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4.静水に咲く
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翌朝。
茉子は昨日より早く起きている。
呼吸は整っている。
胸も痛まない。
でも。
(……このままじゃ、鈍る)
また、竹林の中。
人のいない場所で、木刀を構える。
昨日と違うのは、迷いなく振り始めること。
速さは使わない。
でも、どこか“詰めるような”動き。
そこへ。
「……整えろと言ったはずだ」
静かな声。
振り返らなくてもわかる。
「……鈍ります」
茉子は止めない。
義勇が一歩、距離を詰める。
木刀を軽く弾く。
「力むな」
その一言に、茉子の呼吸が乱れる。
——焦っているのは自分だと、気づかされたから。
「……お前は、速さだけじゃない」
それだけ言って、立ち去って行った。
茉子は振り返る。
力むな。
焦るな。
速さだけじゃない。
言葉が、頭の中で絡まる。
(……どういう意味……?)
今まで信じてきたものを、否定されたわけじゃない。
でも、土台が揺らぐ。
(私の武器は、これしかないのに)
足場がなくなる感覚だ。
——怖い。
茉子は、背中が冷えるのを感じた。