自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
シングルス2とその合間に出会った入院中の少年
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ゲームセット! ウォンバイ青学不二!! ゲームカウント6-1!!』
芥川はあれから不二に手も足も出ないまま敗北し、青学に2勝も取られてしまった。
盛り上がる青学とは違い、氷帝は不二の実力に息を飲んだ。
「あのジローが手も足も出ぇへんかった」
「流石のアイツもこれだけの完敗じゃ落ち込んでんだろーな」
同じく敗北した向日も芥川に「同情するぜ」と呟いたが、コートにいる彼はどうやらそうではなかった。
「くっそーーっ!! くやCーーっ!!」
完敗して嘆くどころかむしろ楽しげに声を上げていた。
「しっかしあの白鯨って技マジ凄いよ! あの消えるサーブも! それからスマッシュをダイレクトに返すアレ何だっけ……? それからそれからっ」
「つばめ返し?」
「そうそうそれも! スバラCー!」
「……全然落ち込んでませんね」
「ヤローが落ち込むタマかよ」
鳳が芥川の様子を笑いながら見守ると宍戸は当然と言わんばかりに溜め息をつく。
「ジロー、負けちゃったね……」
「っち、負けたくせに元気なやつだな。次負けたら終わりっつーのに」
しゅんとする秋の隣で苛立ちの表情とオーラを惜しげもなく出す麻美に秋も苦笑いするのだった。
「……でも、それだけ強いってことだよね。青学」
「ハッ。こっちが体たらくなだけだ。情けねぇ。おい、跡部。次はあんただろ。負けたら承知しないからな」
「たりめーだろ。俺様は負けるつもりはねーよ」
自信満々の様子でコートへ向かう跡部を見て、麻美は「ほんとかよ……」と口にする。
「跡部が強いのはうちの部員みんな認めてるんだからそれを信じようよ」
「……相手はあんたの従兄妹なのによくそう言えるな」
「そうだけど、やっぱり自分の学校を応援したいからね」
もちろん従兄妹の手塚にもエールを送りたいところだが、秋は自分の通う氷帝を強く応援したかった。
そんな二人の元に、厳密に言うと秋の元に、ではあるが芥川が戻ってくる。
「うっひー! 監督に怒られちった~! 秋~慰めて~」
「お疲れ様、ジロー。残念だったけど、ジローが楽しそうで良かったよ」
「うへへっ。うれCー!」
「負けたくせにふざけた態度取るな」
「うげっ、麻美のお叱りまではいらないってば!」
麻美の怒りのオーラに押されそうになった芥川は急いで秋の後ろに隠れる。秋も麻美にまあまあと困り顔で宥めさせていた。
「……」
その様子をちらりと見ていた向日はこれでもかというくらいの大きな溜め息を吐き出す。
(なんでジローの奴は負けたのにあんな気にもせずに秋に絡みに行けんだ?)
俺には無理なんだけど。そう思いながら、それでいてどこか羨ましそうな目を芥川へと向けた。
実に楽しげな様子で秋と話す彼を見れば、そういえば……と向日は気づく。
(ジローの奴、秋に結構べったりしてるよな……)
今まであまり気にしたことがなかったが、芥川は何かと秋に甘えていたり、絡んでいたりするのをよく見る。元より仲がいいというのもあるが、それにしては何か……気になる。気になりすぎて妙な焦燥感を抱くくらいに。
(……まさか、俺のファンが取られる……?)
ハッ、と気づいた向日はその可能性に気づき、さらに焦りを感じた。
別に向日を応援する女子などはそれなりにいるし、女友達も皆そうだ。
しかし、しっかりファンだと宣言して応援する人物はさらに少なく、秋の存在は向日の中で少しずつ大きくなっていた。
ファンが離れようがあまり気にしない向日だったが、秋が離れてしまう、または鞍替えをするのではないかと思うとそれだけは阻止したくなる。その理由まで気づくことはなかったが。
「……やっぱりファンサとかすべきなのか?」
「おー。岳人の口からおもろい言葉出てきたやん。なんでそんなことになったんか教えてもらおか」
どうやら口に出てしまったらしく、近くにいた忍足が興味津々に尋ねてきた。
「独り言聞いてんじゃねーよ! それに女問題の多いお前じゃ参考になんねーだろっ」
「めっちゃ気になること口にしたのはそっちやのに俺への当たりが酷ないか……?」
「なぁ、宍戸ー。やっぱファンにファンサってするべきか?」
「はあ?」
忍足を無視し、宍戸に向けて声をかけると、まさかこっちに話を振られるとは思わなかった宍戸が戸惑いの声を上げる。
「いや、なんで俺にそれを聞くんだよ。跡部にでも聞けよな」
「跡部もういねーじゃん。宍戸だってファンくらいいんだろ。だから聞いてんだよ」
「ファンサっつってもよ……必要なくね?」
「ファンが減るって分かってもか?」
「別に俺はファンが欲しいわけじゃねーし。……まぁ、応援してほしい奴から応援が貰えたら十分だとは思うけど……」
そのお相手がいるのか少し声を小さめに語る宍戸だったが、向日にとっては「その応援してほしい奴が俺のファンなんだよっ!」と口にしたい思いでいっぱいだった。
