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4.静水に咲く
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竹林に、乾いた音が響く。
カン、と木刀が触れる。
昨日とは違う。
荒さがない。
「……そうだ」
義勇が短く言う。
(思っていたより、身についているな……)
カン。
昨日より、音が澄んでいる。
義勇の目が、わずかに細まる。
「焦っていないな」
「……昨日から、不思議なんです」
茉子は木刀を見つめながら言う。
「すごく疲れてるし、足も痛いのに、動けるんです」
義勇は何も言わない。
普通なら、
逃げ出したくなる位のことをさせていると思う。
しかし
ずっとギリギリまで
心身を削っていた茉子からすると
“ただの疲労”はこの程度なのだろう。
限界を超える鍛錬にも、耐性があるように見えた。
精神的にも、もう振り切れている。
むしろ——
「お願いします……!」
前を向いている。
今度は、速さを入れて、打ち合う。
速さが“ついてくる”。
カン、と重なる。
茉子は崩れない。
「……いい」
短い。
だが、確かに認めた声。
茉子の呼吸は荒い。
でも、震えていない。
(……まだ、完全ではないが……)
義勇は小さく息を吸った。
「……次は、俺も速さを出す」
「は、はいっ……」
「力も出す」
「………」
少々青ざめる莉子の後ろで、義勇は静かに待つ。
(……間に合うな)
昨日より少しだけ、休憩を多めに挟みながら
稽古は夕刻まで続いた。