自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
復活を喜び、復活を憎み
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その試合は唐突に行われた。訳が分からないまま。
久々に宍戸が部活に姿を現したので遥も驚きつつも喜んでいた。やっと立ち直ったか、なんて呑気に考えていたが宍戸は覚悟を持って滝に試合を挑んだ。
その結果が滝萩之介の敗北。それに続き、監督である榊からのレギュラー外しの通告。突然過ぎることに遥の頭は追いつかなかった。
結局、滝を負かした宍戸はレギュラーに復帰することなく日吉が正レギュラーの仲間入りを果たすことになるが、それでも納得出来なかったのか宍戸と鳳が榊の後を追う。
その後、数名が同じように追いかけたのだが遥の目にはコートで膝をつく幼馴染みしか映っていなかった。
「萩っ!」
レギュラーから外れた彼の背中を見ていたたまれなくなった遥が滝の元へと走った。
「萩……」
彼の元へ駆けつけたはいいがなんて声をかけたらいいか分からなかった。
お疲れ様、なんて言える雰囲気じゃないし。次があるよ、なんて言えない。だって次なんて基本的にないのだ。敗者切り捨て方針の氷帝男子テニス部には。
言葉に詰まる遥を知ってか知らずか、滝はようやく蹲っていた身体を起こした。
俯き気味の滝は髪に隠れていることもあり表情が見えない。
「あ、あのね、萩……」
「遥、ごめんね。少しだけ一人にさせてほしいんだ」
そう告げると、彼は静かに遥の前から去った。
こちらの返事も聞かずに歩く滝に「あっ」と声と共に手を伸ばす遥だったが、一人にしてと望む彼の気持ちを優先し、伸ばそうとしていた手をゆっくり下ろしてギュッと強く拳を作った。
全ては宍戸のせいだと遥の表情が険しくなる。
増幅する宍戸への怒りに居ても立ってもいられない遥は宍戸を探しに走り出した。
そして遥は見たのだ。レギュラーに戻って他のメンバーと笑い合う宍戸の姿を。それを見た瞬間、遥はカッと沸騰して宍戸を糾弾した。
「そもそも宍戸はすでにレギュラーから外れてレギュラーの資格すらなくなったはずなのになんてことしてくれたの!? なんで萩を巻き込むの!? 萩が何したって言うのさ! なんで他のメンバーじゃないの!? 萩なら勝てそうだって思って指名したの!?」
「別にそういうわけじゃ……」
「だったら跡部とやれば良かったじゃん! 勝てないから避けたんでしょ! 卑怯者っ!!」
遥の言葉は宍戸の胸を突き刺す。元々、レギュラーに戻ったことでそれを良しとしない相手に非難されてもおかしくないと彼は考えていた。
まさかマネージャーに言われるとは思ってもみなかったが。しかもそれなり仲も悪くない相手に。
「おい、西成。お前は少し落ち着け」
さすがにこれ以上騒がれたらたまったもんじゃねぇと思った跡部が口を挟む。しかし、それで止まるような遥ではなかった。
「落ち着いてるよ! しっかり考えて物を言ってるし! あたしがおかしいって言うの!? だってここはレギュラーから外れたら二度と戻れないんだよ! なのになんで宍戸だけ特別扱いするの!? 狡い! 狡すぎるよ!」
「下僕。一回口を閉じろ。うるせぇ」
「遥、もちろん遥の言いたいことも分かるよ。分かるけどそんなに攻撃的になるのは良くないから一度冷静になろう?」
麻美と秋が遥の元へ近づき、落ち着かせようとするも一度ついた火は落ち着くことなく勢いだけが増していた。
「なんでっ……! なんでみんなも宍戸がレギュラーに戻されたことを喜んでるのっ? そんなに萩がレギュラーから外されたことが嬉しいの!?」
「そんなこと言ってないだろ。そもそも滝の奴が負けなけりゃ良かったんだろうが」
「麻美っ、そんな火に油を注ぐようなこと……!」
秋が慌てて遥の刺激になりそうなことを口にしないようにと告げようとするが、一度出た言葉は戻せないため、秋の言う通り遥はふるふると更なる怒りに震えていた。
「バカっ……バカバカバカ!! バカァァァァーー!!」
「あ? 誰に向かって言ってんだ!?」
「ま、待って麻美っ、お願いだから今は落ち着いてっ」
噴火した火山の如く、感情が爆発した遥はとうとう泣きながら怒鳴った。
まるで幼子が癇癪を起こしたような物言いだが、麻美を不機嫌にさせるには十分であり、一度殴りかかろうと遥に詰め寄るが秋が間に入って今度は麻美を宥めようと必死になった。
「嫌いだ! みんな嫌い! 宍戸も大嫌いっ!!」