しかし下手なことを言えばからかわれるのは目に見えるので口を閉じることにする。
(青春やな……)
そんな二人の会話を聞きながらなんで俺には甘酢っぱい展開がないんやろなと一人で遠い目をする忍足だった。
芥川はあれから不二に手も足も出ないまま敗北し、青学に2勝も取られてしまった。
盛り上がる青学とは違い、氷帝は不二の実力に息を飲んだ。
「あのジローが手も足も出ぇへんかった」
「流石のアイツもこれだけの完敗じゃ落ち込んでんだろーな」
同じく敗北した向日も芥川に「同情するぜ」と呟いたが、コートにいる彼はどうやらそうではなかった。
「くっそーーっ!! くやCーーっ!!」
完敗して嘆くどころかむしろ楽しげに声を上げていた。
「しっかしあの白鯨って技マジ凄いよ! あの消えるサーブも! それからスマッシュをダイレクトに返すアレ何だっけ……? それからそれからっ」
「つばめ返し?」
「そうそうそれも! スバラCー!」
「……全然落ち込んでませんね」
「ヤローが落ち込むタマかよ」
鳳が芥川の様子を笑いながら見守ると宍戸は当然と言わんばかりに溜め息をつく。
「ジロー、負けちゃったね……」
「っち、負けたくせに元気なやつだな。次負けたら終わりっつーのに」
しゅんとする秋の隣で苛立ちの表情とオーラを惜しげもなく出す麻美に秋も苦笑いするのだった。
「……でも、それだけ強いってことだよね。青学」
「ハッ。こっちが体たらくなだけだ。情けねぇ。おい、跡部。次はあんただろ。負けたら承知しないからな」
「たりめーだろ。俺様は負けるつもりはねーよ」
自信満々の様子でコートへ向かう跡部を見て、麻美は「ほんとかよ……」と口にする。
「跡部が強いのはうちの部員みんな認めてるんだからそれを信じようよ」
「……相手はあんたの従兄妹なのによくそう言えるな」
「そうだけど、やっぱり自分の学校を応援したいからね」
もちろん従兄妹の手塚にもエールを送りたいところだが、秋は自分の通う氷帝を強く応援したかった。
そんな二人の元に、厳密に言うと秋の元に、ではあるが芥川が戻ってくる。
「うっひー! 監督に怒られちった~! 秋~慰めて~」
「お疲れ様、ジロー。残念だったけど、ジローが楽しそうで良かったよ」
「うへへっ。うれCー!」
「負けたくせにふざけた態度取るな」
「うげっ、麻美のお叱りまではいらないってば!」
麻美の怒りのオーラに押されそうになった芥川は急いで秋の後ろに隠れる。秋も麻美にまあまあと困り顔で宥めさせていた。
「……」
その様子をちらりと見ていた向日はこれでもかというくらいの大きな溜め息を吐き出す。
(なんでジローの奴は負けたのにあんな気にもせずに秋に絡みに行けんだ?)
俺には無理なんだけど。そう思いながら、それでいてどこか羨ましそうな目を芥川へと向けた。
実に楽しげな様子で秋と話す彼を見れば、そういえば……と向日は気づく。
(ジローの奴、秋に結構べったりしてるよな……)
今まであまり気にしたことがなかったが、芥川は何かと秋に甘えていたり、絡んでいたりするのをよく見る。元より仲がいいというのもあるが、それにしては何か……気になる。気になりすぎて妙な焦燥感を抱くくらいに。
(……まさか、俺のファンが取られる……?)
ハッ、と気づいた向日はその可能性に気づき、さらに焦りを感じた。
別に向日を応援する女子などはそれなりにいるし、女友達も皆そうだ。
しかし、しっかりファンだと宣言して応援する人物はさらに少なく、秋の存在は向日の中で少しずつ大きくなっていた。
ファンが離れようがあまり気にしない向日だったが、秋が離れてしまう、または鞍替えをするのではないかと思うとそれだけは阻止したくなる。その理由まで気づくことはなかったが。
「……やっぱりファンサとかすべきなのか?」
「おー。岳人の口からおもろい言葉出てきたやん。なんでそんなことになったんか教えてもらおか」
どうやら口に出てしまったらしく、近くにいた忍足が興味津々に尋ねてきた。
「独り言聞いてんじゃねーよ! それに女問題の多いお前じゃ参考になんねーだろっ」
「めっちゃ気になること口にしたのはそっちやのに俺への当たりが酷ないか……?」
「なぁ、宍戸ー。やっぱファンにファンサってするべきか?」
「はあ?」
忍足を無視し、宍戸に向けて声をかけると、まさかこっちに話を振られるとは思わなかった宍戸が戸惑いの声を上げる。
「いや、なんで俺にそれを聞くんだよ。跡部にでも聞けよな」
「跡部もういねーじゃん。宍戸だってファンくらいいんだろ。だから聞いてんだよ」
「ファンサっつってもよ……必要なくね?」
「ファンが減るって分かってもか?」
「別に俺はファンが欲しいわけじゃねーし。……まぁ、応援してほしい奴から応援が貰えたら十分だとは思うけど……」
そのお相手がいるのか少し声を小さめに語る宍戸だったが、向日にとっては「その応援してほしい奴が俺のファンなんだよっ!」と口にしたい思いでいっぱいだった。
しかし下手なことを言えばからかわれるのは目に見えるので口を閉じることにする。
(青春やな……)
そんな二人の会話を聞きながらなんで俺には甘酢っぱい展開がないんやろなと一人で遠い目をする忍足だった。