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4.静水に咲く
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その日の空は、どこまでも澄んでいた。
刀の完成の知らせを受けた二人は、鍛冶場まで歩く。
中に入ってすぐの場所に、鉄穴森が立っていた。
「お待ちしてました。すみません、わざわざ取りに来ていただいて……」
「い、いえ!こちらこそ!急いで作って下さったんですよね?ありがとうございます」
「いえいえ、これが仕事ですから」
鉄穴森は静かに、刀を差し出した。
茉子はそれをそっと受け取る。
「………?」
「……軽く感じますか?」
「え?あ、はい……」
刀を握ったまま動かない様子を見て、鉄穴森は続けた。
「はじめは、ヒビ割れないようにとにかく刀の強度を上げようと思ったんです。これは時間がかかると思いました。ですが……」
鉄穴森は、少し考えるようにして止まったあと、続ける。
「そこの竹林で一度、あなた方が打ち合っているところをお見かけしまして……。強度はそこそこにして、“流れ”に乗れるよう、重さは少しだけ軽めに仕上げました」
「打ち合いを見て……?」
茉子は瞳を大きくした。
「さ。抜いてみて下さい」
振り向く。
義勇は静かに頷いた。
刀を抜くと、す、と澄んだ音。
淡い水色の刀。自分の瞳が映り込む。
「……すごい……」
手に吸い付くような感覚。
「……私……」
茉子は呟くように言う。
「……気づかないうちに、あんなにボロボロにしてしまって……」
小さく、息を吸う。
そしてまっすぐ、鉄穴森を見つめた。
「……大事にします。ありがとうございます。鉄穴森さん」
「……い、いえ!私はそんな……!」
再び深々と頭を下げる茉子。
「……行くぞ」
その声に、茉子は顔を上げたあと軽く会釈をした。
義勇は足を止める。
「……礼を言う」
それだけ言って、その場を立ち去った。