名字と名前を入れてください
4.静水に咲く
*名前変換*
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(……なんか、体が楽かも)
茉子はいつも通り、朝から柔軟。
(ぐっすり寝れたし、ご飯もおいしかったし)
一通り終えると、部屋を出る。
宿の外に出て、空気を吸う。
(……痛くない)
胸に手を当てる。
(……ずっと、この痛みだけ治らなかったのに)
遠くを見ると、煙の上がっている建物が見えた。
(あそこが鍛冶場かな?)
茉子は自然と足が動いていた。
向かう道には竹林があり、
その一角には木刀が並んでいて
剣士たちが訓練するのであろう場所もあった。
鍛冶場に着く。
刀鍛冶たちは既に働いている。
(……忙しそうだな……)
「……もしかして、櫻井さんですか?」
「あ、はいっ」
振り向くとそこには、小柄な刀鍛冶が1人。
「私、今回から担当することになりました
鉄穴森(かなもり)と申します」
茉子は深々と頭を下げる。
「お世話になっております。お手数おかけして申し訳ありません」
「いえいえ!こちらこそご挨拶が遅くなりすみません」
鉄穴森もまた、深々と頭を下げた。
「先ほど、冨岡殿にも申し上げましたが」
「……?冨岡さん来てたんですか?」
「あ、はい。進捗状況を確認したいと」
「そうなんですね」
「珍しいなと思いましたけど、刀の具合が気になったのでしょうかね」
茉子は首を傾げた。
「変わった刀の損傷の仕方ですね。初めて見ました。
どんな使い方をしたのかなーと思っていたんですよ」
茉子は一瞬、目を見開く。
「中からヒビ割れた感じといいますか……
おそらく、あと1回振ったら折れていたと思いますよ」
「そう、ですか……」
「何も言える立場じゃありませんが、あまり無茶しないで下さいね」
「……ありがとうございます。よろしくお願いします」
茉子はそれだけ言って、鍛冶場を後にした。
---------
宿に戻る道を歩く。
(……ヒビ……)
気づかなかった。
自分では、わからなかった。
(……露の呼吸を続けて使ったから?それとも前から……?)
茉子は、竹林の中で足を止めた。
「私には、速さしか……」
ぽつりと呟いた声は、
竹の葉擦れに吸い込まれる。
木刀が並ぶ場所に視線を落とす。
(あと1回で、折れていた)
折れるのは、刀だけじゃなかったかもしれない。
肺。
腕。
足。
呼吸。
(……気づいてなかった)
刀は、何も言わない。
ただ、静かに壊れていく。
それは、
自分と同じだ。
茉子は、そっと拳を握る。
(でも……)
折れそうだったのは刀であって、
私は、まだ立っている。
(……まだ、戦える)
竹林を抜ける風が、葉を揺らす。
その音が、
ほんの少しだけ、胸に残った。
