自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
復活を喜び、復活を憎み
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ナイター設備が整っているストリートテニスコートには今夜も宍戸と鳳による秘密の特訓が行われていた。
人知れずに、と言いたいところだがその特訓を知ってる者が一人いる。
(今日もやってるのか)
赤宮麻美だった。前に一度麻美には理解出来ない特訓をしてる二人を見かけて以来、同じような時間帯に外へ出ることがなかったため、それまではのことは分からない。
しかし今晩はコンビニに出かけた帰りにまたボールの打つ音が聞こえたのでもしかしてと思い、遠くから覗きに来たのだ。
特訓も前見たのと変わらなかった。鳳が一方的にラケットを持たない宍戸に向けてサーブを打つ変わった内容のもの。
ただ、前と違う所があると言えば鳳の高速であるサーブを手で受け止めることに成功していたのだ。
まぐれか、なんて思っていたが、それが何度も続けばさすがの麻美も偶然ではないことを理解する。
宍戸は完全に鳳の放つボールを目で捉えていたのだ。どこに打っても彼は鳳の打球を受け止めた。動体視力を鍛えているのか。そう思っていたが麻美はふとあることに気がつく。
(いや、動体視力だけじゃない。あいつ、打球に反応する時間も速くなってやがる)
鳳がサーブを打った瞬間に動く宍戸の反応時間は明らかに速かった。そのため、どんなに離れた場所でも宍戸は追いつき、ボールを掴む。その体勢は宍戸が得意とするライジングショットの構えだ。
打球に追いつき、ベストな体勢で返すことが出来ればその威力は上がるだろう。
麻美はようやく宍戸の特訓の答えが見えてきた。
(約2週間とはいえ、それなりに腕を上げたな)
麻美は宍戸が都大会でどのような無様な負け方をしたかは見ていない。ただ相手の力を見誤った結果の惨敗ということしか知らなかった。正レギュラーとしてのプライドがズタズタにされるほどに。
宍戸は正レギュラーという座に居座っていたことで驕り高ぶっている傾向はあった。
麻美もどこか鼻につく奴だと思っていたが、間違っていることがあれば堂々と間違っていると言える度胸はあるのでそこは悪くはないと感じていた。
そんな男が今、後輩の手を借りて自身を磨いているのだ。その姿は麻美から見ても悪くはないものだった。
しばらくして宍戸は倒れた。鳳が「宍戸さん!」と叫んで慌てて彼の元へ駆け寄る。
「はぁ……はぁ……ありがとよ、長太郎。これで明日……果たし合いすることが、出来るぜ……」
ぶっ倒れて息を切らしながら鳳に礼を告げる宍戸だったが、気になるワードが出たため麻美はぴくりと反応する。
(今、果たし合いっつったか?)
「そ、それより大丈夫なんですか!? 俺、何か飲み物買って来ますねっ!」
鳳は水分補給をさせようと慌てて近くの自販機へと走り出す。確かテニスコートから出た先に自販機があったという記憶を頼りに。
そして彼はテニスコートの入口に麻美と鉢合わせたのだ。
「あっ! 赤宮さんっ! ど、どうしてここにっ?」
麻美の名前を口にするが、宍戸には届いていなかった。だから今麻美の存在を知るのは鳳だけだ。
「ったく、いちいち驚くな。ほら」
はぁ、と溜め息をつきながら麻美はコンビニの袋からお気に入りのスポーツ飲料を鳳に差し出した。
「えっ? あの、これは?」
「いるんだろ、あいつに。持ってけ」
「そ、そんな、貰えないです」
「いいから先輩命令だ。私の気が変わらないうちに早く飲ませろ」
ぐいっと無理やり鳳に押し付けると彼は戸惑いながらもペットボトル飲料を受け取る。
「あ、あの、赤宮さん、ありがとうございますっ!」
「礼はいい。その代わり明日面白いものを見せてくれるそうだな? それに期待する。宍戸につまんねーものを見せるなって言っておけ。じゃあな」
そう告げると麻美は背を向け、手を軽く振りながらストリートテニス場を後にした。
鳳は麻美から受け取ったスポーツ飲料水を手にしながら、彼女の姿が見えなくなるまで見つめていた。少しだけ頬を染めながら。
「……格好いいなぁ、赤宮さん」
テニスコートから離れた麻美はその帰り道、一人でフッと小さく笑っていた。
