自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
円満解決
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その日の朝練開始前、改めて跡部から正レギュラーのメンバーの入れ替わりがあったということを全部員の前で通達した。
滝がレギュラーから外れ、代わりに日吉が入ることになったが、それを取り止めて宍戸が正レギュラーへと戻ったということ。
ほとんどの部員達は準レギュラーの日吉が正レギュラーに入るという話しか知らなかったので大きな衝撃を受け、ざわついた。
日吉もその一人だ。途中までは自分が正レギュラー入りを果たしたと信じて誇らしげな表情をしていたのに、跡部からの通達を聞いてその表情は歪んだ。
一体何が起こった? なぜレギュラーから外された宍戸さんがまた復帰することになったんだ?
その理由が語られないまま部活は始まるが、日吉は納得出来なかった。
敗者切り捨て、勝者だけがトップに君臨し、負けた者はその座から引きずり落とされる。そんな下剋上しがいのある方針が崩されたのだ。
一体昨日、あれから何があったんだ。その理由を知るため、日吉は秋へと視線を向けた。
なぜなら昨日、宍戸と鳳が榊を追いかけたあと、跡部と麻美、秋も同様に後を追ったから。つまり何があったのかを知る一人でもある。
「どうして宍戸さんがレギュラーに戻ったんですか?」
不機嫌そうな声を秋に放つ。彼女は走り込む部員のタイムを計測するため、ストップウォッチを手にしたところだった。
突然本題に入る日吉に秋は一瞬躊躇うものの、隠すつもりも嘘をつくつもりもなく、日吉の知りたがる理由を告げた。
「みんなで……お願いをしたの。宍戸をもう一度起用してもらえるように」
みんな、というのは秋以外の面子なのだろう。自身の正レギュラー昇格が覆されるくらいだ。おそらく部長の跡部も口を挟んだに違いないと考える。
麻美に関してはお願いしようがしまいが日吉には興味がなかった。
しかし、秋までも宍戸のレギュラー復帰に助力したと思うと日吉は胸に僅かながら痛みを覚える。
ズキッと小さな針で刺されたかのような感覚。ショックというのか、裏切られたというのか、そんな負の気持ちが彼の中で占めていく。
「……あなたなら、俺の正レギュラー入りを喜んでくれると思っていたんですが」
それどころか宍戸に味方していた。自分の正レギュラー入りよりも宍戸の正レギュラー復活の方に手を貸したのだ。
自分が選ばれなかったという事実を目の当たりにし、日吉は少しだけ心許した秋を疎ましく思いながら蔑むような視線を彼女にぶつける。
「もちろん、喜ぶよ。日吉くんのレギュラー入りを」
にっこりと微笑むその表情は今の日吉にとって神経を逆撫でにするものだった。よくそんな顔で言えるものだなと。
「だったらなぜ宍戸さんに……!」
気づけば声を上げていた。あ、そうですか。と冷たく投げてさっさと話を切り上げるつもりだったのに。感情が先走った。そして彼は気づく。これは嫉妬なのだと。宍戸に秋を取られたようで腹立たしい。
「宍戸が試合して勝ったからだよ。でも、日吉くんが勝ったわけじゃないのに正レギュラーに繰り上がるのは実力とはまた違うと思うの。だから……ごめんね、昨日は素直に喜べなくて」
そう話す秋の表情は本当にすまなそうである。そして彼女の言い分も分かってしまった。確かに自分が滝と試合をしたわけじゃない。宍戸をいないものとして考えた結果が日吉の昇格だったに過ぎないのだ。
「何もせずに正レギュラーの座に伸し上がるよりかは、しっかりと戦って勝ち得た正レギュラーの座の方が格好いいと思うし、日吉くんなら後者の方が日吉くんらしいもの」
「……えぇ、下剋上する身としてはそうですけども」
どんな事情で正レギュラーになろうが日吉にとっては気にしないし、むしろラッキーだと思ったのに、曇りなき眼でそう言われてしまったら頷くしかない。なんて狡い人なんだ。日吉はそう思わずにはいられない。例え秋にその気がなくても。
