引き継いだ理由


「そーでもないんだけど……」
「歯切れ悪いな」

 瀧崎が顔を上げて俺を見てきた。
 確かに、肝心な理由の説明がないから、俺と篠宮先輩の接点がまるで見えて来ないな。

 でも言えるのか?
 俺が篠宮先輩のこと好きだったから、追い掛けて来るみたいな真似したって。

 普通引かない? 引くよね?

 と、脳内で一瞬にして結論を出し、俺は咄嗟に浮かんだ「委員会が一緒で世話になった」を伝えた。

 瀧崎もそれ以上は言及することなく、へぇー、とだけ答える。
 それから少し間が空いた。

「確かに委員会なら仕事っぷりも把握出来るか」

 あの人すげぇなぁ、と独り言のように瀧崎は続けた。

「瀧崎は誰からの指名で?」

 前代の生徒会役員さんたちは全員学年上だったし、どういう繋がりがあったんだろう、と自然に興味を持った。
 でも、瀧崎は「特に」とだけ返した。
 特に? とか呑気に鸚鵡返しする俺に、瀧崎が答えるより先に、ドアが開かれる。

 戻りましたー、と段ボール1つ抱えた希咲の声。
 俺は希咲を出迎えて、段ボールを持つのを代わってやった。

「意外と多かったね。俺も行けば良かった」

 任せちゃってごめん、と俺の対応に、希咲は笑顔で応える。

「今回はまだ大丈夫でしたし。どちらかというと俺は瀧崎先輩がサボらないよう見ていてくれた方が助かります!」
「わぁーお」

 希咲もやっぱりそう思ってたんだな。
 うっかり口が滑った希咲の本音に、俺も変な声が出た。

 瀧崎本人はもはや否定する気もないのか、あっはっは、だけである。

 取り敢えず希咲と手分けして備品を所定の場所にしまい、今日出来た分の仕事をチェックして、提出するだけにまとめる。

 瀧崎先輩出来ましたかー、と希咲が瀧崎の進捗確認をする。
 そのまま二人でパソコンに向かって、何やら話し合いながら打ち込み、印刷。
 それを俺が確認して、オーケーを出す。
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