片耳ピアス【台詞ネタ】

編集部に訪れたらたまたま浅岡せんせえもいて、久々だし昼ご飯一緒に行こー、ってなったときの会話(今決めた)。


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「そういや逢坂さんの奥さんってピアス片っぽだけ着けてるよね? そういうことなの?」

「いえ。華倉さんはノンケですよ。幸いにも僕のことを好きになってくれましたので一緒にいますけど」

「じゃあ何で片っぽなの?」

「さぁ? 僕は存じませんね」

「逢坂さんでも奥さんについて知らないことあるんだ? 付き合い長いんでしょ??」

「……まぁ、そう言われると悔しくはありますが、僕は華倉さんについてまだ知らないことの方が多いです。幾ら想いがどれだけあろうと、それと相手のことをどれだけ理解しているかは別の問題ですよ」

「ふぅん? 訊いたりしないの?」

「したような気もしますけど……覚えてないということは多分きちんとした返答は得られなかったんでしょう。あの人の言葉ならまず忘れることはないので」

「お洒落的な意味だけなのかな? 他の意味合いだとしたら……そういや左だったね。逢坂さん多分知ってると思うけど、左は“守る側”だったね」

「……ああ、古代ローマだかギリシアの恋人の俗話ですか。でも僕は華倉さんと同じものは着けてませんよ。そもそも持ってないのですが」

「まぁ揃いのピアスじゃないのはこの際置いとくとして、ふふっ、頼もしい奥さんだね。と思って」

「……まぁ一般論、というか世間的な感覚ではまだそう思えますね。でもその説を支持するとして、間違いではないでしょう。少なくとも僕に異論はないです」

「はぇ、そうなの? 何度か会った印象として対等なのは明白だけど、逢坂さんとしてもそんな感じなの?」

「ええ。今も昔も、華倉さんはずっと“守ってくれる側”ですよ。僕の頼もしい主人あるじです」

「……逢坂さんが言うと全てに説得力ある気がする。何だろこの、有無を言わさぬ感じ」

「脅してるみたいな言い方しないでくださいよ、人聞きの悪い。まぁそもそも、華倉さんのことを“奥さん”って呼んでるの貴方だけですよ」

「えー、初めて会うとき奥さんだって説明してくれたからじゃん!」

「……あー……そう言えば……。でもよくよく考えてみれば、奥さんと呼ばれるポジションにいるのは僕かも知れませんけどね。養子に入ったのも僕ですし」

「あはは、押し掛け女房だ。やっぱ逢坂さん凄いな〜カッコいい! 図らずも馴れ初め聴けちゃった」

「あっ。あー……内緒にしておいてくださいよ。僕まだ冴山さんからエッセイの連載の話持ち掛けられてるので」

「はえ、もう要求しないとか言ってたのに編集長にはやっぱ勝てないのかぁ。分かった! 2人だけの秘密だね!」

「何でそんな嬉しそうなんですか……まぁでもお願いしますね」


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・片耳ピアスは同性愛者というサイン
・揃いのピアスを恋人同士で着ける際、右は守られる側、左は守る側を指す
という俗説というか言い伝えみたいなのを基にしたネタでした。

これの前日譚みたいな短編(参考までに)→ 僕のものです


2022.12.26
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