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1.名のない始まり
*名前変換*
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「……私は一体なんてことを……」
茉子は目覚めと共に青ざめる。
任務に行ったはずが柱におんぶしてもらい、
うたた寝で帰宅。
その上、もうすぐ昼になろうとしていたからだ。
茉子は、しのぶの元へと走った。
「茉子、起きましたか」
「しのぶ様……!も、申し訳ありませんっ」
茉子はしのぶの顔も見ず、すぐさま頭を下げる。
「まぁまぁ。体を休めることも大事ですから、ね?」
茉子が顔を上げると、
目の前には笑顔のしのぶがいた。
「冨岡さんの足、すっかり良くなっていましたね。まぁ直接はみていませんけども。
動きが以前より良さそうでした」
「あ、そうですね!
一応負荷をかけすぎないようにと、ご自宅では冷やすようにはお伝えしてたんです」
それを聞いたしのぶは、
思わずプッと吹き出して笑う。
「ちゃんと冷やしてたんでしょうね。
ここにいても言うこと聞いてくれませんが、やっぱり茉子についていってもらって正解でした」
そう言われ、茉子はホッとする。
「良かった。私でも役に立てることがあって」
照れたように笑う茉子を見て、
しのぶは少し切なげな笑みで茉子を見つめた。
茉子が使う露(つゆ)の呼吸。
水の呼吸から派生したものだが、
あれは“技”というより、賭けに近い。
一瞬の隙を突いて、全てを叩き込む。
速さを活かせば確かに強い。
けれど、防御を捨てる分、消耗も激しい。
それを補うために、
茉子は香の呼吸を作ったのだろう。
花の呼吸を基に、蟲の呼吸を見て、
自分なりに考え抜いた技。
「蟲の呼吸もどきですから」
なんて、あの子は笑っていた。
どれも、誰かに与えられたものじゃない。
自分の足りない部分を知って、
それでも鬼を斬るために、
必死に編み出した呼吸だった。
体にかかる負担など、二の次にして。
——あの時、止めたのは、間違いじゃなかった。
けれど……
今ここまで来たこの子を
もう引き戻すことはできない。
ここは、努力が必ず報われるような、
そんな甘い世界ではないけれど……
それでもしのぶは、茉子には強くなって、どうか死なずに生きていてほしいと思っていた。
茉子は目覚めと共に青ざめる。
任務に行ったはずが柱におんぶしてもらい、
うたた寝で帰宅。
その上、もうすぐ昼になろうとしていたからだ。
茉子は、しのぶの元へと走った。
「茉子、起きましたか」
「しのぶ様……!も、申し訳ありませんっ」
茉子はしのぶの顔も見ず、すぐさま頭を下げる。
「まぁまぁ。体を休めることも大事ですから、ね?」
茉子が顔を上げると、
目の前には笑顔のしのぶがいた。
「冨岡さんの足、すっかり良くなっていましたね。まぁ直接はみていませんけども。
動きが以前より良さそうでした」
「あ、そうですね!
一応負荷をかけすぎないようにと、ご自宅では冷やすようにはお伝えしてたんです」
それを聞いたしのぶは、
思わずプッと吹き出して笑う。
「ちゃんと冷やしてたんでしょうね。
ここにいても言うこと聞いてくれませんが、やっぱり茉子についていってもらって正解でした」
そう言われ、茉子はホッとする。
「良かった。私でも役に立てることがあって」
照れたように笑う茉子を見て、
しのぶは少し切なげな笑みで茉子を見つめた。
茉子が使う露(つゆ)の呼吸。
水の呼吸から派生したものだが、
あれは“技”というより、賭けに近い。
一瞬の隙を突いて、全てを叩き込む。
速さを活かせば確かに強い。
けれど、防御を捨てる分、消耗も激しい。
それを補うために、
茉子は香の呼吸を作ったのだろう。
花の呼吸を基に、蟲の呼吸を見て、
自分なりに考え抜いた技。
「蟲の呼吸もどきですから」
なんて、あの子は笑っていた。
どれも、誰かに与えられたものじゃない。
自分の足りない部分を知って、
それでも鬼を斬るために、
必死に編み出した呼吸だった。
体にかかる負担など、二の次にして。
——あの時、止めたのは、間違いじゃなかった。
けれど……
今ここまで来たこの子を
もう引き戻すことはできない。
ここは、努力が必ず報われるような、
そんな甘い世界ではないけれど……
それでもしのぶは、茉子には強くなって、どうか死なずに生きていてほしいと思っていた。
