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5.帰る場所
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うっすらと、意識が浮かぶ。
(……昼か……)
目を開ける。
視界に入る天井。
そして——
腕の中の、体温。
「………」
茉子が、すぐそばにいる。
自分の腕を枕にして、静かに眠っていた。
(………)
しばらく、そのまま見ている。
寝息は穏やかで、表情も柔らかい。
無防備な顔。
腕を抜こうと思えば、抜ける。
起こそうと思えば、起こせる。
近づこうと思えば、もっと近くに。
けれど、
わずかに腕に力を込めて、そのまま。
「……ん……」
茉子が動くと、その動きに合わせるように
義勇の腕が、ほんの少しだけ支えるように動いた。
「……んーー……」
茉子の大きな瞳が、ゆっくりと開く。
すぐ側で、安心するその気配を感じて
顔を上げる。
2人の視線が合う。
茉子は、目をパチパチとさせて
記憶を巡らせる。
とにかく眠たかった。
それだけは覚えている。
「……えーっと……」
言いながら、視線が泳ぐ。
義勇の腕はまだそこにあった。
どけられる気配はない。
再び義勇を見ると、視線が合う。
「……眠れたか」
その声に、茉子は穏やかに微笑む。
「はい、すごくすっきりしてますっ」
わずかに、間が空く。
「……そうか」
義勇はそれだけ言って、体を起こす。
「あの……」
その声に、義勇は静かに視線を落とす。
「……えっと……」
茉子は、布団の裾を掴みながら
少し言いにくそうにしている。
「……どうした」
茉子は視線を泳がせたあと、
そっと義勇を見る。
「……義勇さんと、お外歩きたい……」
「………?」
「夜とか任務とかじゃなくて、普通にお出かけしたい……」
段々と声が小さくなる。
何を言うのかと思えば、なんと可愛らしいことか。
義勇はわずかに目を細めた。
「……ああ」
義勇はそれだけ言って、
そっと茉子の頭に手を添えた。
「来る途中で、おいしそうな甘味処見つけたんです。そこに行きたいですっ」
「ああ」
「あとね、小間物屋かな?来る途中で、かわいい簪とかが並んでいるお店を見つけたんですっ」
「わかった」
義勇は静かに、茉子の頭を撫でる。
(……伸びたな)
忙しい日々なのだろう。
指に触れる髪が、
以前より肩へ落ちている。
髪を撫でられた茉子は、照れたように微笑んだ。
「……行くか」
「はいっ」
部屋には、温かな光が差し込んでいた。