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チャコペンの日常(リク

3-1夕

「それでねえ、僕がね....」
公園から数時間歩いた。
補導員の女性は少し違和感を覚えていた。チャコと呼ばれた少女が例え普通の子供よりも頭が冴えているとはいえ、大人の付き添いもなしにここまで遠い道のりを歩けるものだろうか、と。
とはいえここまでひっきりなしに喋っているペンを見る限り、やはり年相応の子供としか考えられなかった。
女性が適当に相槌をうっている時だった。
ガッ
建物の間から物音がしたかと思えば、そこから大柄な男が両腕を伸ばしてきていた。
「!?」
女性が声を上げる前に大柄の男が口を塞ぐ。その目の前でペンもまた同じように、別の男達によって捕えられていた。
「わあああ!なになに?!はなして!」
「....!」
唯一チャコだけがその見た目によらずすばしっこい動きで男の手から逃れて続けていた。
「んんん!!」
逃げて!!と女性が叫ぶ声は大柄な男の大きな手によって虚しく遮られる。
女性はチャコがちらりとこちらを見た気がした。
「糞ガキ....!!ちょろちょろ逃げ回るんじゃねえ!!!」
男が乱暴な口ぶりで、チャコの二つに結った髪の毛を掴みあげる。流石のチャコもその痛みに顔を歪める。
女性は、諦めたのかふっと力を抜いた。
「チャコちゃん!」
ペンがチャコを助け出そうと男の手から抜け出そうとするが、相手は成人男性、5歳児のペンが抗える相手ではない。
「 っち、鬱陶しいなこのクソガキ」
ペンを掴んでいた男が乱暴にペンを近くの電柱に投げ飛ばした。
「うっ!!」
鈍い音を鳴らし、ペンはぶつかった反動で電柱の少し手前に落ちる。少しの間意識はあったのか両手を強く握りしめていたが、やがて気を失い拳の力も失った。
「.....!」
チャコのいつも重たそうな瞼が少しばかり見開かれて、ペンを凝視していた。
「おい、大事な商品だ。傷物にするなよ」
「こんなぐらい問題ねえだろ。っち、無駄に手こずらせやがって...。お前もこいつみたいになりたくなかったら抵抗すんじゃねえぞ」
言われるまでもなく、チャコは元から抗ってはいなかった。ただただ乱暴に担がれたペンを見つめていた。
「よし連れてくぞ」
男達はチャコとペンを連れて路地裏へ消えていった。
「....」
「ご苦労だったな。ガキをここまで連れてきてくれてよお。補導員だかなんだか知らねえがもっとマシな仕事を選ぶんだったな。.....てめえ分かってるんだろうな」
男は最後に念を押して女性を解放し同じように路地裏へ消えていった。

誰もそこに水色の発行した何かが線を引いているとは気づかずに____
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