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5.帰る場所
*名前変換*
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少し歩いて、お目当ての店まで辿り着く。
「あ!」
茉子は、見つけた!という表情で義勇を見る。
こじんまりとした店。
他にも女性客が何人もおり、混雑していた。
義勇は少し目を細め、
繋いでいた手をそっと離した。
「すぐ戻りますね」
「いや、ゆっくりでいい」
茉子は一瞬目を大きくしたあと、微笑んだ。
義勇は、店の外に静かに立っていた。
茉子を視界に入れたまま。
ふと、背後から気配がする。
それと同時に声が聞こえた。
「……冨っ……ふふっ……」
「ちょっ…….!しのぶ様、笑いすぎですって!」
振り返ると、
しのぶが肩を振るわせながら口に手を当てていた。
隣でそう言うアオイも、半分笑っている。
「………」
(……なぜ、胡蝶達がここに……?)
義勇は表情を変えず、2人を見た。
「いえいえ、違いますよ?」
「………」
「たまたま、こちらの方に用事があって」
「…………」
「アオイから、冨岡さんの鴉が茉子を連れて行った話を聞いたから気になって来たなんてことではね?決してないですから」
「……………」
義勇はため息を吐く。
「……冨岡さん、一応言っておきますけど」
「…………」
「数人の隊士に圧をかけたところで、意味はありませんよ?」
「……どういう意味だ」
義勇は、ようやっと口を開いた。
しのぶは、にこにこと笑顔で続ける。
「茉子が今までどれだけ言い寄られてきたか、ご存知ですか?」
沈黙。
「……何?」
「普通の隊士は、任務にいくたびすごく緊張するらしいんですよ。
そんな中、あの速さで、可愛い茉子が駆けつけて側で処置してくれるわけです。大丈夫ですよって、可愛い笑顔で」
にこにこ。
「冨岡さんは処置される程の怪我をする機会もないから知らないと思いますけど、ああいうのは必然的に距離も近くなりますし」
にこにこ。
「あ!そうそう!冨岡さんも熱出して茉子に看病されている時ありましたね!あれです!」
義勇の目元がピクリと動く。
「隊士の間ではちょっとした有名人ですよ?」
にこにこ。
「1人ずつ威圧するんですか?キリがないと思いますけど」
黙る義勇。
にこにこのしのぶ。
2人のやりとりを、ヒヤヒヤしながら見るアオイ。
「大丈夫!私は冨岡さんを応援していますからっ」
「…………」
沈黙。
「……しのぶ様、そろそろ戻らないと」
「ああ、そうですね。それにしても、ここから屋敷まで随分遠かったですねぇ」
「……し、しのぶ様……(もうやめてあげて……)!」
「それでは冨岡さん、また」
そう言うしのぶは、どうやらすっきりとした様子。
アオイは静かに頭を下げ、しのぶについていく。
「…………」
義勇は一つ息を吐く。
再び茉子の方を見ると
少し離れているその位置から、ちょうど目が合う。
義勇の足が、その方向に動いた。
「もう〜本当にハラハラしましたよ……」
「ふふっ、冨岡さん、焦っていましたね」
「何もあんなに煽らなくても。茉子は忙しくて、隊士達の顔まで覚えきれないぐらいなんですから……」
「それが理解できていないようでは、冨岡さんもまだまだですねっ」
「う、うーん……」
戸惑うアオイより少し前を歩くしのぶ。
青空を見上げる。
「うちの茉子、大事にしてもらわなきゃ困りますからね」
誰にも聞こえないくらい小さい声で、そう呟いた。