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5.帰る場所
*名前変換*
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夜は、どこも同じだ。
鬼を斬り、血の匂いを払い、また次へ向かう。
それが終われば、別の場所へ。
連日の任務で、同じことの繰り返し。
(……続いているな)
どこかでそう思ったが、
それ以上考えることはしなかった。
義勇からすれば、どの鬼も大した強さではない。
しかし、油断はできない。
一瞬の失敗が命取りになるから。
気を張り続けることは当たり前。
疲れている、という自覚もない。
ただ、身体がわずかに重いだけだ。
屋敷に戻る頃。
空は白み始めていた。
音を立てずに戸を開ける。
誰もいないはずの空間。
——そのはずだった。
「……」
わずかに、気配がある。
構えはしない。
この場所に入れる人間は限られている。
静かに廊下を進み、
襖の前で足を止めた。
中にいる。
そう確信して、開ける。
「……茉子」
思ったよりも、自然に名前が出た。
そこにいたのは、
予想通りの姿だった。
茉子は、人差し指を口元にあて、
静かに、と言うように義勇を見た。
「………?」
よく見ると、寛三郎が座布団の上で寝ている。
茉子は静かに義勇の元へと歩み寄り、
小声で話し始める。
「……お留守のところすみません。
寛三郎さんが案内すると言ってくれて……」
「ああ」
義勇も茉子に合わせ、
少し小さめの声で返事をする。
「最初、蝶屋敷に来てくれた時も、廊下で倒れていたらしくて……」
「…………」
「私が任務から戻ってきた時には、鴉診れる人いないかって、屋敷内で少し騒ぎになってて……」
「…………」
「でもお顔を見たら、寛三郎さんかな?と思って。
私のこと迎えに来てくれたのかなって」
「……そうか」
身振り手振りで話す茉子。
その姿を見ているうちに
義勇の胸の奥にあったわずかな重さが、
いつの間にか消えていた。
義勇の左手が、そっと茉子の頭まで伸びる。
「……無事だったか」
優しい手つきで、静かに髪を撫でる。
その行動に、茉子の鼓動が少し速くなった。
「……はい」
そう返事をして微笑む茉子を見て
義勇の手がわずかに止まる。
(…………)
触れていることに、今さら気がつく。
それでも、引く理由は見つからなかった。
義勇は静かに茉子を抱き寄せた。
「……おかえりなさい、義勇さん」
義勇は、一瞬止まる。
その言葉を向けられることに、慣れていない。
「……ああ」
小さく息を吐いた。