「日吉くんが自分の力で正レギュラーのポジションを得ることが出来たらその時は沢山喜ぶし、お祝いもするよ」
「お祝いは大袈裟ですからやめてください」
「えっ? それは残念だね……」
どこまで本気なのか。思わず小さく溜め息をついてしまう。結局目の前のマネージャーに言いくるめられたような気もしなくもなくて、さっきまで不愉快だった気持ちが晴れてしまう。
何かもこの人のせいだと秋を睨めば当の本人はにこにこと笑っていた。
「でも楽しみにしてるよ、日吉くんが自分の手で正レギュラーを掴むところ」
そんなふうに言われたらまた頷くしかなかった。それどころか━━。
「何ならシングルス1の座も奪いますけどね」
なんて言ってしまう始末。しかし、元々そのつもりだったのだ。目の前の人物に言ったって大した問題ではない……はずだった。
「ほう? そりゃおもしれーじゃねーの」
通りかかったシングルス1=部長の耳に入ったようで日吉を見ながらフッと小さく笑った。
「奪えるもんなら奪ってみな。返り討ちにしてやるぜ」
「……そう言ってられるのも今のうちですよ」
あまりにも余裕そうな笑みが気に入らず日吉の目は鋭くなる。
「それは楽しみだな。せいぜい俺様を楽しませな」
後輩の態度に気を悪くするどころか、挑発に挑発で返すように楽しげに笑う跡部はすぐにその場を後にした。
「下剋上だ……」
ギリッと拳を握り、歯を噛み締める彼は跡部の背を忌々しく見送った。そんな様子を見た秋はふふっと笑いながら日吉に対して口を開く。
「良かったね、跡部も喜んでるみたいで」
「……本当にそう思って言ってるんですか? あんな小馬鹿にしたような物言いで」
「跡部なりのコミュニケーションだよ。見込みがなければすぐに相手して実力差を見せつけるだろうし、日吉くんには期待してるからもっと強くなって挑んで来いって言いたいんだよ」
「なんでそうだと言い切れるんですか」
「会長の補佐をしてると何となくね」
そういえばこの人は副生徒会長だった。説得力はなくもない。
しかし、それだけ秋は跡部のことをよく理解しているのだろう。それに気づくとまた日吉の胸にチリッと小さく妬みの火が宿る。
その理由を薄々感じてはいたが、まだ心の整理がつかない。それでも日吉は跡部への下剋上する気持ちは大きくなったのは確かだった。
滝がレギュラーから外れ、代わりに日吉が入ることになったが、それを取り止めて宍戸が正レギュラーへと戻ったということ。
ほとんどの部員達は準レギュラーの日吉が正レギュラーに入るという話しか知らなかったので大きな衝撃を受け、ざわついた。
日吉もその一人だ。途中までは自分が正レギュラー入りを果たしたと信じて誇らしげな表情をしていたのに、跡部からの通達を聞いてその表情は歪んだ。
一体何が起こった? なぜレギュラーから外された宍戸さんがまた復帰することになったんだ?
その理由が語られないまま部活は始まるが、日吉は納得出来なかった。
敗者切り捨て、勝者だけがトップに君臨し、負けた者はその座から引きずり落とされる。そんな下剋上しがいのある方針が崩されたのだ。
一体昨日、あれから何があったんだ。その理由を知るため、日吉は秋へと視線を向けた。
なぜなら昨日、宍戸と鳳が榊を追いかけたあと、跡部と麻美、秋も同様に後を追ったから。つまり何があったのかを知る一人でもある。
「どうして宍戸さんがレギュラーに戻ったんですか?」
不機嫌そうな声を秋に放つ。彼女は走り込む部員のタイムを計測するため、ストップウォッチを手にしたところだった。
突然本題に入る日吉に秋は一瞬躊躇うものの、隠すつもりも嘘をつくつもりもなく、日吉の知りたがる理由を告げた。
「みんなで……お願いをしたの。宍戸をもう一度起用してもらえるように」
みんな、というのは秋以外の面子なのだろう。自身の正レギュラー昇格が覆されるくらいだ。おそらく部長の跡部も口を挟んだに違いないと考える。
麻美に関してはお願いしようがしまいが日吉には興味がなかった。
しかし、秋までも宍戸のレギュラー復帰に助力したと思うと日吉は胸に僅かながら痛みを覚える。
ズキッと小さな針で刺されたかのような感覚。ショックというのか、裏切られたというのか、そんな負の気持ちが彼の中で占めていく。
