君宵


 もはや理性なんぞ俺には何の効果もなくなっていた。


 それっからの行為も濃厚で、そして深く、長かった。
 気付いたら夜中の3時とか回ってて。

 呑み始めたのが確か20時、とか思いながら、隣で眠る忠雪さんを抱っこしていた。
 忠雪さんも満足気に熟睡している。
 寝顔もすっげぇ可愛くて、癒される。

 でも、終わってから気付いた。
 忠雪さんが泥酔するなんて、何かあったのかなと。

 いつもは本当に口を付けるくらいにしか呑まない忠雪さん。
 そんな忠雪さんが発情するくらい酔うというか、呑むってことが不思議だった。

 何か仕事のストレスとかあったのかな。

 急に不安になって、忠雪さんの顔を見る。
 忠雪さんはちょっと笑いながら眠っている。

 どうなんだろう。
 真実は分からないけど……。

 俺もまだまだだなと思う。

 こんなに好き合ってるけど、俺はまだ、忠雪さんのこと全部知らない。
 些細な変化やSOSにも気付けてやれてない。

 ほんと、まだガキだなぁーって。

 それでも、忠雪さんが求めてくれる限りは、一緒にいたい。
 忠雪さんにとって、俺が救いになれるように。

 その日まで、いや、その日からも、ずっと。

「愛してます」

 ぎゅ、と忠雪さんを強く抱き締めて、俺は自分と誓った。



2017.11.16
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