名字と名前を入れてください
霞に紛れて、君に近づく【時透無一郎】
*名前変換*
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
足の傷も癒えた頃。
すぐに任務。
今日は雨上がり。
山の中は、雨の匂いが残っていた。
「……………」
背後から鬼の気配を感じ、
茉子は刀に手をかける。
『水の呼吸——』
すぐに刀を抜き、肺に空気を送り込む。
『——壱ノ型 水面斬り』
あっけなく、鬼の首が落ちる。
茉子は刀を持ったまま、周囲を見渡す。
風が吹いて、木々が揺れる。
その木陰に、鬼が何体もいるのが見えた。
「………っ!!」
突然視界に入ってくる鬼の数に、
思わず一歩下がる。
(……大丈夫、できる……大丈夫……!)
『水の呼吸——肆ノ型 打ち潮』
水がうねるその動きで、
1体、2体、3体……複数の鬼を一気に斬りつける。
しかし3体目の首を斬り損ねて、その鬼は再生する。
そしてさらに4体目が向かってくる。
茉子は鬼たちから一旦距離を取ろうとする。
しかし、また背後に5体目の鬼の姿があった。
「……っ!」
気づいた瞬間に避けようとしたが、
雨でぬかるんだ足元のせいで、
わずかに反応が遅れる。
鬼の爪が右肩を掠め、茉子は顔をしかめた。
「……あー、頭に来る」
右肩を押さえながら刀を構え直す。
鬼は嫌いだ。
ある日突然、罪もない人の幸せを奪う。
絶対許さない。
あの日、そう決めた。
——絶対許さない、かかってこい
鬼に向かって言いかけた、そのとき。
次々と鬼が倒れていく。
「………?」
(……違う。倒れてるんじゃない、斬られてる……)
首を斬る刃の音が響く。
しかし、勝手に倒れているように思えるほど速く、
磨き抜かれた剣捌き。
「………っ」
それを見ていたら突然、
自分の目の前にもまた鬼が現れた。
(まだいたの……?!)
咄嗟に刀を振ろうとした、その刹那。
スパンと振り下ろされた刃に、
その鬼も首を落とした。
気づくと目の前には、
息一つ切らさずに佇む無一郎の後ろ姿があった。
「……ねぇ、言ったよね?」
無一郎は、刀に付いた血を払うように振り、
その刀を鞘に納める。
「次からやめて、って」
「………え?」
無一郎は振り返り、茉子を見る。
「さっき、また余計なこと言おうとしてたでしょ」
「………!」
茉子は驚き、瞳を大きくした。
「……なんでわかるの……?」
その言葉を聞いて、
無一郎はゆっくりと歩いて茉子に近付く。
無一郎の方が、背が高い。
茉子は無一郎を見上げた。
「な、なに?」
「……顔」
「え?」
「顔見たらわかる」
茉子は視線を逸らし、自分の顔に手を当てた。
「君、1人の任務多いの?」
「……うん、まぁ、そう…かも……」
「向いてないかもね」
「……は?」
茉子は思わず声が出た。
「どういう意味?」
「そのままだけど」
無一郎は、さらに一歩茉子に近付く。
「さっきも、囲まれてた」
「…………」
「ねぇ」
「……なにさ」
「理由、わかる?」
「……知らない」
「弱そうに見えるからじゃない?」
「……はぁ?弱くないし!」
「うん」
「……(え?)」
「でも、そう見える」
(……)
言い返せない。
そのまま固まっていると。
「……ねぇ」
一歩、さらに近づく。
「(近いってば)……今度はなに?」
「今の」
「……?」
「顔」
「え?顔?」
「不満そう」
「……べ、別に」
「ふーん……」
そのまま、少しだけ顔を覗き込まれる。
「……悔しいの?」
「……違っ……!」
「違わないよね?図星?」
「だから違うってば!!」
でも。
「ほら、また顔に出てる」
「………っ」
何も言えない。
無一郎は腕を組み、茉子をじっと見る。
「うーん……さすがに毎回は付いてあげられないなぁ」
「いや、頼んでないし」
「うん」
「え?」
「でもそのままだと無理」
「……何が?」
「1人でやるの」
茉子は少し黙ったあと、口を開く。
「だってそういう任務ばっかりなんだもん。
どうしようもないじゃん」
「まぁ、そうだけど」
「ほら」
「だからって、死に急ぐことないでしょ」
「別に、死に急いでないんだけど」
無一郎は小さく息を吐く。
「君はさ、ただでさえ顔に出てるんだし」
「…………」
「余計なこと言ってないでちゃんと戦いなよ」
「……余計なことって……」
「炭治郎に、余計な心配かけたくないでしょ」
「………っ」
その言葉に、茉子は言葉を詰まらせる。
「肩」
「え?」
「一応、診てもらった方がいいんじゃない」
「あ、いや、これはほんとに掠っただけだし……」
「傷口から菌が入ると大変らしいよ」
「……そんな大袈裟な……」
「炭治郎が知ったら、心配するんじゃない?」
「………」
無一郎は、再び茉子の顔を覗く。
「……ほんと、わかりやすいね」
「……もしかして楽しんでる?」
「あ、こんなことしてる場合じゃないや」
無一郎はまた、一瞬でその場から消えた。
茉子だけそこに取り残される。
「……こんなことしてる場合じゃ、って……」
(いや、そっちから振ってきたよね?)
「なんなの…?変な人……」
口ではそう言いながらも
——余計なこと言ってないでちゃんと戦いなよ
——炭治郎に、余計な心配かけたくないでしょ
その言葉が、頭に残った。