豆合戦!

 のこのこと箒を元あった場所に返しに行こうとした扇を、おいこら、と司佐が引き留める。

「そのまま片付けに行くな。丁度いいからそれで豆掃いてけ」
「ええー、そこまでは俺の担当じゃねぇじゃん」
「駄々捏ねるな。一番盛り上がってただろうが!」

 ほら忠雪も、と司佐に呼ばれ、はいはーい、と楽しそうに忠雪が返事をする。
 結局、有佐も加わって3人で部屋の掃除である。

 リビングの至るところに散らばった福豆を探し出し、箒で掃き集める。

「捨てるのも勿体ない気もするな」

 馨が椅子に座って、集められていく福豆を見ている。
 仕方ないですねぇ、とソファーの隙間も丁寧に確認していた忠雪が笑った。

「一軒家なら、外に撒いても、翌朝スズメが食べてしまったりして問題ないんですけど」
「このご時世じゃそうもいかないよな」

 ちり取りに取った福豆を、ごめんなー、と言いながらゴミ袋に捨てていく。

「まぁでも、景気づけということにしとくか」

 面白かったのは事実だし、と馨は苦笑しながら呟いた。

「話に乗ってくれてさんきゅーな! 予想とだいぶ違ったけどいいもん見たわ」
「今後こういうことは事前に言えよ」

 はっはっは、と嬉しそうに笑って、有佐が扇や忠雪に礼を述べた。
 そんな調子のいいことをいう有佐に呆れ、やや怒りを込めて司佐が釘を刺した。

 のだが。

 え、と驚いた様子の有佐。
 その隣では、扇も忠雪も、それに馨まで意外そうな顔をして司佐を見ていた。
 その視線に気付き、ん、と顔を上げる司佐に、有佐が訊く。

「……来年もやっていいの?」

 瞳を輝かせた、有佐の顔。
 司佐はすぐに自分の失言に気付き、あっ、と思った。

 何だかんだ優しいですねー、ほんとになー、などと口々に言われ、今更訂正も出来ず。
 司佐は盛大に溜め息を零すと、開き直ったように告げる。

「……スペース貸出、1時間1000円だからな」
「だってよ有佐」
「俺にとっても此処自宅なんですけど!?」

 っていうか俺が払うの!? と食い下がる有佐をよそに、んじゃ曲作りに戻るぞーと馨が集合を掛けた。



20190114
(途中から自分でも何を書いているのか分からなくなりましたが面白かったです)
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