自分の味方がいないと理解した遥は捨て台詞だけを残して「うわああああんっ!!」と泣きながら走り出した。
「遥っ!」
秋が呼び止めようとするも、遥の姿はすぐに見えなくなった。そんな嵐が去ったあとに残されたのは強い疲労感である。
宍戸に至っては多少なりとも胸に傷を負うことになった。
「西成さん……」
鳳も彼女の怒りの矛先が宍戸に向けられることに胸の痛みを覚えるが、秋と同様に遥の言い分も分からなくはないのでどうすることが正解なのか導き出せず俯いてしまう。
「っち、下僕の奴言うだけ言って逃げやがって……」
「また頭の痛くなる問題が出来ちまったな。まぁ、いい。俺のせいでもある。ここは俺様に任せな」
宍戸のレギュラー復帰については榊から跡部に一任されたようなものなので自分も激怒される原因だと考えた跡部は遥の機嫌を治すことを買って出た……のだが。
「ほっとけ」
麻美がそう一言口にする。あぁ、こっちにも不機嫌な奴がいたかと跡部は胸の中で溜め息を吐き捨てた。
「そうも言ってられねぇだろ。いくら暴言を吐かれたからってお前も意地になるな」
「意地じゃない。あの馬鹿はほっときゃすぐにケロッとするんだから相手するだけ無駄だ」
「麻美、さすがにその言い方は良くないと思うよ。遥だって納得しないから声を上げただけなんだから。さっきの私達みたいに……」
「だが、当事者の滝は何も言ってこないだろ。あいつが言うなら分かる。けど、下僕のはただの八つ当たりだ。自分の感情でしか動いてねぇ。それに少し頭を冷やす時間もいるだろ」
「確かに今の遥は冷静さが欠けてるから何を言っても聞く耳を持たないかも……」
「そうかよ、西成と付き合いの長いお前らがそう言うならそのままにしておくぜ。だが、部活に支障が出るならこっちで早急に手を打つからな」
やれやれと跡部が肩を竦めながら告げると麻美と秋は共に頷いた。
そして麻美は表情が曇る宍戸に目を向け、声をかける。
「おい、うじうじ考えんなよ。下僕の言うことをいちいち気にしてたらキリがないからな」
「お、おう」
「まぁ、納得しない奴はあいつじゃなくても他にもいるだろうが、堂々としてろ。今のあんたはまだ負けなしなんだからな」
「……あぁ、そうするぜ」
「……」
新しく生まれ変わった宍戸としてはまだ負けなし、ということなんだろうな、と納得した秋は宍戸の今後の活躍に期待すると同時に滝と遥のことを考えてしまうと手放しでは喜べなかった。
久々に宍戸が部活に姿を現したので遥も驚きつつも喜んでいた。やっと立ち直ったか、なんて呑気に考えていたが宍戸は覚悟を持って滝に試合を挑んだ。
その結果が滝萩之介の敗北。それに続き、監督である榊からのレギュラー外しの通告。突然過ぎることに遥の頭は追いつかなかった。
結局、滝を負かした宍戸はレギュラーに復帰することなく日吉が正レギュラーの仲間入りを果たすことになるが、それでも納得出来なかったのか宍戸と鳳が榊の後を追う。
その後、数名が同じように追いかけたのだが遥の目にはコートで膝をつく幼馴染みしか映っていなかった。
「萩っ!」
レギュラーから外れた彼の背中を見ていたたまれなくなった遥が滝の元へと走った。
「萩……」
彼の元へ駆けつけたはいいがなんて声をかけたらいいか分からなかった。
お疲れ様、なんて言える雰囲気じゃないし。次があるよ、なんて言えない。だって次なんて基本的にないのだ。敗者切り捨て方針の氷帝男子テニス部には。
言葉に詰まる遥を知ってか知らずか、滝はようやく蹲っていた身体を起こした。
俯き気味の滝は髪に隠れていることもあり表情が見えない。
「あ、あのね、萩……」
「遥、ごめんね。少しだけ一人にさせてほしいんだ」
そう告げると、彼は静かに遥の前から去った。
こちらの返事も聞かずに歩く滝に「あっ」と声と共に手を伸ばす遥だったが、一人にしてと望む彼の気持ちを優先し、伸ばそうとしていた手をゆっくり下ろしてギュッと強く拳を作った。
全ては宍戸のせいだと遥の表情が険しくなる。
増幅する宍戸への怒りに居ても立ってもいられない遥は宍戸を探しに走り出した。
そして遥は見たのだ。レギュラーに戻って他のメンバーと笑い合う宍戸の姿を。それを見た瞬間、遥はカッと沸騰して宍戸を糾弾した。
「そもそも宍戸はすでにレギュラーから外れてレギュラーの資格すらなくなったはずなのになんてことしてくれたの!? なんで萩を巻き込むの!? 萩が何したって言うのさ! なんで他のメンバーじゃないの!? 萩なら勝てそうだって思って指名したの!?」
「別にそういうわけじゃ……」
