幼女戦記(名前変換)
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「─────ッ!!」
タイヤネン准尉の後送手続きを終えて原隊復帰したヴィーシャに遅れて、野戦病院から戻ってきたサガは大隊の惨状を目の当たりにし声なき悲鳴を上げた。眼前に拡がるおぞましい光景は疲労からくる幻覚かと思い込もうとしていたが、其れは紛れもない現実であった。
大隊員が皆、理解に苦しむ髪型に変貌している。
昨日出立の報告をしたデグレチャフ少佐や帰投して間もないであろうヴィーシャまでも。
明らかに髪に
「一体…何が…」
説明を求めようにもあまりの衝撃に続く言葉を口にすることが出来ず、立ち眩みを起こしたサガは力なく壁に寄り掛かる。
彼らの髪型は頭髪規定に抵触する類いのものではない。だが、サガが大隊を空けていたこの一日にも充たない時間に、揃いも揃って奇抜な髪型にした理由にまるで見当が付かなかった。そういえば直近の備品発注にポマードの要望が多く寄せられていたと記憶していたが、この状況から考えてサガの不在時に潤沢な量の支給があったのだと喜ぶべきだろうか。───だからといって
「私としても今すぐ元の髪型に戻したいのだがね」
言葉を失った部下の意を汲み取り、払底したポマードの代わりに車両用グリースを代用したのだと指揮官自ら経緯を説明するも、説明を受けるサガの表情は状況理解をするどころかどんどんと青冷めていき、壁に寄り掛かる体勢すらも維持できず、ずるずると床にへたりこんだ。
(車両用のグリースを、髪に?なぜ?理解が追い付かない。此の場で卒倒しなかっただけ褒めてほしい)
「水ではとても落ちませんよ…」
「あの…刈り上げるのが一番手っ取り早いかと…」
力なく口から漏らすサガの言葉に感情は込められていなかった。表情を見るに個人の尊厳を踏みにじる提案をすることに対して配慮したのではなく、極めて私的な事情もとい個人的な葛藤を経て絞り出した言葉なのだとヴィーシャは察した。他人の髪を梳かすのが好きなサガにとって、大隊長を含む長髪の隊員が刈り上げになることは受け入れ難い苦しみなのだろう。
「すごく辛そう」
「自分の発言を自身で受け止め切れてないな」
「ギャップ的にケーニッヒの髪が一番衝撃だっただろうな」
「ヴァイス中尉も
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