自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
頂上対決を見守る覚悟
主人公名前変換
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「おい手塚。ウデなまってねーよなぁ」
対戦相手に指を差し、自信満々でコートに入る跡部は人差し指を天へと向けた。
「勝つのは氷帝!! 負けるの青学!!」
「勝つのは氷帝!! 負けるの青学!!」
キングの登場により応援団の声がいっそう大きくなる。
まるでコンダクターのように跡部が両手で指を差すと、それを合図に応援の言葉はタイミング良く変わった。
「勝者は跡部! 敗者は手塚!!」
「勝者は跡部! 敗者は手塚!!」
「勝者は……」
パチン、と響くフィンガースナップは応援団の口を止める魔法のようであった。その音さえも優雅で力強く聞こえただろう。そして跡部はバサッと着ていた長袖のジャージを脱ぎ捨てた。
「俺だ」
静かに、氷帝の頂点に立つ男の言葉に迷いはない。自信に溢れた宣言は「うおおーーっ」と会場を囲む部員達を沸かせ、再度応援の声を上げた。
まるで全国大会決勝のような勢いとも言えるが、これはまだ関東大会初戦である。
「……うざってぇな、あれ」
そんな様子を観客席で嫌そうな表情で呟く麻美に秋は苦笑いしながら答える。
「でも、跡部らしいし、盛り上がるから私は悪くないと思うよ」
「あのパフォーマンスほんといらない。時間の無駄」
「まぁ、確かに派手と言や派手だけど、それであいつのポテンシャルが上がるなら仕方ないんじゃね?」
「俺は跡部さんにぴったりだと思いますっ。格好いいですよねっ!」
宍戸も呆れ笑いをして今さらだと言わんばかりの表情をするが、鳳に至っては「さすが跡部さんっ」と目を輝かせていた。
「……長太郎、あんたもあれがやりたいのか?」
「い、いえ、やりたいんじゃなくて、跡部さんだから決まってるなって思っただけです」
「まぁ、どう思うのかは勝手だけど、あれを真似しようと思うなよ」
「あ、はは、そんな烏滸がましいことは考えてないです……」
さすがにそんな度胸もなければ歓声の中心に浴びたいわけではないので鳳はふるふると首を横に振った。
シングルス1の跡部VS手塚の試合が始まって早々に跡部はドライブボレーで手塚のラケットを弾き飛ばしポイントを決める。
全国クラスである手塚をこうも簡単に抑えた彼の攻撃に青学側も言葉を失っているようだった。
「俺様の美技に酔いな」
その瞬間、応援に来ていた氷帝の女子生徒が黄色い歓声を上げた。
「キャアーーッ跡部様っ!! ステキー!」
「跡部様!」
「跡部様ーー!!」
全ての語尾にハートがつきそうなハート乱舞な声援。その甲高い女子達の悲鳴まじりの声に麻美のこめかみが苛立ちにひくりと震えた。
「……鬱陶しい」
「気持ちはわかるがいつものことだって諦めろ……慣れるしかねぇからよ」
すでに慣れてしまった宍戸は麻美の気持ちを酌みながら状況に適応することを勧めた。
麻美は舌打ちをし、黄色い声に耳を塞ぎたくなる思いだったが、試合に集中することに努めようとした━━が、ずっと気になっていたことがあった麻美は秋を見て口を開く。
「ところで……なんでそうなってんだよ」
そう、とは秋の膝を枕にして寝ている芥川の状況であった。秋も何と説明すればいいか分からず、照れながらも言葉にする。
「た、多分疲れて寝ちゃったんだと思うよ。だから寝かせてあげてね」
口元に人差し指を当てながらしーっとする秋だが、氷帝応援団と女子生徒による声援の中で寝てるのだからそう簡単に起きなさそうだけどと麻美は思った。
そんな秋の膝枕で寝ている芥川に色んな感情がこもった視線を向ける男がいた。向日岳人である。
「……なぁ、侑士。ジローってもしかして秋のことが好きだったりするのか?」
ぼそりと本人達に聞こえないように相方に尋ねてみた。というか尋ねざるを得なかったのだろう。
だってあの膝枕である。いくら布地越しだから肌に直接触れていないとはいえ、あまりにも密着してるのだ。気にならないわけない。
好きならばそういうアピールなんだと納得するが、特に何も感情がなければあれはただのファン略奪行為なんじゃないかと斜め上な理由で向日は焦りを見せた。
「まぁ、嫌いな相手にくっつくような奴ちゃうやろ。そもそもジローは元から九条さんにべったりやん?」
やっぱりそうか。いい意味でも悪い意味でも恋愛経験豊富な相方がそういうのだから信憑性はある。
そもそも芥川は普通の人より距離は近いが、秋と関わる時だけはさらに近い気がした。ただの友人相手にあそこまでべったりするわけはないし、やはり好意を抱いてるのだろう。向日はそう結論づけた。
じゃあ、ファン略奪行為じゃねーな! そう安心するのだが、モヤッとする。
何と言えばいいのか、それはそれでなんか嫌だな。みたいな感情。
「……岳人、自分めっちゃ百面相しとるで」
「考え事してんだから仕方ねーだろっ」
