす岳人に私は小さく笑いながら私の好きな人がこの人で良かったと改めて思った。
けれどその選択をしなかったのか、手塚がベンチから立った瞬間、青学部員達が騒ぎ出した。さすがにその声は秋達の耳にも届く。
ダメっすよ部長! テニスが出来なくなる! もう止めてください! と次々に部員が手塚を説得しようと悲痛な声を上げるのだ。必死な彼らの声が聞こえないわけがない。
けれど結局手塚はレギュラーに見送られ、部員達にも見送られ、再びテニスコートへと戻って来たのだ。
あぁ。国光らしい。と、秋は思った。
従兄妹の国光がテニス部だということは最近跡部から聞いて知った。界隈で有名なプレイヤーだということもその時に知り、都大会でちらっと彼を見た時は「本当にテニス部だったんだ」と驚いたもの。
正月やお盆などの親戚が集まる時くらいしか話をしないからそんなに相手のことが詳しいというわけではなかった。けれど仲は良好である。ただ学校生活の話はしないだけだった。
それに彼は見た目からして文学部の人間だと思っていたこともある。
結局部活の話はすることなく、どちらかというと趣味の話ばかりしていた。山登りや釣りなど。今思えばその趣味も結構アクティブだし、体力が必要なものだ。
山の頂上で撮った写真、キャンプを満喫する写真、大物を釣り上げた写真、と親族の集まりの度に新しい写真を色々見せてくれたし、その話をする時の国光は活き活きとしていたからそれだけで会話が弾むのであっという間に解散時間になったりもしたっけ。
私としても経験したことがない話を聞くのは楽しかったからまさかテニス部の有名人だなんて思ってもみなかった。
だけど、今こうして対戦相手校として立ちはだかる国光はカリスマ性があって、部員達にも慕われている素晴らしい部長だと思う。
従兄妹のちょっと違う一面は嬉しくもあるけど、国光らしさももちろん存在した。
責任感の強いところ、諦めないところ、自分を犠牲にするところ。そういうところも引っ括めての国光の今回の判断はやはり彼らしいのだ。
けれど確実に国光は肩を痛めてしまっている。試合どころではないはずなのに、勝利するにはあまりにも難しいのに、そこまでして立ち向かう従兄妹の姿は雄々しいのだろうけど、身内にとっては見ていられないもので試合再開する彼から思わず目を背けてしまう。
「……見てやれって」
そんな中、目の前から声が聞こえて俯いていた顔を上げる。そこには真剣な岳人の姿があった。
「親戚だから心配とか色々あるだろーけど、手塚が決めたことなんだからなおさら身内であるお前が見守ってやるべきじゃね?」
目が合うと少し気まずそうに逸らされたが、頬を掻きながら励まそうとしてくれる彼に心が熱くなる。
「そう、だね。うん、国光の信念をしっかり見てあげなきゃ……」
きっと誰が何を言っても国光の考えは変わらないのだろう。それに無理やり引き止めることも出来たのに青学の部員達はぐっと我慢して送り出した。
青学側は病院に向かっていた河村くんが戻り、応援旗を振ってエールを送ったのだ。
彼らが覚悟を決めたように私も最後まで見届ける覚悟を持たないと。見ないと後で後悔するかもしれないし。
「ありがとう、岳人」
「い、いや、別に。見とかねーとぜってー後悔すると思ったからよ」
少し照れながら隣に腰を下ろす岳人に私は小さく笑いながら私の好きな人がこの人で良かったと改めて思った。