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4.静水に咲く
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夕方。
また、竹林の中。
1人で木刀を振り下ろしているところに、
義勇が来る。
「……速さに頼るな」
茉子の動きが止まる。
「私には速さしかないんです」
「違う」
「違いませんよ。
私はいくら鍛えても、全力でやっても、力はこれが限界なんです」
木刀を握る手に力が入る。
「冨岡さんみたいに、上背のある人にはわかりませんよ。
それだけで筋肉の量も、力も違う」
「身体差の話をしているんじゃない」
「だって実際そうなんだから!
いくら努力したって、頸を斬れなきゃ意味がない!」
一瞬、沈黙が落ちる。
「頸を斬るために、自分を削るなと言っている」
その言葉が、胸の奥に刺さる。
「……どうしてそんなこと言うの?」
声が裏返る。
「何も知らないくせに!私が今までどんな思いでっ……!」
喉の奥がツンとする。
それ以上、言葉が出ない。
「……お前の覚悟は、“兄”から聞いた」
その瞬間、茉子の動きが止まった。
「……後藤さん……?」
胸の奥が、ひやりとする。
(……覚悟?全部、知ってる……?)
視界が、少しだけ遠のく。
——あの日。
伸ばしたはずの手は、動かなかった。
声も、出なかった。
目の前で、幼い弟が倒れる。
赤。
血の匂い。
足が、震えていた。
もう、あんな思いはしたくない。
強くならなきゃいけない。
守れる側に、ならなきゃいけない。
血反吐を吐くほど鍛えた。
それでも残ったのは、速さだけだった。
力は、つかなかった。
だから——
削ってでも、前に出る。
捨て身でもいい。
頸さえ斬れれば。
それでいいと、思っていた。
それなのに。
「俺は——」
一瞬、言葉が詰まる。
「……お前が削られる戦いを、望んでいない」
茉子は瞳を潤ませ、
溢れる涙を止めることができなかった。
「……茉子」
茉子が涙を拭う気配の中、
義勇は背を向けたまま。
「……考えろ」
それだけ言って、その場を去っていった。
