呪術廻戦(名前変換)
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都立呪術高専に入学してから初めての夏期休暇を迎えている。とは言え、世間一般の学生のように丸一ヶ月以上の長期休暇制度はこの学校には無く、精々各人に一週間前後の休養期間が与えられるだけで、それ以外は課外実習、自己研鑽のカリキュラムが組まれている。実家を離れて寮生となった学生はこういった時に帰省をするのが常。
「京都にはいつ戻るんだ?」
『ピ』『ガコン』
慣れた手付きで押したボタンは、飲み物が取り出し口に落ちるのとほぼ同時に『売り切れ』の文字を表示した。こんな真夏に冬仕様のコーンスープを選ぶのは彼女くらいのもので、春口に補充されたものが漸く捌けたようだ。呪術高専に出入り出来る業者は限れているとは言え、ラインナップが未だに冬仕様なのは如何なものかと思う。彼女は其れを有難がっているけれど。黒いカーディガンの袖口を伸ばして火傷しないようにスチール缶を手に取った彼女は、其れをそのまま胸に抱えるようにして立ち上がる。自販機が設置された日陰ですら茹だる様な暑さの中で、相変わらず季節感無視の恰好をする彼女は其の常盤色の瞳でぎこちなく瞬きを繰り返して困ったように笑った。
「八月五日」
『新幹線のチケットが送られてきたからそろそろ準備しないといけないんだ。柊のお義母様と義兄様義姉様達にご挨拶に伺うのと、それから』…、彼女が口を噤む。
「…真希ちゃんは帰らないんだね」
「ああ」
「真依ちゃんに会ったら伝えとくね。真希ちゃんは元気だよって」
余計な事は言うなと釘を刺したいところだが、彼女の立場ではそうもいかない。家族と折り合いが悪いのは真希に限ったことではない。加茂派一党の柊の私生児…此の事実だけでも柊本家からは疎ましい存在として扱われているのに、実父に引き取られて呪術の才が発覚するや否や早々に加茂に目をつけられているのだ。―――優秀な母胎として。
「憲紀には会うんだろ?」
「…憲紀様のご予定は分からないけれど…多分」
手の中で缶を擦りながら俯いて話す彼女は、様々な感情が入り混じった表情で唇を固く閉ざした。
「京都にはいつ戻るんだ?」
『ピ』『ガコン』
慣れた手付きで押したボタンは、飲み物が取り出し口に落ちるのとほぼ同時に『売り切れ』の文字を表示した。こんな真夏に冬仕様のコーンスープを選ぶのは彼女くらいのもので、春口に補充されたものが漸く捌けたようだ。呪術高専に出入り出来る業者は限れているとは言え、ラインナップが未だに冬仕様なのは如何なものかと思う。彼女は其れを有難がっているけれど。黒いカーディガンの袖口を伸ばして火傷しないようにスチール缶を手に取った彼女は、其れをそのまま胸に抱えるようにして立ち上がる。自販機が設置された日陰ですら茹だる様な暑さの中で、相変わらず季節感無視の恰好をする彼女は其の常盤色の瞳でぎこちなく瞬きを繰り返して困ったように笑った。
「八月五日」
『新幹線のチケットが送られてきたからそろそろ準備しないといけないんだ。柊のお義母様と義兄様義姉様達にご挨拶に伺うのと、それから』…、彼女が口を噤む。
「…真希ちゃんは帰らないんだね」
「ああ」
「真依ちゃんに会ったら伝えとくね。真希ちゃんは元気だよって」
余計な事は言うなと釘を刺したいところだが、彼女の立場ではそうもいかない。家族と折り合いが悪いのは真希に限ったことではない。加茂派一党の柊の私生児…此の事実だけでも柊本家からは疎ましい存在として扱われているのに、実父に引き取られて呪術の才が発覚するや否や早々に加茂に目をつけられているのだ。―――優秀な母胎として。
「憲紀には会うんだろ?」
「…憲紀様のご予定は分からないけれど…多分」
手の中で缶を擦りながら俯いて話す彼女は、様々な感情が入り混じった表情で唇を固く閉ざした。
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