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5.帰る場所
*名前変換*
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昼の光が少し眩しい。
「……あったかいですね」
茉子が、空を見上げる。
「……ああ」
そのまま、並んで歩く。
「えっと、小間物屋は……」
「……あっちの方だろう」
「あ、そうかも!」
そんなやりとりをしながら、ゆっくりと歩く。
そんな2人の姿を
別の鬼殺隊の隊士たちが目撃する。
「……あれって、水柱様……だよな?」
ヒソヒソと声が聞こえる。
「……あの子、あれじゃん。蝶屋敷の……」
「茉子ちゃん!え、まじか……!俺狙ってたんだけど!」
「可愛いよなぁ。はぁ、よりによって柱……」
「任務でありますように!任務でありますように!!」
茉子は店探しに気を取られている。
聞こえていない。
しかし、義勇は気づいていた。
「…………」
(……狙っていた、か)
何も言わない。
けれど、
わずかに歩幅を変える。
茉子との距離を、ほんの少しだけ詰めた。
横に並ぶ、その位置はそのままで。
「茉子さん!」
後ろから、声がかかる。
(……今度は何だ)
その声に、茉子は振り返る。
まだ駆け出しのような隊士が走ってきた。
義勇は、あえてすぐには振り向かなかった。
「あ、こんにちは」
(……えーっと、誰だっけ……?)
内心そう思いながらも、茉子は自然に微笑む。
しのぶ式である。
「この前はありがとうございました!あの時の傷、もうすっかり良くなりました!」
(……あー!腕ザックリ斬られちゃってた人か!)
顔でも名前でもなく、傷で覚えている茉子。
「良かったです!」
そのまま、腕の傷を見せるように、
ぐっと茉子に近づく隊士。
茉子もまた、覗き込むように顔を寄せた。
「……わ、ほんとですね!綺麗に治ってます!」
傷が綺麗に治ると、治した側も嬉しくなるもの。
茉子はニコニコと笑う。
「茉子さんのお陰です!」
「いえいえ!」
そして、嬉しそうに笑う隊士。
側から見れば、“親しげ”だ。
「………」
義勇はその様子を見ていた。
何も言わない。
(……随分、近いな)
ただ、
視線だけが動かない。
「また任務で一緒になったら、よろしくお願いします!」
「はい、こちらこそ」
柔らかい会話。
その空気に、
ほんのわずかに、間が入る。
「……終わったか」
いつもより低い声が、割り込んだ。
「あ、はい」
茉子は義勇を見上げて、それだけ答える。
「……あとは、問題ないな」
隊士に向けて、淡々と告げる。
「は、はい……!」
その声に、隊士は少し背筋を伸ばした。
「……行くぞ」
それだけ言って、義勇は歩き出す。
振り返らない。
茉子はほんの少し遅れて、義勇を追いかけた。