「さよか……はよ自覚するとえぇな」
生暖かい目で向日にそう伝える忍足に向日は「はあ?」と返すが、それ以上何も言ってこなかったため「何なんだよ……」とぼやいた。
対戦相手に指を差し、自信満々でコートに入る跡部は人差し指を天へと向けた。
「勝つのは氷帝!! 負けるの青学!!」
「勝つのは氷帝!! 負けるの青学!!」
キングの登場により応援団の声がいっそう大きくなる。
まるでコンダクターのように跡部が両手で指を差すと、それを合図に応援の言葉はタイミング良く変わった。
「勝者は跡部! 敗者は手塚!!」
「勝者は跡部! 敗者は手塚!!」
「勝者は……」
パチン、と響くフィンガースナップは応援団の口を止める魔法のようであった。その音さえも優雅で力強く聞こえただろう。そして跡部はバサッと着ていた長袖のジャージを脱ぎ捨てた。
「俺だ」
静かに、氷帝の頂点に立つ男の言葉に迷いはない。自信に溢れた宣言は「うおおーーっ」と会場を囲む部員達を沸かせ、再度応援の声を上げた。
まるで全国大会決勝のような勢いとも言えるが、これはまだ関東大会初戦である。
「……うざってぇな、あれ」
そんな様子を観客席で嫌そうな表情で呟く麻美に秋は苦笑いしながら答える。
「でも、跡部らしいし、盛り上がるから私は悪くないと思うよ」
「あのパフォーマンスほんといらない。時間の無駄」
「まぁ、確かに派手と言や派手だけど、それであいつのポテンシャルが上がるなら仕方ないんじゃね?」
「俺は跡部さんにぴったりだと思いますっ。格好いいですよねっ!」
宍戸も呆れ笑いをして今さらだと言わんばかりの表情をするが、鳳に至っては「さすが跡部さんっ」と目を輝かせていた。
「……長太郎、あんたもあれがやりたいのか?」
「い、いえ、やりたいんじゃなくて、跡部さんだから決まってるなって思っただけです」
「まぁ、どう思うのかは勝手だけど、あれを真似しようと思うなよ」
「あ、はは、そんな烏滸がましいことは考えてないです……」
さすがにそんな度胸もなければ歓声の中心に浴びたいわけではないので鳳はふるふると首を横に振った。
シングルス1の跡部VS手塚の試合が始まって早々に跡部はドライブボレーで手塚のラケットを弾き飛ばしポイントを決める。
全国クラスである手塚をこうも簡単に抑えた彼の攻撃に青学側も言葉を失っているようだった。
「俺様の美技に酔いな」
その瞬間、応援に来ていた氷帝の女子生徒が黄色い歓声を上げた。
「キャアーーッ跡部様っ!! ステキー!」
「跡部様!」
「跡部様ーー!!」
全ての語尾にハートがつきそうなハート乱舞な声援。その甲高い女子達の悲鳴まじりの声に麻美のこめかみが苛立ちにひくりと震えた。
「……鬱陶しい」
「気持ちはわかるがいつものことだって諦めろ……慣れるしかねぇからよ」
すでに慣れてしまった宍戸は麻美の気持ちを酌みながら状況に適応することを勧めた。
麻美は舌打ちをし、黄色い声に耳を塞ぎたくなる思いだったが、試合に集中することに努めようとした━━が、ずっと気になっていたことがあった麻美は秋を見て口を開く。
「ところで……なんでそうなってんだよ」
そう、とは秋の膝を枕にして寝ている芥川の状況であった。秋も何と説明すればいいか分からず、照れながらも言葉にする。
「た、多分疲れて寝ちゃったんだと思うよ。だから寝かせてあげてね」
口元に人差し指を当てながらしーっとする秋だが、氷帝応援団と女子生徒による声援の中で寝てるのだからそう簡単に起きなさそうだけどと麻美は思った。
そんな秋の膝枕で寝ている芥川に色んな感情がこもった視線を向ける男がいた。向日岳人である。
「……なぁ、侑士。ジローってもしかして秋のことが好きだったりするのか?」
ぼそりと本人達に聞こえないように相方に尋ねてみた。というか尋ねざるを得なかったのだろう。
だってあの膝枕である。いくら布地越しだから肌に直接触れていないとはいえ、あまりにも密着してるのだ。気にならないわけない。
好きならばそういうアピールなんだと納得するが、特に何も感情がなければあれはただのファン略奪行為なんじゃないかと斜め上な理由で向日は焦りを見せた。
「まぁ、嫌いな相手にくっつくような奴ちゃうやろ。そもそもジローは元から九条さんにべったりやん?」
やっぱりそうか。いい意味でも悪い意味でも恋愛経験豊富な相方がそういうのだから信憑性はある。
そもそも芥川は普通の人より距離は近いが、秋と関わる時だけはさらに近い気がした。ただの友人相手にあそこまでべったりするわけはないし、やはり好意を抱いてるのだろう。向日はそう結論づけた。
じゃあ、ファン略奪行為じゃねーな! そう安心するのだが、モヤッとする。
何と言えばいいのか、それはそれでなんか嫌だな。みたいな感情。
「……岳人、自分めっちゃ百面相しとるで」
「考え事してんだから仕方ねーだろっ」
「さよか……はよ自覚するとえぇな」
生暖かい目で向日にそう伝える忍足に向日は「はあ?」と返すが、それ以上何も言ってこなかったため「何なんだよ……」とぼやいた。