自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
シングルス2とその合間に出会った入院中の少年
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(あれ……?)
ふと、目が覚めると少年の視界には見慣れた天井が映る。すると急に顔を覗き込む、これもまた見慣れた顔の看護師と目が合った。
「起きたわね、幸村くん」
「……俺……」
「覚えてるかしら? お友達をバス停まで案内しようとした途中で発作が起こって意識を失っていたのよ」
そう告げられ、少年・幸村精市は最後の記憶を掘り起こす。
……そうだ。確か病院を間違えた子を停留所へ送ってた途中だったっけ。それで咳が止まらなくなって彼女の手を借り、病院に戻ったところで意識を失った気がする。
そして目覚めたら自分の病室だったというわけだ。天井が見慣れるほどこの病室にいるのも長くなったものだな。
「やっぱり付き添いがいたとしても病院に出るのは良くなかったわね」
「……すみません」
「えぇ、次から気をつけてね」
「はい。……あの、一緒にいた彼女は……?」
「幸村くんを送ってから帰っちゃったわ。後日でいいからお礼を言ってあげるのよ」
「……はい」
友人ではないし、連絡先も知らないのでお礼を伝える術がない。仕方なく話を合わせ、看護師が病室を出ると幸村は軽く溜め息をつく。そうか、帰っちゃったか、と思いながら。
長い入院生活。話し相手はもっぱら院内の人達。もちろん家族や友人、仲間達が見舞いに来てくれるがそんなに頻繁ではない。
散歩がてら院内を歩いていたら受付で慌てる少女を見つけ、何となく様子を窺ってみた。
どうやら彼女は病院を間違えたらしい。けれど目的の病院には近くのバス停から乗れば乗り換えることなく到着すると聞いて安心していた。
とはいえ、ここの病院前にあるバス停は多いので間違えないか不安そうにしていたため幸村は話しかけたのだ。自分も外の空気を吸えると思って。
停留所に向かう途中、人当たりのいい少女はこうなった経緯をペラペラと語っていた。話から察するに関東大会に出場している学校の子なのだろう。そこまでは分かった。
おそらく真田達も問題なく勝ち続けてるかな、なんて考えていたところで幸村は彼女に自分もテニスをしていることを話した。そして赤の他人だからか、手術の不安も吐露する。
少女からはポジティブの押し売りのような言葉を色々と貰い、何だか変に気を遣われるよりも清々しく思った彼は彼女の言葉を素直に受け取った。
いっぱい甘えとくといいよ、と告げるその子の言葉に幸村もその言葉通りに実行しようとした。
『また、俺に会いに来てくれないかな?』
結局その言葉は言えなかったけど、口に出来たら彼女はどんな反応しただろうか。初対面なのに失礼だと怒るのか、突然の事で驚くのか、深く考えずに頷くのか。
それすらも分からないほど彼女との付き合いはあまりにも短い。だからこそもう少し少女と話をしたかったけどどうやらそれは叶わなくなってしまった。
名前も何も知らないことの方が多い。手掛かりがあるとすると今日の関東大会に出場してる学校の子というくらいだ。あまりにも情報が少なすぎた。
(……また、会いたいな)
窓の外を眺めながら元気な少女の顔を思い出す。本当にもう会えないのだろうかと他に何か手掛かりになりそうなことを考えるも何も思い浮かばなかった。
せめて元気になれば自分の足で探せるのに。そう考えた幸村は早く病気を治さないといけないな、と完治するための目的がひとつ増えた。
まさかこの出来事により幸村による遥への思いは次第に大きくなり、後に暴走することを今はまだ誰も知らないのだった。
ふと、目が覚めると少年の視界には見慣れた天井が映る。すると急に顔を覗き込む、これもまた見慣れた顔の看護師と目が合った。
「起きたわね、幸村くん」
「……俺……」
「覚えてるかしら? お友達をバス停まで案内しようとした途中で発作が起こって意識を失っていたのよ」
そう告げられ、少年・幸村精市は最後の記憶を掘り起こす。
……そうだ。確か病院を間違えた子を停留所へ送ってた途中だったっけ。それで咳が止まらなくなって彼女の手を借り、病院に戻ったところで意識を失った気がする。
そして目覚めたら自分の病室だったというわけだ。天井が見慣れるほどこの病室にいるのも長くなったものだな。
「やっぱり付き添いがいたとしても病院に出るのは良くなかったわね」
「……すみません」
「えぇ、次から気をつけてね」
「はい。……あの、一緒にいた彼女は……?」
「幸村くんを送ってから帰っちゃったわ。後日でいいからお礼を言ってあげるのよ」
「……はい」
友人ではないし、連絡先も知らないのでお礼を伝える術がない。仕方なく話を合わせ、看護師が病室を出ると幸村は軽く溜め息をつく。そうか、帰っちゃったか、と思いながら。
長い入院生活。話し相手はもっぱら院内の人達。もちろん家族や友人、仲間達が見舞いに来てくれるがそんなに頻繁ではない。
散歩がてら院内を歩いていたら受付で慌てる少女を見つけ、何となく様子を窺ってみた。
どうやら彼女は病院を間違えたらしい。けれど目的の病院には近くのバス停から乗れば乗り換えることなく到着すると聞いて安心していた。
とはいえ、ここの病院前にあるバス停は多いので間違えないか不安そうにしていたため幸村は話しかけたのだ。自分も外の空気を吸えると思って。
停留所に向かう途中、人当たりのいい少女はこうなった経緯をペラペラと語っていた。話から察するに関東大会に出場している学校の子なのだろう。そこまでは分かった。
おそらく真田達も問題なく勝ち続けてるかな、なんて考えていたところで幸村は彼女に自分もテニスをしていることを話した。そして赤の他人だからか、手術の不安も吐露する。
少女からはポジティブの押し売りのような言葉を色々と貰い、何だか変に気を遣われるよりも清々しく思った彼は彼女の言葉を素直に受け取った。
いっぱい甘えとくといいよ、と告げるその子の言葉に幸村もその言葉通りに実行しようとした。
『また、俺に会いに来てくれないかな?』
結局その言葉は言えなかったけど、口に出来たら彼女はどんな反応しただろうか。初対面なのに失礼だと怒るのか、突然の事で驚くのか、深く考えずに頷くのか。
それすらも分からないほど彼女との付き合いはあまりにも短い。だからこそもう少し少女と話をしたかったけどどうやらそれは叶わなくなってしまった。
名前も何も知らないことの方が多い。手掛かりがあるとすると今日の関東大会に出場してる学校の子というくらいだ。あまりにも情報が少なすぎた。
(……また、会いたいな)
窓の外を眺めながら元気な少女の顔を思い出す。本当にもう会えないのだろうかと他に何か手掛かりになりそうなことを考えるも何も思い浮かばなかった。
せめて元気になれば自分の足で探せるのに。そう考えた幸村は早く病気を治さないといけないな、と完治するための目的がひとつ増えた。
まさかこの出来事により幸村による遥への思いは次第に大きくなり、後に暴走することを今はまだ誰も知らないのだった。