「……あなたなら、俺の正レギュラー入りを喜んでくれると思っていたんですが」
それどころか宍戸に味方していた。自分の正レギュラー入りよりも宍戸の正レギュラー復活の方に手を貸したのだ。
自分が選ばれなかったという事実を目の当たりにし、日吉は少しだけ心許した秋を疎ましく思いながら蔑むような視線を彼女にぶつける。
「もちろん、喜ぶよ。日吉くんのレギュラー入りを」
にっこりと微笑むその表情は今の日吉にとって神経を逆撫でにするものだった。よくそんな顔で言えるものだなと。
「だったらなぜ宍戸さんに……!」
気づけば声を上げていた。あ、そうですか。と冷たく投げてさっさと話を切り上げるつもりだったのに。感情が先走った。そして彼は気づく。これは嫉妬なのだと。宍戸に秋を取られたようで腹立たしい。
「宍戸が試合して勝ったからだよ。でも、日吉くんが勝ったわけじゃないのに正レギュラーに繰り上がるのは実力とはまた違うと思うの。だから……ごめんね、昨日は素直に喜べなくて」
そう話す秋の表情は本当にすまなそうである。そして彼女の言い分も分かってしまった。確かに自分が滝と試合をしたわけじゃない。宍戸をいないものとして考えた結果が日吉の昇格だったに過ぎないのだ。
「何もせずに正レギュラーの座に伸し上がるよりかは、しっかりと戦って勝ち得た正レギュラーの座の方が格好いいと思うし、日吉くんなら後者の方が日吉くんらしいもの」
「……えぇ、下剋上する身としてはそうですけども」
どんな事情で正レギュラーになろうが日吉にとっては気にしないし、むしろラッキーだと思ったのに、曇りなき眼でそう言われてしまったら頷くしかない。なんて狡い人なんだ。日吉はそう思わずにはいられない。例え秋にその気がなくても。
「日吉くんが自分の力で正レギュラーのポジションを得ることが出来たらその時は沢山喜ぶし、お祝いもするよ」
「お祝いは大袈裟ですからやめてください」
「えっ? それは残念だね……」
どこまで本気なのか。思わず小さく溜め息をついてしまう。結局目の前のマネージャーに言いくるめられたような気もしなくもなくて、さっきまで不愉快だった気持ちが晴れてしまう。
何かもこの人のせいだと秋を睨めば当の本人はにこにこと笑っていた。
「でも楽しみにしてるよ、日吉くんが自分の手で正レギュラーを掴むところ」
そんなふうに言われたらまた頷くしかなかった。それどころか━━。
「何ならシングルス1の座も奪いますけどね」
なんて言ってしまう始末。しかし、元々そのつもりだったのだ。目の前の人物に言ったって大した問題ではない……はずだった。
「ほう? そりゃおもしれーじゃねーの」
通りかかったシングルス1=部長の耳に入ったようで日吉を見ながらフッと小さく笑った。
「奪えるもんなら奪ってみな。返り討ちにしてやるぜ」
「……そう言ってられるのも今のうちですよ」
あまりにも余裕そうな笑みが気に入らず日吉の目は鋭くなる。
「それは楽しみだな。せいぜい俺様を楽しませな」
後輩の態度に気を悪くするどころか、挑発に挑発で返すように楽しげに笑う跡部はすぐにその場を後にした。
「下剋上だ……」
ギリッと拳を握り、歯を噛み締める彼は跡部の背を忌々しく見送った。そんな様子を見た秋はふふっと笑いながら日吉に対して口を開く。
「良かったね、跡部も喜んでるみたいで」
「……本当にそう思って言ってるんですか? あんな小馬鹿にしたような物言いで」
「跡部なりのコミュニケーションだよ。見込みがなければすぐに相手して実力差を見せつけるだろうし、日吉くんには期待してるからもっと強くなって挑んで来いって言いたいんだよ」
「なんでそうだと言い切れるんですか」
「会長の補佐をしてると何となくね」
そういえばこの人は副生徒会長だった。説得力はなくもない。
しかし、それだけ秋は跡部のことをよく理解しているのだろう。それに気づくとまた日吉の胸にチリッと小さく妬みの火が宿る。
その理由を薄々感じてはいたが、まだ心の整理がつかない。それでも日吉は跡部への下剋上する気持ちは大きくなったのは確かだった。