(果たし合いなんて面白そうなもの見ないわけにはいかないよな)
決闘だの真剣勝負だのそういう単語に興奮すら覚える麻美は明日を楽しみに帰宅した。
人知れずに、と言いたいところだがその特訓を知ってる者が一人いる。
(今日もやってるのか)
赤宮麻美だった。前に一度麻美には理解出来ない特訓をしてる二人を見かけて以来、同じような時間帯に外へ出ることがなかったため、それまではのことは分からない。
しかし今晩はコンビニに出かけた帰りにまたボールの打つ音が聞こえたのでもしかしてと思い、遠くから覗きに来たのだ。
特訓も前見たのと変わらなかった。鳳が一方的にラケットを持たない宍戸に向けてサーブを打つ変わった内容のもの。
ただ、前と違う所があると言えば鳳の高速であるサーブを手で受け止めることに成功していたのだ。
まぐれか、なんて思っていたが、それが何度も続けばさすがの麻美も偶然ではないことを理解する。
宍戸は完全に鳳の放つボールを目で捉えていたのだ。どこに打っても彼は鳳の打球を受け止めた。動体視力を鍛えているのか。そう思っていたが麻美はふとあることに気がつく。
(いや、動体視力だけじゃない。あいつ、打球に反応する時間も速くなってやがる)
鳳がサーブを打った瞬間に動く宍戸の反応時間は明らかに速かった。そのため、どんなに離れた場所でも宍戸は追いつき、ボールを掴む。その体勢は宍戸が得意とするライジングショットの構えだ。
打球に追いつき、ベストな体勢で返すことが出来ればその威力は上がるだろう。
麻美はようやく宍戸の特訓の答えが見えてきた。
(約2週間とはいえ、それなりに腕を上げたな)
麻美は宍戸が都大会でどのような無様な負け方をしたかは見ていない。ただ相手の力を見誤った結果の惨敗ということしか知らなかった。正レギュラーとしてのプライドがズタズタにされるほどに。
宍戸は正レギュラーという座に居座っていたことで驕り高ぶっている傾向はあった。
麻美もどこか鼻につく奴だと思っていたが、間違っていることがあれば堂々と間違っていると言える度胸はあるのでそこは悪くはないと感じていた。
そんな男が今、後輩の手を借りて自身を磨いているのだ。その姿は麻美から見ても悪くはないものだった。
しばらくして宍戸は倒れた。鳳が「宍戸さん!」と叫んで慌てて彼の元へ駆け寄る。
「はぁ……はぁ……ありがとよ、長太郎。これで明日……果たし合いすることが、出来るぜ……」
ぶっ倒れて息を切らしながら鳳に礼を告げる宍戸だったが、気になるワードが出たため麻美はぴくりと反応する。
(今、果たし合いっつったか?)
「そ、それより大丈夫なんですか!? 俺、何か飲み物買って来ますねっ!」
鳳は水分補給をさせようと慌てて近くの自販機へと走り出す。確かテニスコートから出た先に自販機があったという記憶を頼りに。
そして彼はテニスコートの入口に麻美と鉢合わせたのだ。
「あっ! 赤宮さんっ! ど、どうしてここにっ?」
麻美の名前を口にするが、宍戸には届いていなかった。だから今麻美の存在を知るのは鳳だけだ。
「ったく、いちいち驚くな。ほら」
はぁ、と溜め息をつきながら麻美はコンビニの袋からお気に入りのスポーツ飲料を鳳に差し出した。
「えっ? あの、これは?」
「いるんだろ、あいつに。持ってけ」
「そ、そんな、貰えないです」
「いいから先輩命令だ。私の気が変わらないうちに早く飲ませろ」
ぐいっと無理やり鳳に押し付けると彼は戸惑いながらもペットボトル飲料を受け取る。
「あ、あの、赤宮さん、ありがとうございますっ!」
「礼はいい。その代わり明日面白いものを見せてくれるそうだな? それに期待する。宍戸につまんねーものを見せるなって言っておけ。じゃあな」
そう告げると麻美は背を向け、手を軽く振りながらストリートテニス場を後にした。
鳳は麻美から受け取ったスポーツ飲料水を手にしながら、彼女の姿が見えなくなるまで見つめていた。少しだけ頬を染めながら。
「……格好いいなぁ、赤宮さん」
テニスコートから離れた麻美はその帰り道、一人でフッと小さく笑っていた。
(果たし合いなんて面白そうなもの見ないわけにはいかないよな)
決闘だの真剣勝負だのそういう単語に興奮すら覚える麻美は明日を楽しみに帰宅した。