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4.静水に咲く
*名前変換*
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「目隠し、取りますね」
「……はい」
視界がぱっと明るくなる。
眩しさに思わず目を細める。
光が滲み、輪郭がゆっくり形を持つ。
少しずつ、景色が見えてきた。
夕焼けが差し込む、木々に囲まれた里。
古風だが立派な建物。
奥からは煙が立っているのが見える。
「わぁ……」
思わず声が漏れる。
「では、私はここで」
「あ、ありがとうございました!お気をつけてっ…」
茉子は隠に頭を下げた。
——しのぶには、快く送り出してもらった。
「そうですね。屋敷にいると動きすぎてしまいますからね」
と。
その後、小さな声で「“療養”.....いい言葉ですね」と言いながら、しのぶが笑っていたことを茉子は知らない。
(……来るなら、自分で刀持ってくれば良かっ…)
「あ……」
少し離れた屋根の下から、こちらに向かって歩いてくる。
「……冨岡さん……!」
義勇は、ゆっくりと視線を上げる。
「目は慣れたか」
茉子は小さく頷く。
「はい」
義勇は一歩だけ近づく。
「……行くぞ」
義勇はそれだけ言って、里の奥へ歩き出す。
茉子は一瞬だけ立ち止まり、里を見渡した。
そして慌てて、小走りで追いつく。
自然と、隣へ。
義勇の羽織の端が風に揺れて、茉子の袖にかすかに触れた。
離れない。
触れたまま、どちらも避けなかった。
以前なら、半歩後ろだった距離。
義勇は何も言わない。
でも、歩調をほんの少しだけ落とす。
合わせているのか、ただの偶然か、わからない程度に。
「里長に、ご挨拶したいです」
「そうだな」
並んで歩く二人の影が、離れることはなかった。