「だったら跡部とやれば良かったじゃん! 勝てないから避けたんでしょ! 卑怯者っ!!」
遥の言葉は宍戸の胸を突き刺す。元々、レギュラーに戻ったことでそれを良しとしない相手に非難されてもおかしくないと彼は考えていた。
まさかマネージャーに言われるとは思ってもみなかったが。しかもそれなり仲も悪くない相手に。
「おい、西成。お前は少し落ち着け」
さすがにこれ以上騒がれたらたまったもんじゃねぇと思った跡部が口を挟む。しかし、それで止まるような遥ではなかった。
「落ち着いてるよ! しっかり考えて物を言ってるし! あたしがおかしいって言うの!? だってここはレギュラーから外れたら二度と戻れないんだよ! なのになんで宍戸だけ特別扱いするの!? 狡い! 狡すぎるよ!」
「下僕。一回口を閉じろ。うるせぇ」
「遥、もちろん遥の言いたいことも分かるよ。分かるけどそんなに攻撃的になるのは良くないから一度冷静になろう?」
麻美と秋が遥の元へ近づき、落ち着かせようとするも一度ついた火は落ち着くことなく勢いだけが増していた。
「なんでっ……! なんでみんなも宍戸がレギュラーに戻されたことを喜んでるのっ? そんなに萩がレギュラーから外されたことが嬉しいの!?」
「そんなこと言ってないだろ。そもそも滝の奴が負けなけりゃ良かったんだろうが」
「麻美っ、そんな火に油を注ぐようなこと……!」
秋が慌てて遥の刺激になりそうなことを口にしないようにと告げようとするが、一度出た言葉は戻せないため、秋の言う通り遥はふるふると更なる怒りに震えていた。
「バカっ……バカバカバカ!! バカァァァァーー!!」
「あ? 誰に向かって言ってんだ!?」
「ま、待って麻美っ、お願いだから今は落ち着いてっ」
噴火した火山の如く、感情が爆発した遥はとうとう泣きながら怒鳴った。
まるで幼子が癇癪を起こしたような物言いだが、麻美を不機嫌にさせるには十分であり、一度殴りかかろうと遥に詰め寄るが秋が間に入って今度は麻美を宥めようと必死になった。
「嫌いだ! みんな嫌い! 宍戸も大嫌いっ!!」
自分の味方がいないと理解した遥は捨て台詞だけを残して「うわああああんっ!!」と泣きながら走り出した。
「遥っ!」
秋が呼び止めようとするも、遥の姿はすぐに見えなくなった。そんな嵐が去ったあとに残されたのは強い疲労感である。
宍戸に至っては多少なりとも胸に傷を負うことになった。
「西成さん……」
鳳も彼女の怒りの矛先が宍戸に向けられることに胸の痛みを覚えるが、秋と同様に遥の言い分も分からなくはないのでどうすることが正解なのか導き出せず俯いてしまう。
「っち、下僕の奴言うだけ言って逃げやがって……」
「また頭の痛くなる問題が出来ちまったな。まぁ、いい。俺のせいでもある。ここは俺様に任せな」
宍戸のレギュラー復帰については榊から跡部に一任されたようなものなので自分も激怒される原因だと考えた跡部は遥の機嫌を治すことを買って出た……のだが。
「ほっとけ」
麻美がそう一言口にする。あぁ、こっちにも不機嫌な奴がいたかと跡部は胸の中で溜め息を吐き捨てた。
「そうも言ってられねぇだろ。いくら暴言を吐かれたからってお前も意地になるな」
「意地じゃない。あの馬鹿はほっときゃすぐにケロッとするんだから相手するだけ無駄だ」
「麻美、さすがにその言い方は良くないと思うよ。遥だって納得しないから声を上げただけなんだから。さっきの私達みたいに……」
「だが、当事者の滝は何も言ってこないだろ。あいつが言うなら分かる。けど、下僕のはただの八つ当たりだ。自分の感情でしか動いてねぇ。それに少し頭を冷やす時間もいるだろ」
「確かに今の遥は冷静さが欠けてるから何を言っても聞く耳を持たないかも……」
「そうかよ、西成と付き合いの長いお前らがそう言うならそのままにしておくぜ。だが、部活に支障が出るならこっちで早急に手を打つからな」
やれやれと跡部が肩を竦めながら告げると麻美と秋は共に頷いた。
そして麻美は表情が曇る宍戸に目を向け、声をかける。
「おい、うじうじ考えんなよ。下僕の言うことをいちいち気にしてたらキリがないからな」
「お、おう」
「まぁ、納得しない奴はあいつじゃなくても他にもいるだろうが、堂々としてろ。今のあんたはまだ負けなしなんだからな」
「……あぁ、そうするぜ」
「……」
新しく生まれ変わった宍戸としてはまだ負けなし、ということなんだろうな、と納得した秋は宍戸の今後の活躍に期待すると同時に滝と遥のことを考えてしまうと手放しでは喜べなかった。