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チャコペンの日常(リク

3-2 夕

「おら起きろ!糞ガキ」
「いっ.....!!!」
ペンは蹴られたのか腹近くの痛みとともに目を覚ます。
視界が定かになり次第当たりを確認するとそこはどこかの倉庫のようで、服装が様々な男達が各々の場所で寛いでいた。チャコを蹴ったと思われる目の前の男の足の間から水色の服を着た少女が座っていた。
「チャコちゃっ....」
「動くな」
ガチャ....
ペンの頭上で重たい音が響く。拳銃だ。
それでも動くほどペンは能天気ではない。これでも椿らとともに戦地へ赴くいている。まして道具の付喪神であるペンには道具から出る殺気までも感じることが出来た。
「成哉さぁん、こいつの手の甲見てくださいよ。これ刺青っすかねえ」
チャコのそばで立っていた金髪の男が成哉と呼ばれた、チャコに拳銃を突きつける男を呼ぶ。
金髪の男が指し示したそこには、椿の花の紋様が刻まれていた。
「ああ?奴隷かなんかか?」
「っすかねえ...俺なんかでこれっぽいやつの噂聞いた気が...忘れましたけど」
「こいつの手にも同じのあんな...おいクソガキ、それはなんだ」
成哉がペンに銃口を向けながら聞くが、ペンは堪えてた涙がボロボロ流れ、ヒックヒックと泣く寸前だ。
「っちここで泣かれちゃ困る。そっちのメスガキ。てめえが答えろ」
「.....」
チャコは成哉を睨んだまま口を閉ざしたままだ。
「おい成哉さん無視してんじゃねえよ!」
おちゃらけた雰囲気だった金髪の男が癇癪を起こしたようにチャコの腹を蹴り上げる。どうやら金髪の男は結構な短気らしい。
チャコはかはっと息を唾液と共に吐き出す。そのまま腹を抱えて横たわると近づいてきていた成哉がチャコに向かってる足を振り上げた。
「答えろ」
冷淡な口調とともに足を振り下ろした時だった。
「ダメだよ」
後ろから感情のないしかし冷たくない声がした。思わず足を止め肩越しに後ろを向く。
そこには座って泣く寸前だったはずのペンが、立ちあがっていう笑顔で言っていた。目に光のない虚ろな目で、口角は上がっている笑顔・・で___
「あ?」
成哉が振り上げた足を乱暴に下ろし苛立たしげにペンの胸ぐらをつかみ、銃口を額に押し付けた。
「ダメだよ」
しかしそれでもペンの表情は変わらず笑顔のまま濁った大きな瞳で成哉の目を見つめ続けている。その目の奥は狂気を見た気がした。
「ダメだよ。チャコちゃんに乱暴したら」
その時だった
ペンの指先が光った。それに気づいたのは、ペンに指先を突きつけられてからだ。
「お兄さん、悪い人」
そういって、ペンは突き出した指でバツ印を描いた。成哉の目の前で空書きをしたかと思えばその指先の通りに桃色の線が引かれる。
「っ....!?何を....」
「ギャハハハハハハハハ!!!!!」
耳を劈くような高笑いが倉庫をこだました。
その場にいた全員が得物を手に四方八方を見渡す。
「バアカ!!!ここだぜ!!!」
ひゅっと風を切る音がしたかと思えば、成哉の後ろでぶしゅっと奇妙な音と同時に、重いものが落ちた音がした。同時に広がる鉄臭い匂い。
成哉は嗅いだ覚えがあった。今までに何度も。邪魔な部下の脳天を撃ち抜いた時。言うことを聞かない子供を黙るまで踏み潰した時...。しかし今倉庫に漂う匂いはそれまでの何よりもひどい悪臭だった。
「な...なんだこいつ.....!!」
「あ...妖か.....!?」
部下の叫び声にはっと我に返った成哉が後ろを振り向く。
するとそこには金髪の男、成哉の側近だった信彦____の頭が転がっていた。その目は驚愕に見開かれている。
「の....ぶひこ......?」
そしてその断切面から伸びる血筋を追っていく先には先程まで信彦がたっていた場所で、首のない信彦のだった体を踏みつける赤毛の男がいた。
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