もしも、
さすがに鳳凰みたいな子供はないと思うけど。
今日はほんと、そんな感じだったなぁ。
俺が父親になることは多分今後もないだろう。
でも、子供がいるっていうのは悪くはないかも知れない。
今まで何となく自分が嫌いで、恋愛とかまともにする余裕すらなかったけど。
俺が普通に結婚してたら、どんな感じだったのだろう。
それに、どういう人を選んだのかな。
なんて考えながら、隣にいる魅耶を見た。
……よく考えたら、俺は今までずっと、魅耶しか見てなかったのかも?
あれ、って思う。
ということは……。
「俺は魅耶みたいな人を選んだんだろうな」
「? 何の話です?」
ふと、それだけ言葉に出してみた。
それを聞いた魅耶が不思議そうに俺を見て来る。
確かに唐突だった。
ので、説明を兼ねて教える。
「俺がさ、普通に結婚したら、魅耶みたいな女性を選ぶんだろうなって」
なんて、軽いノリで。
すると、魅耶はじとりと俺に視線を寄越す。
睨む、に近い感じの視線だった。
「何?」
俺そんな可笑しなこと言った?
って不思議に思った。
すると魅耶は溜め息を吐いて返す。
「何を言いますか華倉さん。僕は僕ひとりしか存在しませんし、僕みたいな人は僕じゃありませんよ」
「ん?」
いきなり禅問答みたいなことを言い始めた魅耶に、俺はきょとんとなる。
何を言いたいんだ、って素直に訊ねた。
魅耶はちょっと不貞腐れた表情で、はっきり答える。
「華倉さんは絶対、『僕』以外は選ばないと思いますけど」
……。
ああ、そういう。
って理解して、何となく可笑しくなって、吹き出す。
何ですか、と不機嫌そうな魅耶に、俺は笑ったまま返す。
「いや、大した自信だなって」
「だってそうでしょう?」
ははは、と笑う俺に、魅耶は真顔でそう訊ねる。
自信っていうか、もはや常識、みたいに。
でも。
「……そうだね」
多分、そうだろう。
俺が選ぶのは、間違いなく隣にいるこの人だけ。
2017.3.2
今日はほんと、そんな感じだったなぁ。
俺が父親になることは多分今後もないだろう。
でも、子供がいるっていうのは悪くはないかも知れない。
今まで何となく自分が嫌いで、恋愛とかまともにする余裕すらなかったけど。
俺が普通に結婚してたら、どんな感じだったのだろう。
それに、どういう人を選んだのかな。
なんて考えながら、隣にいる魅耶を見た。
……よく考えたら、俺は今までずっと、魅耶しか見てなかったのかも?
あれ、って思う。
ということは……。
「俺は魅耶みたいな人を選んだんだろうな」
「? 何の話です?」
ふと、それだけ言葉に出してみた。
それを聞いた魅耶が不思議そうに俺を見て来る。
確かに唐突だった。
ので、説明を兼ねて教える。
「俺がさ、普通に結婚したら、魅耶みたいな女性を選ぶんだろうなって」
なんて、軽いノリで。
すると、魅耶はじとりと俺に視線を寄越す。
睨む、に近い感じの視線だった。
「何?」
俺そんな可笑しなこと言った?
って不思議に思った。
すると魅耶は溜め息を吐いて返す。
「何を言いますか華倉さん。僕は僕ひとりしか存在しませんし、僕みたいな人は僕じゃありませんよ」
「ん?」
いきなり禅問答みたいなことを言い始めた魅耶に、俺はきょとんとなる。
何を言いたいんだ、って素直に訊ねた。
魅耶はちょっと不貞腐れた表情で、はっきり答える。
「華倉さんは絶対、『僕』以外は選ばないと思いますけど」
……。
ああ、そういう。
って理解して、何となく可笑しくなって、吹き出す。
何ですか、と不機嫌そうな魅耶に、俺は笑ったまま返す。
「いや、大した自信だなって」
「だってそうでしょう?」
ははは、と笑う俺に、魅耶は真顔でそう訊ねる。
自信っていうか、もはや常識、みたいに。
でも。
「……そうだね」
多分、そうだろう。
俺が選ぶのは、間違いなく隣にいるこの人だけ。
2017.3.2