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5.帰る場所
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店先に並ぶ団子の香りに、茉子の足が止まる。
「あ!ここです!」
嬉しそうに振り返るその表情に、
「……ああ」
短く返す。
「どれにしますか?みたらしかな?あ!餡子も美味しそうです!」
目を輝かせる茉子の後ろで
義勇は店員に向かって、静かに口を開く。
「みたらしと餡子、両方頼む」
「はいよ!」
茉子は、ハッと振り返って義勇を見上げる。
「す、すみません、そんなつもりでは……っ」
「……いや、いい」
店では、手際よく串団子が作られていく。
「はいよ!どっちも美味しいよ!」
「あ、ありがとうございます!」
茉子は団子を受け取る。
再び義勇を見て目が合うと、茉子は微笑んだ。
外にベンチがあり、そこに並んで座る。
距離は、自然と近い。
「……うん!餡子おいしいですっ!」
茉子が、団子を頬張りながら笑顔を向ける。
「……そうだな」
義勇も、みたらし団子を食べてから、静かに頷く。
「あ!1つ、食べますか?」
茉子はそう言って、餡子の団子を差し出す。
「……?」
「口開けてくださいっ」
義勇は一瞬、軽く首を傾げたが
茉子が楽しそうに笑っているのを見て
「……ああ」
一言返事をして、一口食べた。
「……どうですか?」
「……甘いな」
「おいしい?」
「……そうだな」
それだけ言って、みたらしの串を差し出す。
「……?」
「……食べるか?」
茉子は一瞬瞳を大きくしたあと、穏やかに微笑む。
「……うん!みたらしも美味しい……!」
団子を頬張りながら微笑むその姿は、
とても無邪気で。
「あんみつも美味しそう〜」
(……楽しそうだな)
義勇は、ふと茉子の顔を見つめた。
微かに視線が揺らぐ。
「………?どうかしました?」
——以前はもう少し、
張り詰めていたような気がするが。
義勇の手は、自然と茉子の頭に添えられ
そっと髪をなぞる。
「……義勇さん……?」
その声に、義勇はその手を止めた。
頭を撫でられた茉子は、
ほんのり頬を赤く染めている。
周りには、人がいる。
同じように団子を食べている者もいれば
道を歩く人たちも。
その中の何人かが、ちらりとこちらを向く。
「…………」
(……人目が、あるな)
義勇はそっと手を離し、立ち上がる。
「……行くぞ」
離す手が、わずかに遅れていた。